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黒。

初めて絵の具を触った日から
どうしても黒が苦手だった。

何にも染まらない黒と
全てを染めてしまう黒。

学校の先生は
黒はすべてを潰してしまい、他の色と混ざらないから最後に使ってね
と、まるで問題児かのように言った。

大人の言うことが正しいと思っていたわたしは
当たり前かのように黒は問題児だと思っていた。
だから、黒は苦手だった。

だけど

いつからか無意識に黒を選ぶようになった。
黒を求めるようになった。
黒に安心した。黒が助けてくれる時もあった。
そして黒なしでは生きていけなくなった。

何にも染まらない強さは
実は何にも染まることができない弱さだったり
何でも染めちゃう自己主張は
実は分かりにくい協調性だったり。

さみしさとやさしさと強さが混ざっていて
(恋しさとせつなさと心強さと…?)
そんなことに気づけたら
不器用な黒が
分かりづらく分かりやすい黒が
愛おしくて。

だけどいつか、いつの日か
何かに染まらなくてもいいから、
馴染める日が訪れますように
そんなことを願って

きっとこれからも
何にも染まらない黒を
好きでいることでしょう。

date of filling out 2015.02.19

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