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それは『悲劇』か、それとも『喜劇』か

ボンチノタミ、ジョーカーです。

『水星の魔女』面白すぎない?
シェイクスピアの『テンペスト(嵐)』オマージュの部分ありそうだな~って思ったら、もう既にいろんな人がそれ言ってた。
わたしでも気付くくらいだから、まあ、シェイクスピア知っている人なら、プロスペラ、エアリアル、復讐、娘、とかその辺りのワードでピンときてるよね。
ガンダムキャリバンとか出てくるんだろうか。でかいのかな。

『テンペスト』関連に限らず、いろんな人たちがいろんな考察をしていて楽しいです。自分でもいろいろ考えたりして。いや~久々だな、こうやってリアルタイムでアニメの考察とかしてワクワクしながら見るの。いいね。

学生時代は演劇専修だったので、シェイクスピアは一応、それなりに授業でかじってはいます。特にシェイクスピア専門とかではなかったけど。
どの授業でもいちばん最初に取り上げられるのが『オイディプス王』だったので、シェイクスピアよりそっちのほうがやたら詳しくなった思い出。

戯曲に限ったことではないですが、物語のジャンルには『悲劇』『喜劇』というものがあります。
学生時代に『悲劇』と『喜劇』の定義について教わったときは、それまで読んできた・触れてきた物語の解釈とかにストンとハマって、なるほどな~と思いました。

『悲劇』とはもちろん、悲しい結末を迎える物語のことです。
優れた人間(地位や名誉や権力を持っている、頭脳明晰である、など)が自身ではどうしようもない困難や障害にぶつかり、それに対し苦悩するさまなどを描いているものが多いです。
授業で教わったのは『観客にとって、自身よりも優れていると感じる人物が悩み嘆くさまを見る』というのが『悲劇』ということ。
『オイディプス王』もそうですし、シェイクスピアの『ハムレット』など四大悲劇として知られる作品たちの多くもそうですね。
王、皇太子、領主、そういう高い地位の者たちが、人間らしく悩み嘆く姿を描いているのが『悲劇』です。
人間の儚さや無力さ、世の無情などを切り取っているんでしょうね。そして、観客はその登場人物たちの悲しみに共感する。
こういうのが『悲劇』です。わかりやすい。

『喜劇』はもちろん、その逆でハッピーエンドの物語です。
お話をひっかきまわしたり進めたりする、愉快な道化も出てきたりします。全体的に風刺や笑いに溢れ、滑稽で、楽しい物語になっています。
『観客にとって、自身と同等もしくはそれより劣ると感じる人物が何事かに巻き込まれ翻弄するさまを見る』といったところ。
わたしはシェイクスピアの『夏の世の夢』『お気に召すまま』などが好きなのですが、これがまさに『喜劇』です。
端から見ていると馬鹿らしいことや滑稽なことに真剣に向き合って翻弄されるさまというのは、現代だとお笑いのコントみたいなものかもしれません。
観客にとっては滑稽で面白いけれど、登場人物たちは決して面白いことをしようとしているわけではなく、いたって真剣で真面目なわけです。
舞台上の人物たちがあくまで真剣に、端から見ると滑稽だなと感じるようなことをやっているのが面白いっていうのが『喜劇』です。たぶん。

どちらも共通して言えるのは、登場人物たちは目の前にある何かに対して、真剣に向き合っているということ。
その大小は関係なく、復讐だったり恋だったり、彼らは様々なことに悩み、翻弄されているわけです。
ただ、描き方ひとつで『悲劇』か『喜劇』かが変わる。

たとえば、わたしが何かに悩み、落ち込んでいたとして、その事象自体は『悲劇』に思えても、誰の視点から見るかによって滑稽な『喜劇』に変わるかもしれないわけです。

今のジャンルの分け方は『悲劇』と『喜劇』というより、『シリアス』と『コメディ』という感じでしょうか。
それらが入り混じったものもあります。『悲喜劇』というものも存在していますしね。

『悲劇』か『喜劇』か、はまあ置いておくとして。

『水星の魔女』『テンペスト』と同じように、主題歌のタイトルでもある『祝福』が最後に待っていると思いたいです。

呪縛を解いた子どもたちの先に祝福が待っている物語だと信じているよ。

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