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謹賀新年🎍


(約700字)


 元旦には、ゆっくり朝がやってきた

 前日の大晦日に除夜の鐘を聞くこともなく、就寝した

 うっすらと朝の光がカーテンの隙間から差し込むマッサージチェアに座って、背中をほぐしているときだった

 隣りの部屋で暫く続いたボソボソと話す声がやみ、音楽をかけながら目を閉じる私の横に母が立っていた

 「親しい人がね、昨日の夜、胸が苦しくなって入院したのよ」

 私は怪訝な顔で母を見ていたと思う

 全然、誰のことだか思いつかない


 「すごく仲がいい人だよ」

 母が残念そうな声で、無理やり口角を上げながら両手を摩っていて閃いた

 楽しい音楽が流れているのに、涙が止まらなくなっていた


 悪いことは重なるのか、年が明けたというのにコレと言って良いことはない

 初詣は、一日(元旦)と三日に行くのが良いとされているが、今年はまだ神社に参拝していない


 そういう年もあるのだろう


 SNSで流れている情報、
 リアルで起きている状況、
 未来に向かっていく希望、
 過去から逃がれたい現実、
 現状を変えられない身体、


 笑えることなんか一つもないけれど、
実家を訪問する人がいれば愛想よくする

 年が明ければ、お祝いを言うのがセオリーで、昨年から辛いことばかりが続いていて

 笑わなければならない

 笑うけれど 心の中では笑えない


 「SNSを止めなさい」
と言う家族の反対を無視して、続けていた結果の辛い経験‥‥自分の至らなさに家族には申し訳なさと裏切りの嫌悪感しかない


 家族は私には「幸せ」しか願わない

 いつも迷惑ばかり掛けている

 それでも、私を信じてくれる


 本当の優しさは、身近な人が健康で、
楽しみを心の底から願うもの


 血肉をわけた間柄には、本音でも許される場合がある


 SNSは「それなり」を求めている




椿







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