眠っている間に涙がこぼれていた夢
(約800字)
昔、まだ一人暮らしする前に、すごくすごく
好きな人がいて、以前にも記事にしたことがある人。
今朝は美容室に行ってきて、帰ってくると
横になって、短歌をいくつか書いていた。
そのうちに眠くなって、夢を見ていた。
好きな人の名前は、いまだにフルネームで覚えていて、私は会ったときと変わらない夢の中のその人と話をしていた。
私が困っていると話すと、家が近いから
いつでも話を聞いてくれると言うのだ。
(夢の中のはなし)
実際は、
私がかたい職場で受付をしていたとき、
その人が申請書類を提出しにやってきた。
名前は書類を見なくても知っていたし、心臓は相手に聞こえるんじゃないかと思うくらい、バクバク音を立てていた。
書類には好きな人の住所が書いてあった。
個人情報だけど、何年かは記憶していた。
以前に聞いた住所とは違う場所で、指輪はしていなかったが、結婚していたのかもしれない。
カウンター越しに、申請に必要な内容を話した。
その人が何か言いたげだったことは
覚えている。
一度、その人は自分の職場の方に歩いて行って、また私が見える位置まで戻ってきて立ちどまり、向きを変えて行かなければならない方向へ歩いて行った。
まだ、その光景を思い出す。
眠っている夢の中で、その人は私の腕を少し支えるような距離感で立ち、笑いながら大丈夫だよ、って話すから、私も頷いてその腕に触れていた。ちゃんと皮膚の感触があった。
夢の中だけど。
眠っていても意識があるから、覚めてほしくはなかった。でも、目から溢れてくる液体を拭くために覚めなければいけない夢だと思い、目を開けた。
現実にも涙が出ていて、こうして書いている間も、泣けてくる。
あの恋を自分が失わなかったら、苦しむこともなかったと、ずっと後悔している。
それでもまわりの景色が薔薇色になっていた
あの頃の私を、すごく好きだった。
自分の存在を認めてくれたあの人と、自分を好きになれた時間を思い出すと、私は幸せな気持ちになる。
誰かの幸せを願うと、自分も幸せになると
教えてくれた人。
まだ、幸せ。