オトナの色気
この記事は、ミドル世代個人の独自見解です。
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先日、日本武道館で行われたエリック・クラプトンのLIVEに参戦した。
『エリック・クラプトンは、イギリスのミュージシャン、シンガーソングライター。 史上最も重要で影響力のあるギタリストの1人とされる。ブルースギタリストの影響を統合し、独特のスタイルを作り上げた。1945年3月30日生まれ(78歳)』(Wikipediaより引用)
LIVE前、隣席に制服を着たおとなしそうな男子高校生が座った。はじまってほどなくして、半端ない横ノリになっていた。なんだか微笑ましかった。
私のクラプトンデビューは、高校生だった。
デニム店で働いていた友達が、お勧めアーティストのCDを貸してくれた。それが、『Unplugged(邦題:アンプラグド〜アコースティック・クラプトン)』というアルバムだった。
キレやコクのある珈琲のように、聴覚に注ぎ込まれていく音色。深い情念を感じた。
不慮の事故で失った息子を思った曲「Tears in Heaven」は苦く。
『しあわせの決断』というドラマのオープニングに流れていた「wonderful tonight」は、シーンを大人の雰囲気に変えられる素敵な曲だ。淡く儚い旋律が何度も聴きたくなる。はじめて買ったシングルCDだった。
渋谷系と呼ばれる、一大ムーブメントをご存知だろうか。この頃リリースされたアーティストたちの感性が作り出した音楽である。
カヒミ・カリィやラブ・タンバリンズ、ピチカート・ファイブはブーム真っ只中ではなかったが、私も好んで聴いていた。
つい、懐かしく90年代を振り返ってしまったが、クラプトンのような70代の日本人アーティストはほかに、誰がいるだろう。
思い浮かんだのは坂本龍一氏だった。
ちょうど、タイムリーに71歳で逝去した報道を目にしていたからか。いや、類希なる才能や存在感。大人の色気を感じる佇まいは、クラプトンと共通した魅力だ。
なぜ、そのような魅力を感じるのか。顔立ちが整っているだけで「大人の色気」は出せるのか。
いや「出てしまう」のではないだろうか。
まずもって、坂本氏が俳優として映画出演した作品「戦場のメリークリスマス」を、どんな作品なのか知らなかった私。
レビューを読んで衝撃を受けた。
個性的で気悦な人たちが集結している。奇跡的なキャスティングの作品。撮影中も、さぞかしアーティスティックだったのではないだろうか。
そうして、坂本氏が残した楽曲に触れていった。
テクノなYMO、「い・け・な・いルージュマジック」でロックな忌野清志郎氏とコラボしたお化粧姿。はたまた、元妻とのピアノセッションなど。
元妻、矢野顕子さんと一緒に音楽番組に出演されていたyou tubeを観た。ふたりは衣装も個性的でオシャレだった。
坂本氏が18歳になった娘、美雨さんのことを語ったトーク番組を観た。『まだ13歳の娘に「お母さんより好きな人ができてしまった」と話した。隠し子がいると報道に出ていたが、隠してはいない。正確には子供は4人いて、子供同士が会うこともある』とオープンにしていた。
お茶目にダウンタウンと一緒にコントしている姿も観た。
大島渚監督の弔辞視聴後に流れた「戦メリ」に、泣けた。
才能ある仲間と、いい仕事をして高めてきた能力がある。ヒットして、ファンができる。一定の評価が得られる。賞賛され、その自信に満ち溢れている。
気取らず、驕り高ぶることなく「自分のことしか考えてなかった」と恋に落ちる。そして、恋した相手を必ずモノにする。
「愛さないと良いものは作れない」とトーク番組で、女優を相手に口説くように語りかける。
一頻り坂本氏の魅力に触れてしまっているうちに、クラプトンLIVEの当日を迎えた。
LIVE参戦後、何度も聴いても好きになれない「いとしのレイラ」という曲について、ようやく知りたくなった。
クラプトンは、ビートルズのジョージ・ハリスンと親友だった。
親友の妻パティ・ボイドに恋愛感情を持ち、その苦悩を「いとしのレイラ」に表現しているのだ。
御年78歳にして今もなお、情熱的に恋をして愛した女性のために作った歌を変わらぬ熱量で歌う。
その姿に衰えなど微塵も感じなかった。
渋谷系のピチカート・ファイブボーカル、野宮真貴さんは御年63歳。御御足綺麗で、いつもミニスカート。とてもオシャレだ。
「年齢は記号」と夏木マリさんや窪塚洋介さんが話しているのを聞いたことがある。
過去、現在そして未来へ。
変わらぬ熱量で、能力を磨き続ける人たちに共通する「大人の色気」に私はまだまだ魅了されそうだ。
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