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狂犬病の暴露後接種注射を打ちました 1
石拾い専門雑誌は創刊1周年をゆうに超えました。もうこれは老舗雑誌と言えますね。雑誌業界の厳しい荒波を1年以上も乗り越えてきたんですもの!弊雑誌はいつも楽しい話をするように心がけていますが、一転今回は真面目なお話です。
海外で犬に噛まれたら狂犬病の暴露後接種を受けましょう!できれば、破傷風も。
私はネパールで2回犬に噛まれました。1度目は飼い犬に、2度目は野良犬に。飼い犬のほうは私の無知ゆえの落ち度です。だってかわいい瞳でこちらを見つめてきたんですもの。犬種はよくわからないのですが、小型犬でおそらくは血統書がついているような犬です。知り合いの犬でしたし、かわいいから撫でていたんです。そうしたら右手をかぷっと甘噛みされました。
犬の甘噛みがどのくらいの強さかはわかりませんが、コザクラインコのヒミちゃんの甘噛みよりは全然刺激がありました。歯の跡が皮膚につきました。具体的には皮膚にへこみがつきました。出血はないしひっかき傷もありません。皮膚がへこんだだけです。そしてそれも時間が経って消えました。噛まれたのは午前11:30頃です。
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最初はネパールの鳥ぶらんこを警戒していたものの噛むほどには慣れてくれた。かわいすぎる💛
その時は狂犬病なんて頭になかったので、手も洗わずにそのまま昼食を取りました。正確に言えば、その間にトイレに行ったので手は洗ったのですが、狂犬病の暴露後に洗うようなやり方では決してありませんでした。そしてその日の夜になって少し気になったので狂犬病について調べたら、たとえ甘噛みであったとしても、直接皮膚を噛まれたら狂犬病に暴露したと考えるということがわかりました。
それでいろいろと調べた結果、噛まれて24時間以内に1回目の暴露後接種をする必要があると知りました。翌日11:30までですね。
ただし、ワンちゃんがワクチンを接種していたら私が打つ必要がないかもしれないと思い知り合いにメッセージを送りました。既読無視だったので打っていないと判断し、滞在先(私はアーティストインレジデンスという芸術家のための施設に滞在していました)の人に土曜日開いている病院を聞きました。ネパールでは土曜日が公的な休日です。
そこで紹介されたのがSukraraj Tropical & Infectious Disease Hospitalです。
emergencyは24時間対応と書いてあります。レジデンスの人に状況を説明したら、直接そう言われたわけではないのですが、打たなくても大丈夫では……という反応でした。私もそう思いました。傷ひとつないのですから。正直、甘噛みでも暴露とかWHOめっちゃ心配症とか思いました。
でも、翌日私は朝から病院に行きました。理由は2つ。ネパールの病院に行ってみたいという好奇心と、ワクチンを打つかどうかは私が決めることではなく医療従事者が決めることだと思ったからです。不要であれば向こうがそう判断するはず。
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徒歩30分超。Google mapsが案内する場所に到着しても特に病院らしい雰囲気はありません。近くの人に聞いたら別の入口を案内してくれました。私はこの方にすごく感謝しています。なぜなら上記の病院は感染症が専門だそうです。私はマスクをしていました。マスクをしていて感染症専門病院に訪れる異国人に対して、口頭で道を案内するだけではなく途中まで一緒に歩いてくれたのです。コロナ禍を経た中でこの行動は簡単にできるものではありません。
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病院の入口の場所は多分この辺くらい。
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何もわからずどんどん中に進んでいった私は、建物の前にある簡易受付のようなところにいた人に状況を説明しました。土曜日なので簡易受付です。その人はマスクをつけていたので医療従事者のような感じがしました。後に本人に注射をしてもらったので看護師と判明。
看護師から複数の質問を受けました。記憶にある中からできるだけ書き出してみます。
ここで何をしたいのか? -狂犬病(Rabies)の暴露後ワクチン接種をしたい。犬に手を噛まれた
いつそれが起きたのか? -昨日の午前11:30
どこを噛まれたのか? -右手のこの辺。傷はないけれど
飼い犬か野良犬か? -飼い犬
その犬は、ワクチン接種をしているか? -飼い主に聞いたが返答がなかったため打っていないと思う
噛まれたのかひっかかれたのか? -噛まれた
歯で噛まれたのか? -はい
あなたは、狂犬病のワクチンを接種したことがあるか? -いいえ
あなたはどこから来たのか? -日本から
最低限の英語ができて損はないです。本当に!でも英語ができなくても行ってください。テクノロジーを駆使すればなんとかなるはずです。
質問を重ねていく中で、看護師さんも私の右手を見て判断しかねているようでした。受付のもう1人の人に私の手を見せながらどうするかを相談していました。受付のもう1人の人が「うーんイエス」のような素振りをしていたのを覚えています。
カウンターに行ってチケットを買うように言われました。
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150ルピー。個人情報ぽいものは隠した
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チケットを受け取ったらまた簡易受付に戻ります。そこで受付の人が書くノートに自分の名前を書いてもらったり、チケットに接種日などを書いてもらったりします。それが終われば列に並んで摂取を待ちます。
多くの人が狂犬病暴露後接種での受診です。手に包帯を巻いているおじいさん。手へのひっかき傷が目に見えてわかる小さな子ども。おばあさんは息子と思われる男性と一緒に来ており足元を噛まれたようです。私が行った時間帯は15人くらい人がいました。
この病院での狂犬病の暴露後接種は筋肉注射らしく(コロナのワクチンに似ていたのでそう判断しましたが皮下注射かもしれませんしそういうタイプの狂犬病ワクチンもあるようです)、腕に注射します。私は静脈注射だと思っていたので長袖をまくって待機していましたが、アームだと言われたので長袖シャツを半分脱ぎました。ちょうど下にはTシャツを着ており肌の露出は最低限に。ラッキー。カトマンズは暖かいとは言え冬ですので、あまり肌は出したくない状況です。
右腕が終わったら今度は左腕。両腕に打つとは思わなかったです。注射前に脱脂綿で打つ場所の皮膚をぬぐうのですが、消毒液のひやっとした感じはしませんでした。打ったのは大体午前9:30過ぎ。噛まれてから22時間後くらいです。受け付けから接種まで全部で20分もかからず終わりました。
次回の接種は3日後です。その次は7日後。私はワクチンを打つたびにその日から日数が増えていくのだと思っていましたが、初回に打った日から3日後7日後ということでした。
で、その後知り合いから連絡がありワンちゃんはワクチン接種をしているとのこと。早く言ってほしかったですね、これは。暴露後接種のために次の旅先の飛行機の日程を変えたのですから。旅先にはワクチンがないから(カトマンズの医療従事者曰く。しかし後ほど覆されることになる)という理由で。そして旅程を変えたことで出発時間が朝の9時半から8時に。早起きしなければならないことになりました……まあそれは良いのですが。
結局私はネパールで3回打ちました。いつワンちゃんがワクチンを打ったかはわかりませんから。14日間(10日間説も)ワンちゃんが狂犬病の兆候を示さなければもう打たなくて良いそうで、噛まれてから14日後はちょうど帰国日。その前日に知り合い(実は飼い主ではなく預かっていただけっぽい)から連絡があり、ワンちゃんは元気だということでした。
しかし安心できないことが途中で起こったのです。なんと、最初に噛まれてから6日後、ルクラで野良犬にお尻を噛まれました。こちらも甘噛みで血は出なかったのですが、野良犬だったので大変ショックを受けました……野良犬編は次回に続きます。最初に言っておきますが、ルクラでは私から犬に触りませんでしたからね!いつの間にか犬に後をつけられて囲まれて噛まれるという大変悲しいことが起きたのです……
みなさんも海外渡航の際には動物に気をつけてください。犬もそうなのですが、猫も猿も危ないです。そして特にコウモリ。コウモリは吸血鬼として物語に登場することがありますが、あれは狂犬病のことなのではないかと思うようになりました。人が狂犬病になると他人に噛み付くこともあるそうです。そして噛み付かれた人も狂犬病になる可能性は完全には否定されていないみたいです。
今回の記事は、もしカトマンズやその周辺にいる際に動物に噛まれたり引っ掻かれたりした場合の参考にしてください。
次回はルクラ(ネパールの地方)で野良犬に噛まれた……編です。
海外で犬に噛まれた人は次回を待たずにすぐに現地でワクチンを打ってください。あと、帰国したら必ず空港の検疫所に行くこと!次回か次次回で説明しますが、帰国後の通院で金銭的負担が非常に軽くなります。
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