リポート 最新石拾い ❶
石拾い専門雑誌として石拾い情報をリアルタイムで更新していくことは需要に叶うはず。もっとも、最新の石拾いは石ではなく火山灰となった。しかも大量に必要だったため購入した。最初から石拾い道を外れるリポートとなったが、スコップを使い自ら土嚢袋に詰めるという、結局は石拾いに似た肉体の酷使となったので容認してほしい。
今回どうしても車が必要だったので親に車を出してもらった。公共交通機関民のくせに!と罵ってもらっても構わないが、むしろ家族総出で火山灰を採取したことに笑ってほしい。母は黄砂を気にし行くのやめようとしきりに言っていたが、いつの間にかゴム手袋とちりとりを持参し火山灰を土嚢袋に詰めていた。父は絶対に手伝わないと言っていたが、結局自らの意志で土嚢袋を車のトランクに運んでいた。強調しておくが、私は母に車から出なくていい、父に手伝わなくていいと何度も言った。だって採取場の従業員に見られるの恥ずかしいじゃん。結局親も火山灰採取という非日常を楽しんでいたのだと思う。
土嚢袋に土をパンパンに詰めた状態は20kgである。そして学生時代によく使用した石膏の粉が入った袋も20kgである(記憶の中では25kgだったけれど今調べたら20kgしかない……)。私は石膏袋を彫刻科の同学年の中でほとんど唯一まともに持てない奴だった。学生の頃から15は歳をとった今では20kgはもう持てない。今回の採取にあたっても土嚢袋にパンパンに詰めたら持ち運びが困難になることは予測できたので、おそらく1袋15kgから17kgくらいまでしか入れていない。そんな非力な私が何十kgも車なしで運べるはずがない。時に車は必須である。特にお金を払って大量に購入する場合には。
この日は特に風が強く春一番かと思う突風も吹いたし黄砂飛来に関し注意報までも出ていた。火山灰を採取する際に要注意なのは車に火山灰が付着することである。鹿児島県に行ったときに、桜島からの火山灰が日常的に降り積もるという地域の事情から下手に洗車をしてはいけないことを学んだ。火山灰を布か何かで拭き取ろうとすると車の表面がいたく傷つくらしい。コイン式洗車機もブラシを使うのでダメらしい。いきなり水をかけてもきれいに洗い流せず逆に固まる恐れもあるとのことで、車に火山灰が付着したらブロアーや羽はたき🪶を使って取り除く必要があるため面倒なことになる。火山灰とはすなわち細かなガラスのことなので、ガラス入りの研磨剤で車を磨くことを想像すると傷つき方はおよそ甚だしいと想像できるだろう。
そしてこの日は風が特に強かったので父の車はおそらくひどいことになった。後述する玄関で火山灰をふるいにかけている時に父が洗車をしているのを見かけた。だいぶ時間をかけていたからもう二度と採取場には行ってくれまい。
購入するとはいえ自分で採取するくらいだから、鹿児島の土産屋で売っているような目の細かさが統一されたサラサラの火山灰がいきなり手に入るわけではない。採取した火山灰には少なくない石が混入しているため取り除く必要がある。これは石拾い専門雑誌だが、今回の目的はもちろん下の画像にある「取り除かれた石」ではない。
まだ寒さの残る3月末から4月頭の札幌の玄関先にて灰と石をふるいにかけて選り分ける作業が始まる。これがえらく大変で、土嚢1袋につきおよそ50分程度を要する。ラジオやYouTubeを聴きながら気長に作業をするほかない。しかし、辛くはあるもののこれはこれで楽しかった。感覚としては確定申告と同じである。たまにする単純作業は頭が休まる。
特に私の場合は制作において達成感が少ない。まず第一に物をあまり作らないし、どこまで行ったら完成かはいまだにわからない。しかしこのふるいにかける作業は明らかなゴールが設定されている。土嚢袋が空になりその結果としてさらさらの火山灰を見ることは大変な喜びであった。
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