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既刊案内「神田坂語り」の誕生

2022年秋、地図ラーの会は「江戸っ子の聖地 神田まち歩きシリーズ」と題してまずは第1弾「神田坂語り」を発刊した。神田の坂道をくまなくご案内するという作品で、その裏話というかナイショ話を…。

このシリーズを出そうと思ったのは、単純に僕が神田で生まれ育った場所だから。千代田区神田北乗物町という小さな町で生まれて、地元の小中学校に通い、社会人になってからもしばらくは神田に住んでいた。

そしていま、地図ラーの会として千葉のことを調べ、たくさん歩いて、すごく詳しくなった。その知識を活かしてまち歩きイベントをおこなうと、よく「地元のことなのに全然知りませんでした、これから散歩が楽しくなります」という嬉しいご感想をいただく。そうですよね、地元はかえって身近すぎてわざわざ学ぼうとは思わないですよね…。

はっと気づいた。そうだ、僕だって地元のことを全然知らない。神田のことを何一つわかっちゃいない。身近すぎて興味が湧かなかったのだ。

東京スリバチ学会のイベントなど、東京を拠点とする数多くのグループの方々は、東京出身ではないのにホント東京をよく知っている。僕は四半世紀も暮らしていたのに、神田のこと、東京のことを、彼らよりはるかに知らない。これはあまり気持ち良くないぞ。少しは地元のことを知らなくちゃ…。

ということで、まずは神田学会というグループに入会した。神田のことをもっと学ぼうという、神田で暮らす働く地元の方々を中心に活動している。そして学会では神田ルネッサンスという機関紙や、ほかにも数多くの書籍を発行している。僕は学会の講演会にも出かけて行き、まずは神田のことをよく知ることから始めた。

まぁホント知らないことばかりだ。やるせない。でも面白い。こんな歴史がこんな身近にあったのか…。

そこそこ知識や資料が集まり、さぁそれでは神田の情報を発信しよう。僕が神田を調べてみて興味を引かれたのは、坂道、路地、旧町名、神社など。地図ラーの会はこれまで色々なエリアのイラストマップを作っているので、まずはまち歩きの時に持っていける詳しい神田地図を作ろう。これはきっと面白くなるぞ。

とりあえず日本橋マップとセットで神田マップを作った。でも情報が多すぎて字が小さくなっちゃった。老眼にはちと辛い。まぁ、まち歩きするにはとってもお役立ちなんだけど、なんとなく食い足りない。やりたいことはもっとたくさんある。もちろん神田は全部を網羅することはできないけど、もっともっと書きたいことがある。

神田まち歩きガイド

神田は千葉と違って情報が多すぎるのだ。千葉市よりも歴史は浅いんだけど、何しろ日本の中心地として発展しているし、徳川家康が江戸に入ってからの変化が凄まじい。そして首都だし人口は多いし、ここを調べる人、語る人、深掘りする人は千葉の比ではない。探せば、というか探さなくても面白い情報はそこらじゅうに落ちている。こりゃ、どんなにやってもまとまらない。まとめるのは不可能だ。

これ以上のマップを作ることは一旦断念して、今度は1つのテーマに絞ってみることにした。そうすれば何とかまとまるし面白い。まぁこれも誰かがたくさん発信してるだろうけど、地図ラーの自慢は「ひとりよがり」だ。解説もするけど、自分はこう感じた、思った、萌えた、がメインなのだ。だからバッティングなんてありえないし、そもそも人の話を聞いちゃいない。安心して(?)進めよう。

神田駅の辺りは低地だけど、少し歩くと御茶ノ水駅や九段の台地に突き当たる。神田周辺は坂道の宝庫なのだ。でも、坂道を歩いて楽しむだけだと気が済まない性分なので、どうやってその魅力を伝えようか、三日三晩悩んだ(嘘)。その結果、大好きなランキング方式で坂道を紹介することにした。魅力度ランキング。いったい坂道の魅力って何だろう?

まずは御茶ノ水周辺の坂道の数字を調べた。位置と標高と距離がわかるので、図のような坂道の物性データを楽々ゲットできる。スマホがなかった伊能忠敬の時代とは違うのだ。

そして自分が坂道を歩いてみて、何に魅力を感じるのかを探った。客観論じゃなくてあくまで主観。自分がどう感じるのかをGoProに録音した。いつもそうなんだけど、その場で感じたことって大事なのだ。3歩歩くと忘れちゃうからね。

坂道の6つの魅力ポイント

でも、思いっきり怪しいよね。御茶ノ水といえば学生街。その中をカメラと地図を持ってGoProを構えてブツブツしゃべるわけだから、目立たないわけがない。でも誰も声をかけてこなかったのは、やっぱり君子危うきに近寄らず。遠巻きに見ている人ばかりだった。これは助かった。通報でもされたらシャレにならんから。

そうやって集めた情報で一気に1冊の本を書きあげていった。坂道の魅力度も数値化したので、僕のオススメの坂道も一目瞭然。タモリさんの坂道解説とはかなり角度の異なるガイドになったけど、これでいいのだ。

対象は旧神田区のみ。九段坂など旧麹町区を含めるときりがないから。図のような24坂とした。紙面は淡路坂のページのように詳しく主観中心。

書き終わって結果、自己満足100点!これはいいものができた。でもこのガイドを誰が読むんだろう?と思ってたけど、もう2度目の増刷。けっこう物好きっているんだな(笑)。

お買い求めは地図ラーの会オンラインショップへどうぞ。西千葉みどり台「いとなみ書店2.5」でもお取り寄せできます。

神田坂語り 500円
https://chibachizu.base.shop/items/68654225
神田マップ 300円
https://chibachizu.base.shop/items/62267682

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