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地図ラー増刊号「川偏愛」誕生秘話

念願だった川の本、川のことだけしか書いてない本を発刊できたのは2024年12月、構想からというか、思いついてから4か月でカタチになったのはそれだけ思いが強かったということか。もちろん、地図ラー機関紙やガイドブックも思い入れたっぷりなんだけど、僕にとって川は歴史が断然長い。この事情は本誌に記したので機会あれば読んでいただきたい。そんなに面白いものではないけど(笑)。

本を作るきっかけは、いつもコミケでご一緒する地図仲間が発刊した『地理交流広場』の号外、小字特集という本。おいおい、小字だけで本を作るのかいな。そんなマニアックなテーマに絞るのもアリなのかいな。早速2024年8月の夏コミでその本を購入して、これが大きなヒントになった。

今までの地図ラーの機関紙は、それぞれが自由に投稿してもらった作品を掲載していたんだけど、テーマで括ってもいいじゃん。だったら川じゃん。と頭が回り始めると、セッカチ発令でもう止まらない。

早速、川が大好きな地図子さんに声をかけた。地図子さんとは2017年の「地図カフェ」というイベントで知り合い、以降コミケや地図関係イベントで何度もご一緒させていただいている。彼女からは即答でぜひ!とのことで、このプロジェクトは突如動き始めた。せっかくだからもう1人引きずり込もうということで、地図子さんの知り合いのカワマミコさんにも声をかけて、こちらも快諾!さぁやるでー。

地図カフェの様子

やるとなったら善は急げ。すぐに企画を練る。構成は共通テーマを1つ、自由テーマを1つ、3人で書くから全部で6つの作品を載せよう。10ページずつだと全部で60ページ、ソコソコのボリュームになるからきっと読み応えのある本になるだろう。コンセプトは川の魅力を語ることで、隠れた川好きを掘り起こそう、川を語る仲間を増やそうということにした。

共通テーマは3人でZoomミーティングをおこない「多摩川」に決定。地図子さんもカワマミコさんも思い入れの強い川は多摩川なのだそう。僕も多摩川だったら何かと縁がある。神田川、隅田川を見て育った僕にとって、初めて見た河原のある川は多摩川だったし、高校から大学まで通学で毎日渡った多摩川、岸辺のアルバムの舞台にもなった。まさに創刊号にふさわしい川が見つかった。これは楽しいぞ。

ところで僕は今まで川の本を3冊出している。「養老川偏愛物語」「四万十川弾丸ツアー」「天塩川弾丸ツアー」の3冊だ。この中で養老川については研究レポート、四万十川と天塩川は旅行記の体裁になっている。さぁ今回はどうすべぇか。

でも、こういうところで悩まない(あまり考えてない?)のが僕の強いところ。多摩川については「合流点」めぐりに決めた。僕は川の合流点が大好きで、犀川と千曲川の合流点を見るためにわざわざ長野まで出かけたこともあった。なぜ合流点?と説明を始めると終わらないのでこの話は別の機会に。いや、そんな話は聞きたくないかな(笑)。

同時進行で、この3人で座談会をやってみようということになり、10/31に二子玉川に集まった。GoProで撮影しながら多摩川の河川敷で約1時間の川談義。この様子も本に載せることにした。同じ川好きと言っても方向性がこんなにも違うのか、ちょっと驚きつつ感動しつつ。

発刊目標は年末の冬コミ。ここでデビューさせよう。そうなると原稿締め切りは11月末だ。でも、そんな急展開にみんな付いてきてくれた。感謝。そして自分を追い込むことにもなる…。これはいつも通り。

11/9と11/13に撮影に行った。千葉から多摩川は遠いので、上流に行った時は早朝千葉発の特急あずさ、中流~下流も朝一で出かけて1日撮影してきた。なぜこういう時はこんなにパワーが出るのか、川場の馬鹿力?とにもかくにも楽しくて楽しくて体力を酷使して消耗した2日間だった。

そしてもう1本は何を書こうか。こちらもすぐ決まった(笑)。僕が小中学校の時に家でコツコツやっていた、全国の川のトレース作業。これを再びやってみよう。当時は日本地図の上にトレーシングペーパーを重ねて、海岸線と川だけのマイ地図を鉛筆で描いていた。この楽しい作業も今はPC上で簡単にできる。

東日本、基本的に長い順番+特徴的な10の川をピックアップした。地理院地図とカシミール3Dスーパー地形、そして紙地図帳も駆使しながら、川の流路をペンタブでトレースしつつ、地形や景観に思いを馳せながら上流から河口までを辿っていく。北海道の天塩川は実際に辿ったことがあるのでイメージがあるけど、石狩川は見たことある程度、北上川も最上川も似たようなもの。でも、未知の川を地図上で見ながら、想像する(妄想?)作業は至福の時間だ。石狩川の三日月湖、北上川の西側にのみ広がる扇状地、最上川の盆地と狭窄部の繰り返しなどなどなどなど。作業しつつもどうやっても行きたくて行きたくて仕方ない。でもまずは完成しなくちゃ。でも行きたい、拝みたい、感じたい、みんなどの川も。

でも作業スピードは速い。仕事だと途中で何度も休憩したり、ノビをする時間、お菓子を食べる時間も必要だけど、川のことになると時間を忘れて没頭できる。そして面倒な推敲作業も驚くほどのスピードで進む。やっぱり好きこそものの上手なれ、なのかな。

地図子さん、カワマミコさんからも順調に原稿をいただき、編集して校正して12月中旬に校了、めでたくコミケに間に合わせることができた。ゼロから作ってこのスピード、ホントあり得ないような速攻で本は完成した。

それぞれのテーマで執筆
多摩川テーマ
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