
プレイリストは"不快のデザイン"か?
東京は丸の内で開催中の「世の中を良くする不快のデザイン展」ふらっと行ってきました。なんたるかと聞かれれば、『“不快”を効果的に使うことで“世の中を良くするデザイン”になっているコト・モノを、心理効果から紐解き展示する企画展です』、です。
あえて不安になる音階で作られたNHKの緊急地震速報音、誤飲防止のためにあえて苦味成分を塗りたくったNintendo Switchのカセットなどが、少し広めの吉野家くらいのスペースに展示されていました。

1."面倒な工程"
"面倒な工程"を一つ挟むと本来の価値が高まるというなんたら効果があるそうです。横文字の長いやつです。コンサルタントフローリングみたいなそんなやつ。気になる方は行ってきてください。僕の記憶力はそんなもんです。
実例として、最初は全く売れなかったホットケーキミックスが「卵を入れる」という1工程を加えるだけで爆発的なヒットを記録したことがでかでかと記載されていました。「卵で味が美味しくなっただけじゃねえの」という無粋な疑問が浮かばなくもなかったですが、こっちは真実を確かめようがないのでまあよしとします。
より納得がいかなかったのはその隣の「自分で作るプレイリスト」という項目。「もともと用意されたプレイリストよりも、"面倒な工程"を挟んで自分が作ったプレイリストの方が愛着が湧き、利用頻度が高くなります」。
ちょっと無理がありませんか???そもそも面倒か?プレイリスト。

2.じゃあサブウェイがヒットしてるはずだ
"面倒な工程"一つでヒットを呼べるなら、日本における最大のファストフードチェーンはサブウェイのはずです。パンから野菜からソースから自分好みにする"面倒な工程"を詰め込んだ店なんですから。
ただ現実は「ビッグマック」という明確な正解があるマクドナルドが覇権をとっています。マックに"面倒な工程"なんて一つもありません。
SpotifyないしApple Musicでプレイリストが流行る理由は、できあいのサンドウィッチよりも間違いなく美味しいものが作れるからじゃないでしょうか。出来合いのサンドウィッチのクオリティが高く、自分で1から作る必要がないのが多分サブウェイの敗因。多分。
Spotifyに最初からあるプレイリストよりも、自分で作ったプレイリストの方が好みにあった曲だけを聴けるのは言うまでもありません。
「面倒な工程で愛着が湧く」はちょっと暴論じゃないかな、と。電通クリエーティブさん。もし暇だったら返信ください。暇なわけないけども。
なーんて言いながらも、展覧会自体はしっかり面白かったです。公開されていた緊急地震速報の音階を家に帰ってから電子ピアノで弾いてみるくらいには面白かった。みなさん、ぜひ。