久保田成子展@東京都現代美術館
「Viva Video! 久保田成子展」
2021年11月13日(土)- 2022年2月23日(水・祝)
東京都現代美術館にて開催していた久保田成子先生(1937-2015)の回顧展です。NYの久保田成子ヴィデオ・アート財団の収蔵作品をもとに、美術家としてのあしどりをたどります。
新潟の旧家で育った少女期から、フルクサス関係者との交流をへて、1960年代初頭にアメリカへ移住し、ヴィデオアーティストとしての活動を軸に、ニューヨークを拠点とするアジア系アーティストとしての地歩を固めていきます。オノ・ヨーコとの関係や、夫・ナムジュン・パイクとの協働などを明らかにする作品や資料の展示は、歴史的にみても興味深いものでした。
1960年代にアメリカで最高潮に達していたウーマンリブを背景に、アーティストとしての足場をパワフルにかためていく軌跡は、たんにナム・ジュン・パイクの「糟糠の妻」像ではとらえきれない日本人アーティストの生を浮き彫りにします。
東京周辺で行われている展覧会をいくつかながめていて、あえて「女性」を強調しないニュートラルさが、「女性」作家をとりあげる展示のいまどきの傾向なのかな、と、勝手に思うこともあったのですが、久保田展は、「女性」であることを含めて作品や作家を歴史的視座からトータルに再考していて、とてもみごたえがありました。「女性」であることからの逃れがたさもふくめて、過去も現代も未来もつながるひとつの地平を思うしだいです。