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クリスチャン・マークレー展覧会@東京都現代美術館

クリスチャン・マークレー
トランスレーティング[翻訳する]
* 2021年11月20日(土)- 2022年2月23日(水・祝)

年度末のせわしなさです。

清澄白河の美術館、会期末に飛びこみました。


クリスチャン・マークレー先生(1955-)は、アメリカ/スイス国籍の、音楽家でヴィジュアルアーティスト。70年代末からレコードやテープを使った音楽パフォーマンスを行い始め、現在は英語圏を代表する現代作家のひとりとして活躍なさっていらっしゃいます。



ノイズがひたすらかっこいい。うっとり。

アメリカ国内でサウンドアートのパフォーマンスで注目をあつめていき、1990年代初頭からヴィジュアルアートの分野にも進出していったようです(制作そのものはずっと続けてきたのだと思いますが)。

マークレー先生は、スイス人の父とアメリカ人の母のもとで育ち、ジュネーヴ高等視覚芸術大学とマサチューセッツ芸術大学でアート教育を受けたそうです(ウィキ情報)。みずからの活動をジョン・ケージやオノ・ヨーコらフルクサスの流れに美術史的位置づけをするなど、知的で正統派の帰国子女、的、な感じでしょうか。。

そうした出自が反映しているのか、定かではないですが、展覧会の題名にもなる「Translating(翻訳する)」とか、自分の半身であるアメリカと、もうひとつの半身であるヨーロッパへ、そしてアジア系のパートナーとのロンドンを拠点とする協働など、ひとつところに着地しない慎み深さと、あわせもった、育ちの良さというか、品の良さが作品を通じて漂ってきます。

展示された作品は、手持ちのレコードジャケットとか楽譜をペタペタはりあわせるところから、スタート。

わりあい古典的にもみえるアブストラクトペインティングもあるのですが、ヴィジュアルアートは、全体的にコラージュ主義的です。

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レコードのコレクションも、男の上半身と女の下半身のジャケ・コラとなり、ずらっと展示。

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近年は、アニメをモチーフにした木版画とか。


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時代や社会一般への目配り広く、マメで、真面目。ぬかりなく、隙なく、、。現代アート的です。

几帳面で凝縮傾向のヴィジュアルアートより、拡散・崩壊傾向のこわれた世界をめざす音楽のほうが、表現としては解放感があるかな、と個人的に思いました。

現代アートの世界も、他の世界ときっと同じで、成功するには、社会人としての精勤が大事、と思いました。



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