会社もブランドも残りますよ
なんというか・・・
7月31日に「高齢者向けユニバーサルファッション終了」のお知らせをSNSでリリースしたところ、知り合いを中心に各方面から「会社を辞める」「ブランドをやめる」と誤解されて問い合わせが相次ぎ、自分の情報発信の下手くそさを痛感しました。
違うんです。
私がお知らせしたかったのは・・・
「高齢者向けのユニバーサルファッション」という分野について「在庫を作って商売する」ことをやめる。
ということなんです。
なので・・・
”安心してください。会社もブランドも残りますよ”
今後について(事業のリフレーミング)
今後については、多様性対応型ブランドとして主に片麻痺・高次脳機能障害に特化した研究・開発を中心にモノづくりや(まだ妄想ですが)実利用者が本当に使いやすくてオシャレな商品をセレクトしたブランド及びショップを目指したいと妄想しています。
2019年から行っているリハビリ病院との共同研究が、やっと臨床の目途が立ってきました。
研究・開発というモノづくりにおいても、セレクトする暮らしの中の日用品についても、実利用者である片麻痺の人、高次脳機能障害の人が本当に使いやすい根拠・裏付けのある製品をお届けしたいと思っています。
今は、
健常者の上から目線で作られたモノ
が、あまりにも多すぎる。
健常者の着やすい、使いやすい と 片麻痺・高次脳機能障害の着やすい、使いやすいは意味合いが全く違います。
まずはこの点をしっかりと汲み取り、落とし込んだモノづくりやセレクトをして提供できるようにしたいと思っています。
当面は研究開発に集中する(表立った活動はしない)ことになりますが、必ず何かしらの形で戻って参ります。
そのためにも「高齢者向けユニバーサルファッション」という荷物を手から放します。
しばらく時間をください。
高齢者向けをやめる理由
皆さんが一番気になるところだと思いますが、ちょっと長くなるので改めて書きたいと思っています。
でも、一言で申し上げるなら・・・
市場に、間違った概念モデルが形成されてしまったから
先述の「今後について」でも述べたように、現在は健常者(現役世代)の上から目線でお仕着せがましく作られた「なんちゃってユニバーサルファッション」が横行しています。
基礎研究やきちんとした調査も行わず、「手が動きにくいのだから袖ぐりを大きくしておけば通しやすいでしょ!」といったカタチだけの「なんちゃって」を作り、検証もせずに売場に出す。
洋服において悩みを抱えている介護家族からすると「高齢者向け」「ユニバーサル」「介護○○」といった文字はゴールの見えない介護生活に光を感じるため期待を込めて購入します。
でも、なんちゃっては、やっぱりなんちゃって。
実際に使ってみるとかえって使いづらいものであることが多々ある。
期待が大きかった分、落胆も大きい。
そもそも提供側であるアパレルメーカーやそれを請け負う商社は実利用者である高齢者や、その人たちを取り巻く家族、ステークホルダーに興味がない。興味があるのは人口ボリュームと既存の方程式から導き出された幻の数字だけ。そしてプレーヤーが少ない=ブルーオーシャンという妄想。
コンセプトには共感するがどのようにして具現化していくかには興味がないし、過去の成功体験をただ繰り返すだけ。
このようにして実利用者や介護家族をはじめ市場に
ユニバーサルファッション=体の良い安くてダサい高齢者の服
という間違った概念モデルを形成させてしまったのである。
ちなみに、企画やモノづくりのしっかりしている百貨店メーカーはこの領域には(一部の専業メーカーを除いて)安易に手を出さない。
出さないというか、簡単ではないという賢明な判断から踏み込まないのだと思う。
モノづくりに真摯に向き合っていればすぐに理解できると思う。
(じゃあ、お前はなぜやっていたんだ!というご意見もございましょうが、そこは企業規模と覚悟の問題なので、追々書き込みます。)
このあたりについては「では、どうすべきだったのか?」も含め、改めて書いていきたいと思っています。