離婚したら、共同親権と単独親権のどちらがいいのでしょうか?
「日本にも共同親権が導入されるの?」
「単独親権は無くなるの?」
現在の日本の法律では、離婚後の子どもの親権はどちらか一方の親が持つ単独親権のみ認められています。
一方、海外では、共同親権が主流です。
日本の法務省は、2023年4月18日の法制審議会で、共同親権の導入に向けて議論するよう合意しました。
単独親権だけではなくて、共同親権も選べるようになれば、多様な家族のあり方に適した親権が選べるようになるでしょう。
この記事では、共同親権と単独親権について解説するので、子どもの幸せと最善の利益を守りたい方は参考にしてください。
親権とは
まず、親権とは、未成年の子どもに対する親の責任や義務のことです。
親権には二つの側面があり、監護権と財産管理権に分かれます。
下の表のように、監護権は子どもの監督や保護、養育をする権利です。
一方、財産管理権は、子どもの財産を管理する権利です。
子どものいる夫婦が離婚する際には、どちらの親が子どもの親権を得るかが問題になります。
単独親権とは
現時点で、日本の法律で認められているのは、単独親権のみです。
離婚後は、片方の親が子育ての権利と義務を負います。
居住地
子どもは、親権のある親の家に住むことになります。
親権のない親との交流「面会交流」は月に1回など制限がつくことが多いです。
虐待、DV(家庭内暴力)やモラルハラスメント、その他の重大な理由で、面会交流を拒否されることもあります。
日常生活
食事、洗濯、掃除、学校行事、習い事など子どもの世話のすべてを親権者が負担します。
親権者にとって、時間的・金銭的・精神的、すべてにおいて負担が大きいのが事実です。
親権のない親は、「養育費」という形で金銭的な負担をしなければなりませんが、実際に払う親は少ないのが現状です。
財産管理
子どもの預貯金や子どもが多額の資産を譲り受けた場合の資産を管理しなければなりません。
財産管理権をめぐって、親権を争うケースもあります。
教育
子どもの教育方針や進路について、親権のある親が単独で決定できます。
医療
子どもの医療処置や入院、予防接種について、親権のある親が単独で決定します。
親権のない親と協議しなくてよいので、スピーディーに対応できます。
共同親権とは
現在、日本の法律では、認められていない共同親権です。
離婚後も双方の親が子育ての権利と義務を負います。
子どもは、これまで通り、父親と母親に会ったり、交流したりできます。
居住地
基本的に子どもは、父親か母親のどちらかの家に住みます。
子どもの通学、生活状況に合わせて、居住地を選択することが多いです。
また、子どもが母親と一緒に住む場合は、父親と週末に過ごすなど、親子の交流は「面会交流」として、続けることができます。
日常生活
食事、洗濯、掃除、学校行事、習い事などの子どもの世話は、基本的に、一緒に住む親が負担します。
日常生活の負担を負わない親は、「養育費」という形で金銭的に援助しなければなりません。
財産管理
子どもの預貯金や子どもが多額の資産を譲り受けた場合の資産を管理しなければなりません。
未成年の子どもは、法律行為ができないため、双方の合意のもと、親が代わって資産を売却・賃貸・管理など行います。
共同親権で権利を行使する場合は、両親の合意が不可欠です。
教育
子どもの教育方針や進路について、両親が協議して決定します。
子どもが両親の板挟みになることがないように、子どもの意思を尊重して決定しなければなりません。
医療
子どもの医療処置や入院、予防接種について、両親が協議して決定します。
承諾書などの提出書類には両親の署名が必須となることが多いです。
共同親権と単独親権の違いは?
上記で共同親権と単独親権について解説しましたが、ここではさらに理解しやすくなるよう、両者を比較しながら説明します。
共同親権を選択するケース
共同親権を選択すると、あらゆる側面で両親の合意形成が必要になります。
異なる意見を持っていれば、協議が長引くことになります。
子どもが板挟みになり、精神的な苦痛を感じることもあるでしょう。
そんな時は、「子どもにとっての幸せは何か」「子どもの最善の利益は何か」をもう一度考えて、子どもの意見に耳を傾けることが大切になるでしょう。
両親が子育てに関わりつづけることは、長期的に見て、子どもへの愛情を育み、子どもも両親からの愛情を受け、親子の信頼関係を築けるという利点があります。
単独親権を選択するケース
単独親権を選択すると、あらゆる側面で、親権者が1人で決定権を下すことになります。
親権を獲得するために、親権を争う離婚訴訟が長引く可能性もあります。
また、親権を得られなかった親は、子への面会を求めて訴訟を起こす可能性も少なくありません。
面会を拒否されたり、面会の数が少ないと、養育費の未払いが生じたりするケースもあります。
親権のない親と子どもとの親子関係が断絶するリスクがあり、子どもの最善の利益に反しないかどうか見極める必要があるでしょう。
共同親権が向いているケース
親子関係を断絶させるべき特段の理由がない場合は、共同親権が向いています。
両親が離婚して、離れ離れになっても、親子の交流が継続できるので、子どもは安心して親と面会できます。
共同親権を選ぶ方が、両親共に積極的に子育てに関われます。
単独親権が向いているケース
両親が離婚する原因に、虐待、DV(家庭内暴力)やモラルハラスメントがあります。
面会すると暴力を受ける危険性がある場合や、居住地を知らせると生命の危険性がある場合、親の心神喪失、心神耗弱の場合には、単独親権が向いています。
虐待やDV、モラルハラスメントから子どもを守るために、面会交流の拒否も必要不可欠となるでしょう。
まとめ
両親の離婚は、子どもに多大な影響を及ぼします。
これまでの生活環境が変わるのですから、両親は子の幸せを願って、子どもの最善の利益を守るために、最善の決断を下すことになるでしょう。
しかしながら、現時点で日本は共同親権を認めていないので、単独親権を選ぶしかありません。
単独親権では、片方の親のみが子育てに関わり、子どもの全てを決めてしまうことになります。親権のない親との親子関係が希薄になり、将来にわたって、望ましい親子関係が期待できません。
今後、さまざまな家族に適した親権が選択できるように、共同親権を認める法律の改正が望まれます。
キアレッロ結加里
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