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魔の山 第七章「メインへール・ペーペルコルン(続き)」

第七章「メインへール・ペーペルコルン(続き)」・・・ペーペルコルンと登場各人物との相互関係

前節「トゥエンティー・ワン」で、カストルプからの敵視が和らぎ、ペーペルコルンの人となりが見えたところで、この節では、既知の人物(キャラクター)との関係性が構築され、明らかになる。
まず、ぺーペコルンがいなくなるという未来が明かされる、これは読者に向け、これからその経緯と理由が語られることの注意である。
まずは、例の二人の人物との比較である。言説においてはまったく捉えどころがないぺーペコルンであるが、「人物」の大きさでは、例の二人は侏儒にしか見えないとカストルプは思うのであった。
しかし、薬物学、毒物学においては雄弁であることが、例外であるが、それも、後々、納得することになる。
女性が教育上の障害になるという教育者の不興から例の二人の人物のショーシャ夫人へのひそかなる敵意。そして、その二人の論争が、圧倒的存在「人物」の前では、霞んでしまう(馬鹿と利口の差別を超越する)のであった。

女性の愛の対象は、自分を愛して呉れる(受動的な愛情)という前提で選ばれる。
ある晩、ハンスが広間で読書しているところにショーシャ夫人が入ってくる。ショーシャ夫人が、ペーペルコルンに従うのは、彼の愛に報いないではいられないからと言う。
ショーシャ夫人とハンスは、同盟を結び、ロシア的接吻をする。(どんな? 頬と頬のキス?)

その翌日、ハンスがペーペルコルンを見舞うと、ハンスは夫人との関係を誤解しているという。「『言わないごっこ』をしている」「私と会う前は、ハンスは夫人の愛人」「夫人はハンスに従順に従っている」。その疑惑、不安をハンスが穏やかに否定し、一夜限りのことで約束もなく自分が勝手に待っていたのだと伝える。彼女の夫の様に彼女に、自由と天才性を認めようとハンスは提案し、ペーペルコルンはハンスを君と呼び、兄弟の盟約を宣言し乾杯するのであった。

ここに、ペーペルコルンが居なくなるという結末に向けての前提が揃った。前提の構築が、すべてなので、感想は特にないのだけれど・・・

「女性の愛情が受動的である」という考え方、あなた(男性?女性?の立場から)はどう思いますか? 特に、女性には意見頂きたい。

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