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同じ人間なのになぜ。考えても考えても答えは出ない。だから私は行動する。~キベラスラムに教育の光を~
キベラスラムの家庭訪問
キベラスラムのスタディツアーでは、マゴソスクールの子どもたちの保護者を訪ねて家庭訪問をして、そのお宅の生活状況や、毎日を生き抜くための奮闘についてじっくりと話を聞かせてもらう。あまりにも過酷な人生の背景や、どんなに頑張ってもますます苦しくなっていく今の時代の理不尽な状況を聞き、ため息が上がる。
どの家庭も、これ以上いったい何をどう努力すれば暮らしがマシになるのかわからない中、唯一の光り輝く希望は子どもたちの教育にかける夢と情熱だ。どの親も、貧しさゆえに上の学校には進めなかった。それゆえに、低収入で長時間の過酷な労働を耐え忍ぶしかない。でも子どもたちは違う。子どもたちは学ぶチャンスを得ることでそこから先の人生を変えることが出来る。マゴソスクールで学び、給食をもらえることが、どれだけ生活の救いになっているかしれないと、どの親御さんさんたちも感謝してくれていることがとても嬉しい。そして私たちは、このキベラスラムの大人たちと共に手を取り合って、子どもたちの未来を応援する。
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大学生のハリマの家庭
夜間の警備員をしているハリマちゃんの父は、毎月の給料を手にしたらまず一番最初にハリマの大学の寮費を振り込むという。その次にはキベラの長屋住まいの家賃だ。そのあとにはもういくらも残っていない。自分たちは食べ物がなくても何とかしのぐことが出来る、食べ物は後回しだと言う。何が一番かというと、何よりも子どもたちが教育を受けるチャンス。それが家族全員の希望だと言う。
そんな両親の期待を一身に背負って、子どもたちは頑張る。その子どもたちの夢は、一生懸命学んで、上の学校を目指していき、貧困苦にある人々の役に立つ仕事がしたい、そして苦労してきた両親を助けたい、と言う。
ハリマの父は、病気の兄弟の子どもたちも助け、無収入の田舎の親戚たちも助けている。父は警備員、母は掃除人。成績優秀で学費支援を受けて大学に進学した娘を何よりも誇りに思っている。
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今年高校進学を目指すケルボの家庭
今年3月に高校受験をするケルボちゃんの家も訪ねた。マゴソスクール8年生。ジャーナリストを目指している。なぜジャーナリストになりたいの?と聞いたら、ここ(キベラスラム)でみんなが苦労していることを世界の人々に知らせたい、世界で起きていることを伝えたいからだと言った。母はひとり親で四人の子どもたちを育てる。マゴソスクール卒業生だった長女は昨年、重病で亡くなった。母は小5のときに父親が死に、小学校はドロップアウトし、12歳で働かされるために連れ去られた。雇い主に虐待を受けそこを逃げ出し、さまよっていたところで見ず知らずのキベラスラム住民が助けてくれた。居候させてもらいながら、彼女の髪結いの仕事を手伝った。そうやって髪を結うことが出来るようになり、今ではその技術で生活の糧を得ている。
1人の髪を結って得られる収入は50円か100円。キベラスラムの人々は現在、コロナ禍の経済打撃によるインフレで食料の値段が日に日に上昇し、困窮度合いがひどくなっている。コロナ禍で職を失った人は多い。それでも、生きていくためのすさまじいまでの努力はやめない。どうしてそんなに頑張れるのか、それは、子どもがいるからだ。
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劣悪な生活環境で健康を害する人々が多い
どの家も訪ねると、これほどまでの悪条件で生きていかねばならない人々の生活の苦労が身につまされる。スラムの中の細い路地を汚水を避けながら歩き、長屋の真っ暗な廊下の奥にある部屋や、まったく光の差し込まない部屋もある。小さな窓すらなく、暑い季節には喘ぐような熱気に部屋の中は埋め尽くされ、ひっきりなしに汗が流れ落ちる。真っ暗な廊下に洗濯物を干している。乾くわけはなく、部屋の中もカビ臭さは抜けない。十分な食料も医療も得られない。この暮らしで健康を保ち、働き続けることがどれほど大変なことかとその苦労を思う。
そんな困難な暮らしの中で、子どもたちの教育がどれほど光り輝く希望なのかということをつくづく思い知らされる。近所の人々と助け合い、励まし合いながら支え合って生きている。決して希望の光を見失わないように、真っ暗闇の中でも前を向いて生きている人々がいる。
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同じ人間なのになぜ
私がいつも思うのは、同じ人間なのになぜ?ということだ。考えても考えても決してその答えは出ないから、いますぐ出来ることを行動する。目の前にある理不尽な状況から目をそらさない。自分にできることを精一杯やる。訪ねていって話を聞く。声をかける。彼らの日々の苦労や喜びに寄り添いたい。
人生は誰にとっても簡単ではない。だから一緒に学び合いたい。生きることって何なのか。私たち人間は何を目指して生きていくのか。この先の時代をどうしていきたいのか。命が尽きるその瞬間まで、この世界を放棄せず、より良い世界を作るための努力を続けたいと思う。
スラムを根底から変えていく力
私の目の前にあるこのキベラスラムの人々の生きる希望のために、困難な暮らしの中に救いを与えるために、力を貸してくれないだろうか。私は、彼らがどんなことがあっても生きることを諦めず、努力をし続ける姿を伝え続けていく。食べ物がなくて苦労をしている人々に食料を届け、病に苦しむ人々には医療の機会を届け、子どもたちには学校で学べるチャンスを、そしてそこから先の彼らの貧しいコミュニティを根底から変えていく力を与えたい。
人間が生きていく上で最も必要なことは何なのか。それを私はずっと考え続けてきたけれど、確信を持って言えること、それは、人間は誰にも希望が必要だということ。誰もが希望がなくては、生きてはいけない。キベラスラムの人々が生きていくための最大の希望は、子どもたちが学べるチャンス。そしてわずかな食糧があれば、それは苦しい生活の中の希望の光になる。
希望や命の力は与え合えるもの
私は、このスラムの人々と30年以上付き合ってきて、人間とはこれほどまでに強くなれるのかという底力をまざまざと見てきた。その底力と生きるための努力を心から尊敬しているから、私が生まれ育った日本の人たちにもその光を伝えたいと思った。人間同士、希望や命の力は与え合えるものなんだと私はアフリカで、経験的に知った。
私はアフリカで育ててもらって34年、もう55歳になったけど、私には確信していることがあるから、あと10年か20年、命ある限りこれをさらに続けたいと思う。どうかあともう少し、力を与えてくださいませんか。このリアルな命の現場から出来ることを、一緒に取り組んでいただけるととても嬉しく心強く思います。
支援への呼びかけ
呼びかけしたいことをいくつか箇条書きにします。
①「マゴソスクールを支える会」
http://magoso.jp
このHPをご参照ください。子どもたちへの給食、学校と子どもの家の運営、生活支援。継続的に応援いただけると嬉しいです。給食募金箱の設置や、マンスリーサポーターも募集。不定期のご寄付も歓迎です。
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②マゴソOBOGクラブ(マゴソ卒業生の高校・大学への奨学金)
生徒たちの人生事情にじっくり寄り添い、高等教育への道を支えていきます。詳しい事情をもっと知りたい方、高校や大学への進学を応援したい人は、私が発信するコミュニティに参加してもらいます。ご一報ください。
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③お買い物をしてマゴソスクールを支える。
オンラインショップ「はろの屋」のマゴソグッズ。マゴソスクールの作業所で作られた色とりどりの素敵な物品を販売しています。
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④命について深く考え伝える講演会やトークショー、音楽ライブを企画してくださる方を常に求めています。
対面でもオンラインでも、講演会やイベントを企画してくださる方がいらっしゃいましたらお気軽にご連絡ください。私は毎年、春と秋に来日して、日本全国ツアーを行います。それ以外の時期にも常時、オンラインでの講演や勉強会を行います。幼稚園、小中学校、高校、大学、一般の方々。どなたも歓迎です。
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⑤実際に現場を訪ねて学び、交流する。キベラスラムのスタディツアー参加
キベラスラムのスタディツアーを不定期で開催していますのでご連絡ください。
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早川千晶の連絡先
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