『美の呪力』を読み始めている

『美の呪力』は、岡本太郎が70年大阪万博の開催がほど近い頃に『芸術新潮』で連載していた評論を単行本化した書籍だ。彼の芸術的価値観が丹念に記されている。
昨日から読み始めたのだが、やっぱり岡本太郎ってすごいな、と思わされる。

岡本太郎と言えば、『強く生きる言葉』や『自分の運命に楯を突け』といった、人間存在そのものを説いた比較的カジュアルな書籍が有名だけれど、それらを読むだけで彼の理解を終わらせてしまうのは非常にもったいない。

「芸術は爆発だ」という彼の代名詞ともなっているフレーズは、メディア露出が多くなった晩年によく吹聴していたものである。単純なメッセージのように思えるけれど、彼の書籍や映像を丹念に見れば、それが深い学識と稀有な世界の捉え方に裏打ちされた言葉であることを知ることができる。

シンプルで力強い人だけど、豊かな智を持ち、こども心をも持つ稀代の「人間」でもあった。本当に素晴らしい人だと思う。現代日本の基盤を作った高度経済成長期という時代に居て、社会の進歩に常に懐疑的であった芸術家。私はこの人から一生学び続けていくんじゃないだろうか。

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