見出し画像

非・酒飲みによる屁理屈飲み会論──「なんでお酒飲めるの?」とは訊かれない人たちへ──│ひとりアドベントカレンダー#24

【おことわり1】今回は詭弁と屁理屈しか出てきません
【おことわり2】この文中に出てくる「酔っ払い」「酒飲み」は、私がこれまで出会った厄介な酒飲みをさしているのであって、アルコール飲料を嗜む人たちをおしなべて非難しているのではありません

非・酒飲みはいつも説明損

私はお酒が飲めない。喘息に近い症状が出るので、飲むと危険だ。━━ということを、これまで何度の飲み会で早口で説明してきたか知れない

それに引きかえ、「え~、なんでお酒飲めないのォ?」と訊いてきた当人たちは、だいたい酔っぱらいなので、酒宴が終わった時点で私の言ったことなんててんで覚えてない。

▲てんで覚えてない酒飲み(イメージ)

で、次の飲み会でまた「あれ~、なんでお酒飲めないの?」とぬけぬけと訊いてくる。おいおいこちとら命にかかわるんじゃアなめとんのか。きみたちの「飲み会楽しかった~」の記憶だけは更新されていって、私のお酒飲めない情報だけ永遠に記録されない海馬の仕様、勘弁してくれない?

下戸が下戸なりに、お酒を飲めない理由をどれだけインパクト強く、端的に短いフレーズで伝えるか、何十回何百回とトライ&エラーを繰り返し、創意工夫を重ねてきたか、想像することもしないでよくそんなことができたもんだ……もしかして、私が積み上げてきたそれらの涙ぐましい努力が、一介の化学物質にすぎないアルコールごときの前であっさりと雲散霧消してしまうというのか? 工夫損ではないか! そんな……そんな馬鹿な……!(膝から崩れ落ちる)

「なんでお酒飲めるの?」

いや、このさい私のお酒飲めない情報なんて覚えてくれなくてもいい。だが、「飲み会」を楽しい/うれしいものではなく、“20歳になるや否や周りが突然染まっていく、交流を深める機会イコール酒宴とかいう謎文化(しかも自分は適用外)“と認識しながら生きている人間にとって、「なんでお酒飲めないの?」という問いは、うんざりするほど繰り返されてきてもはや食傷気味である。

それはちょうど、いわゆる”典型的な日本人の見た目”をしていない外国人(あるいは外国ルーツだけど日本文化の中で育った人)が、外国人っぽいとみれば褒めときゃいいと思っている浅はかな日本人の「お箸使うの上手ですね」「日本語お上手ですね」などの世辞を何十回何百回と言われ続け、うんざりしているのと同じだ。たぶん。

そういうわけだから、「なんでお酒飲めないの?」と訊いてくる人たち、よく胸に手を当てて考えて見給え。きみたちは「なんでお酒飲めるの?」とは訊かれない

いや、自明のことだし……飲めるから飲んでるんだし、飲みたいから飲んでるんだし……理由なんか要る?)ときっと思っただろう。そう!飲めない人間も同じことを思っているのだ!「なんでお酒を飲めない側だけいつも理由を言わなきゃいけないわけ?」と。なんで世の中の大抵の人がお酒飲める前提でモノを言うわけ

▲こんな飲み会は存在するのだろうか

そこで理由を言わないといけないのも理不尽だし、仮にそこでサクッと理由を答えたとして、「体質的にドクターストップがかかってるから無理ですのような、強そうな理由を言わないと引き下がらない酒飲みも、ほんとどうにかしてほしい。

(学生時代のサークルや学生団体、研究室の飲み会で酒を強いてきたあなたあなたあなたに言っている。どうせ酔っぱらって覚えてないだろうけどな!)

飲めるけど弱いです、だから遠慮しときます
飲めるには飲めるけどアルコール飲料の味が苦手です

と言って丁重に酒を辞退している人たちの意思を、酒飲みが尊重するところを私はついぞ見たことがない

「いやいやでもこのワインはフルーティーで飲みやすいから」
「ノンアルコールビールならあるよ」
「でも一口だけならいいでしょ」
「匂いをかぐだけでも……」

どの面下げて飲みニュケーションとか言っとるんじゃア。バチクソディスコミュニケーションしとるやないかい。まったく対話というものが成り立ってないぞ。

「ドクターストップレベルよりも大したことないし、相手は年下(あるいは部下など)だし、自分の言うことを少しは聞き入れてくれるだろう」とか思っていらっしゃるのかもしれないが、一ついいですか? 酒を強いるな。非酒飲みは非酒飲み、それ以上でも以下でもない。軟弱者扱いなど論外だ。わかる?

酒宴の力学

そう、酒宴には権力関係が発生する。組織内にもともとある先輩-後輩上司-部下教員-学生という非対称な関係性に、さらに、飲める-飲めないという力関係の差がかけあわさると、「目下の立場×非酒飲み」にあたる人々の権力は、二倍掛けで弱くなる。つら。

いや、「飲める-飲めない」だけの関係性でとどまっていれば、まだいい。「飲める-飲めない」関係性は、「強いる-強いられる」関係性へと容易に転化する。非酒飲みにとっては最も避けたい、そしてうっかりからめとられてしまえば、抜け出すのに無駄な気疲れを消費する地獄だ。だから厭なのだよ!(両眼をくわっと見開きながら)

さいごに(トーンダウンした補足)

幸いにも私がここ最近(といっても新型ウイルスが流行して長いので、飲み会自体も最近滅諦に無いのだが)参加した飲み会は、酒を強いる人もなく、ひたすら益体もないサブカル話ができて楽しいことが多い。

したがって、アルコール飲料を嗜む人をおしなべて非難しているのではない。私が真に嫌うのは、飲めない理由をわざわざ訊いてくる酒飲みであり酒を強いる酒飲みである。それさえなければ、心おきなくジンジャーエールを飲みながらカルチャー談義に興じることができる。

とはいうものの、私、飲み会で飲み放題のもとを取るために、好き好んでジンジャーエール&烏龍茶がぶ飲み大会をやってるんじゃないんですよ。どうせだったら、ファンシーな青いクリームソーダとかが、飲みたいのよ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?