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日本的職業

 声優という職業、日本ならではという側面が強い。無声映画の時代は活弁士が活躍。いわゆるトーキーの時代になると今度は吹き替え俳優が求められた。戦後この需要が増えていき、更にはアニメーションのアフレコで本格的に声優という職業が確立したのだ。
 日本的な職業である声優はバブルを境にして、次第にビジュアル面でも注目されるようになる。タレントとしてアーティストとしても若い代が早くから売れっ子になり、更にはメディアへの露出もタレント並みになった。アニメばかりでなくゲーム等々のCV、ラジオのパーソナリティへも裾野を広げた。そして今、声優という職業は特に女性には憧れの的になり、声優人口が多くなったのである。
 しかしながらこの隆盛の一方で、志半ばにして脱落する人が多い。声優は誰もがなれるものではない。声真似の延長線ではやがて壁にぶち当たる。本来なら、これぞというオンリーワンの素質を持つことこそが一番強い。基礎的な社会的知識や発声技術を持ち合わせ、そして自身しかできない声を出せることが大事。一線で活躍する声優には必ず他人に真似できない「何か」を持ち合わせている。
 トップカルチャーでもディープカルチャーでも、声というものは日本においては多方面で必要とされている。先人が築き上げた日本的職業の声優。新しい分野であるユニバーサルデザインにおいても声の出番は必ずやあると考えている。

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