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【ショートショートと思いきや】手相があるので

私の強みは、私の手相です。私の自慢でもあり、誇りでも、自信の源でもあります。
私がなぜこんなに日々溌剌と過ごせるか、なぜ毎日やってくる明日に希望を持てるのか。それは、この手相があるからです。

私の手相で気に入っているところは、まあいくつもありますが、やはり一番はこの薬指の下にスッと伸びる金運線です。語ってもいいですか?ええ、では遠慮なく。自然に伸びる枝のようにのびのびと生えているその溝はちょっと意外なほど長いんです。見るたびに、前より伸びたんじゃないか?とワクワクさせてくれます。

もちろん他にもあります。
やはり誇らしいのは、親指の第一関節にある「仏眼」です。この仏眼、左右の親指に、あるんです。上の辺と、下の辺が、同じ角度でカーブを描いているのが自慢です。上の辺と下の辺が交わる端っこは交差していて、小学生の時に書いていた魚の絵みたいで可愛らしいです。ひとつだけ惜しい点は、右の仏眼は綺麗な円になっていますが、左の仏眼は右端だけ少し離れています。あまりに完璧な仏眼に、仏眼自身も堅苦しさを感じていたのでしょう。この隙間のおかげで、仏眼にも気を抜ける場所があって、風通しが良くなるので、こんなにも伸び伸びしていられるのです。それに、ちょっと足りない部分がある方が、チャーミングで愛されるということを、この子は分かっているんですね。

さらになんと、右手には神秘十字線があります。こちらは、名前の通り神秘的な人に現れる、つまり私のような人のことですね。ええ、十字の線のことです。私の場合、右掌のど真ん中にあります。時々、手のひらを上に向けてじっとしていると、神秘十字線から細い光線が漏れ出し、やがて強い光となって手のひらから噴き出ることがあります。人前でうっかり出してしまうと、見ている人をびっくりさせてしまいますので、なるべく手のひらは上に向けないようにしています。そしてこの神秘十字線が光る時、仏眼は嬉しそうに笑います。実はこの二つがセットになっている人は、第六感に非常に長けた、勘のいい人なのだそうです。照れますね、仏眼も、誇らしげです。

おっと、一番の主役を忘れていました。「川の字」です。全ての手のひらは、感情線、頭脳線、生命線という「手のひら三大河川」を持っているわけです。その形状は様々ですが、いくつかのパターンに分けられるといいます。生命線と頭脳線の始まりが繋がっている人、頭脳線が二股に分かれている人、感情線が中指の下から始まっている人。
私は、そう。生命線と頭脳線の始まりが離れている人です。なので、手のひらをパッとひらくと、大きな川の字が悠々と寝そべっています。川の字が緩やかな川を、親指側から小指側へと流れているようです。私の人柄を表しているわけですね。川の字は空気が読めない人?ええそれもいいかもしれませんが、マイペースに我が道を行く人、と言った方が正確かもしれませんね。

こんなに魅力たっぷりな手相を持った私は、必ず幸せに満ち満ちた人生を送る、そう信じています。そういうわけで今日もこれから、厄除けのアロマ、フランキンセンスと共に、開運に繋がるトイレ掃除をします。

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