ぶらぶら街歩き:蔵前・浅草編
紙モノが好きだ。特にノートについてはフェチといってもいいほど好きだ。懐が許すなら目に付いたかわいいのを片っ端から買いたいほどだ。西荻をぶらぶらしたときにトナリノさんとぺぱむらさんで合計3冊買ってきたが、あれでも最初手に持っていた分の1/4ほどなのだ。
なので、紙博については前々から気になっていた。この類い希なる出不精+人混み嫌いの上に諸事情が重なってなかなか行けずにいたのだが、ようやく去年あたりから出かけられる状況になってきたので、3月に浅草で開催されるイベントのチケットを取った。で、せっかく行くなら早い時間に入ってゆっくり時間をかけたい。しかし朝寝坊のワタシが普通に出かけたらきっと到着が昼過ぎになって時間がもったいない。それならいっそのこと前乗りしてしまえということで、蔵前のちょっといいカプセルホテルを予約した。コロナ禍になって旅行どころか帰省も全然できなかったので、小旅行気分を味わうのもよかろう。ただいま東京プラスも使えたし。
と思ってたら当日朝7時にしっかり目が覚めるというね。子どもかw
前日までだいぶ暖かかったんで春モードの服装を予定してたんだが、朝起きてみたら小雨模様で寒くて、慌てて真冬の格好にチェンジ。いや、寒くなったのがこの日からでよかった。1日遅れてたら翌日震えるところだった。
1日目 蔵前
てなわけで、無事午前中に蔵前入りできたのであった。
西荻のときと同様に、あらかじめ目星をつけておいたスポットを一筆書き方式で回る…つもりが、時間が早すぎて開店前のところが多くw 結局脇道に逸れたり同じ道をぐるぐる歩いたり、隅田川べりを散歩したり。
下町らしい工場や店舗や住宅が並ぶ合間に、ときどき興味深い建物が現れる。NOCEの入ってるビルが妙に趣あるなと思って近づいてみたら、すごい建物だった。登録有形文化財タイガービル。わざわざ道の反対側まで行って撮っちゃったよ。
蔵前小学校の建物も日本ぽさを前面に出した外観でいい雰囲気。
小学校のすぐそばにあるDANDELION CHOCOLATEは前もってチェックしてあった。
店内でカカオ豆から完成品まで一貫生産する、いわゆるBean to Barのチョコレート工房。日本にも最近増えてるよね。何種類か試食させてもらって、コスタリカのアシエンダ・アスールを選んだ。サイトで見ると紅茶と青茶に合うというから、烏龍茶がいいということか。やってみよう。
ホットチョコレートミックスも気になったけど、荷物が重くなると困るので今回はパス。何かの折にお取り寄せしてみよう。2階のカフェも気になったけど、昼食前だったのでやはりパス。後からサイトをチェックして激しく後悔したのは内緒だ(行っとけばよかった…)。
そこから西方面へ歩いて、やはりチェックしておいたカキモリへ。
オリジナルのノートが作れるとあっては、ノートフェチ的には外せない。店内で好きな表表紙と裏表紙と中紙を選び、リングの色とバンドも選んで、リングノートにしてもらう。ワタシが選んだのはこれ。
最初は縦に綴じてオレンジのバンドにしようと思ってたんだけど、横綴じができると知って方針転換。写真のように横にすると風景みたいだなあと思って。手前が花畑、左奥に森、右奥に桜が咲いてるような。それに合わせてバンドも茶色にした。中紙はバンクペーパーとユポ。試し書きしたときの滑らかさ重視で選んだ。
ここで作ったノートはリフィルができる。中紙とリングの色を指定したフォームと一緒に送れば作って送り返してくれるので、心置きなく使える…はずなんだが、貧乏性だから使わないんだきっと。
あとここはインクのオーダーもできるんだけど、それをやり始めると本当に沼にはまるので見なかったふりw
ノートができるまでの間に、駅の方まで戻ってペリカンカフェでお昼。
さっくりもっちりの厚切りトーストにしみるバターがんまし。サイズは小ぶりなので重めのポタージュをつけて正解だった。ゆっくりのんびり食べて、ノートができる時間が近づいたのでカキモリへ引き取りに。さすがにオーダーだけあって普通のノートの10倍ほどのお値段になったが、後悔はしていない。
道すがら、気になるスペースがあったのでふらりと入ってみた。
自由丁は、自分と対話したり1年後の自分に手紙を書いたりできるスペース兼ショップのようなところだった。サイトから席の予約ができるのだが、最近は利用者が増えて満席になりやすいとのこと。みんな、自宅以外にそういう場所を求めているのかしらん。
その気持ちはちょっと分かる。自宅だとどうしても日常が目の前にあって、自分との対話に専念できないことが多い(ネット遊びしちゃったりな…)。カフェに行っても隣席でおしゃべりしてたりすると気が散るので、みんなが各々黙って脳内会議する場があるのはいいかもしれない。うちの近所にもほしい。できそうな場所はいくつか知ってるから、誰かやってw
住宅地をぶらぶら歩いたり、隅田川べりを歩いたり、途中の店を覗いたりした後、Google Mapで見つけた造花専門店east side tokyoに行ってみた。
前から、ショップの商品写真に使うグリーンが欲しかったのだ。いやもう、ものすごい種類の造花とドライフラワーが色相別に並んでて目移りする。体力と財力とスペースに余裕があったら爆買いする気しかしないというのが本当のところだが、そこはぐっと押さえて、小ぶりなモンステラの束とダバリアファンの束だけを購入。ダバリアファンはカットしてレイ作りのリハビリに使いたい。
ここでようやくチェックインができる時間になったので宿へ。今回泊まったのはMyCUBE by MYSTAYS 浅草蔵前。大きなお風呂のある宿に泊まるか、銭湯の近くの宿に泊まるか悩んだのだが、結局駅近でいちばん安くあがるところを選んでしまった。大きなお風呂はまたそのうち。
2日目 浅草
翌朝チェックアウトして、近くのホステルNui. HOSTEL & BAR LOUNGEの1Fカフェでグラノラヨーグルトの朝ご飯。ここも最初宿泊先の候補に挙がったんだけど、今回は朝食だけ。
バックパッカー向けの宿とあって、スタッフ以外はほぼ全員外国人。お洒落な音楽といろんな国の言葉のおしゃべりが、まるで作業用BGMのようだった。
カフェを出て、そのまま浅草へ移動。天気がよければ隅田川べりを散歩しながら行きたいところだったけど、相変わらずの小雨模様で寒いので素直に地下鉄に乗った。
インバウンドが復活して、浅草は午前中から大賑わいである。駅のコインロッカーに大きな荷物を預けた後、傘の間をすり抜けて、目的地の東京都立産業貿易センター台東館へ。
館内に入ってから会場までの経路が不案内で、階段を上ったり下りたり少々無駄足を踏んだ末に入場。まあ大盛況ですよ。人気のショップやブランドのブースの前は黒山の人だかりで、商品を見るのも一苦労。そんな中、とあるブースの前で足を止めた。
雷鳥社の『翻訳目録』。第6回日本翻訳大賞をおとりになった阿部大樹さんの、時代とともに移り変わる言葉とその意味を取り上げた、絵本のような本。タダジュンさんのシュールなイラストがまた目を引くんだ。
「実はワタシ日本翻訳大賞の発起人の西崎さんと知り合いで」
「じゃあまたどこかでお会いするかもしれないですね~」
という話をスタッフの方として、別の本の挿絵のリトグラフをおまけにいただいてブースを後にした。
そういやこれを書いてる今、今年の翻訳大賞が発表になってるんだった。チェックせねば。
それからは各フロアをぐるぐる歩き回り、どうしても欲しいものに絞って購入。スーパーのカゴみたいなものに山盛り爆買いしてる人もいたけど、いいなあ、それだけの体力と財力と置き場があってw
雨降ってて持ち帰りが大変だから小物だけにしておこうと思っていたのに、主宰の手紙舎さんに行ったら包装紙ビュッフェなんてやっててさっくり吸い込まれた結果。
お昼は早めに済ませておかないときっと並ぶと思い、11時半を過ぎたあたりで目的の場所へ急いだ。会場の真上に上野精養軒の出店があるのを、朝ご飯食べながらチェックしてあったのだ。時間が早いこともあり、数量限定のビーフシチューがまだあって、嬉々として注文。
旅行支援策のおかげで、最高のビーフシチューをタダで食べられたわけですよ。いただけるものはしっかりいただかないとね。
会場に戻って、ブースの間を回遊しながら欲しいものをさらに購入。最終的には、本と包装紙以外にこれだけになった。
絵葉書各種とメッセージカードとロールシールと、マッチボックス入りの紅茶。状況が許せば絶対もっと買ってたw あと、神保町さぼうるの7色クリームソーダのアクキー。これお店に行くとガチャガチャで買えるんだよね。紅茶が入ってたマッチボックスは、今デスクの引き出しで切手入れになっている。
ノートフェチを名乗っていながらノートがないのは、残念ながら呼ぶ子がいなかったからだ。ノートなら何でもいいわけではない。やっぱり好みの子を見つけて連れ帰りたい。その意味でもカキモリに行っておいてよかった。
次に行くことがあったら、賞状かなにかの筒を100均で調達しておくといいかもしれない。A1サイズの紙に折り目をつけずに持ち歩くのは至難の業だった。
15時頃までうろうろしてさすがに力尽き、そこそこ満足して会場を後にした。せっかくなので浅草寺の境内を通って帰ることにしたのだが、相変わらずの雨で、レンタル着物姿の外国人観光客とかホント大変そうだ。
あとどこの大学なのか、卒業式帰りとおぼしき袴姿の女子たちも大変そうだった。袴にブーツのコーディネートについては少々言いたいことがあるワタシだが、今日に関しては許そう。安全第一。
帰りがけに、東京在住ウン十年にして初めての店に足を踏み入れた。
言わずと知れた超老舗バー。ここの名物デンキブランを、未だに飲んだことがなかったのよ。
お豆をつまみながらちびちびと飲むことおよそ30分。ほの甘さとぴりっとした刺激がくせになりそう。場所柄どうしても店内は混雑してがやがやしているし、常にお待ちがいるので、まったりはできないけど、楽しい時間であった。
コインロッカーから荷物を出し、心地よい疲労感とともに帰宅。楽しいプチ旅行であった。
前に散歩した西荻は住んでもいいなと思う土地だったが、浅草蔵前はワタシ的にはやはり遊びに行く土地だった。次はどこに行こうかしら。