【イタリアのロックダウンの現状】〜心の持ちよう〜
日本の状況がものすごく心配ですが、イタリアも全く大丈夫じゃありません。でも、みんながそれでも前を向いている。その中身を少しお伝えします。
◆イタリア生活わたしの近況◆
毎日、夕方6時頃に、Protezione Civile(国民保健対策省とでも言うのかな?)から感染者人数や、死亡者等について、公式発表の記者会見がテレビのニュースで流れる。必ず、感染症専門家の先生が一緒に会見にいて、記者からの様々な質問に、誠心誠意一つ一つに答えてくれている。テレビのニュースは、コロナウイルスのことばかりなので、時間がどれだけ長引こうと、国民の疑問や不安に答えるために、しっかり時間を取る。この姿勢が、このトップの人達の裏で働く多くの方々や、医療現場の方々の努力をムダにしたくない、国民みんなで支えよう、という気持ちを自然と生んでいるように思う。
そして、コンテ首相からの記者会見も、毎日ではないが、頻繁に行われ、彼がテレビ画面に出てくるだけで、何だかホッとするというか、この人がトップならついていこうと思わせてくれる。
「我々政府は、誰一人、取り残しません」
この言葉に、どれだけ救われた人がいるだろう。
そして、記者会見はもちろんオンラインで行われている。今、ヨーロッパのニュースで流れるインタビュー等はほとんどがビデオチャットで、直接会って至近距離でマスクもせずにインタビューなんて、もう一切見かけない。
厳しい規制もたくさんあるが、今イタリアはみんなで一つの共通意識を持って動いている。見えないウイルスに対して、みんなで協力することでしか太刀打ち出来ないのだということをみんなが分かって、一人ひとりが出来ることをやっている。
ただ、ロックダウンの影響で、精神科医にかかる患者さんが増えているらしい。一人暮らしだったり、高齢者だったり、精神的疾患のある人には、健康そのものの私には想像もし得ないしんどい時間なんだと思う。でも、精神科医の方も、患者さんで溢れる状況を何とかするため、こんなメッセージを出した。
『イタリアの精神科医からのメッセージ🌷
ロックダウンでしんどい時に、壁や花に話しかけてしまうのは、すごく当然のことです。もし、壁や花から返事が返ってきた時だけ、私達に連絡をください。』
ジョークなのか、本気なのかは分からないが、不安な人を少しでも支え、少しクスッと笑わせようとするのがイタリア人らしくて好きだ。
さあ、でも、それでもウイルスの猛威は収まらない。感染者数と死亡者数の増加は少しずつ減っている。でも、それでも誰も命を落とさない日はない。私達は祈るしかない。でも、簡単には終息しないことも分かっている。
なので最近は、「悲観の中の楽観」をしている。変にポジティブな理想を持ち過ぎると、それが上手く行かなかった時に、人はどうしてもショックを受けるし、悲しい気持ちになるし、気持ちが落ちる。なので、基本的にはネガティブに、最悪の場合を常に想定しながら、でも、希望を捨てない。
これは、私がセントビンセントとマラウィで過ごした1年間のNGOボランティア活動の間の基本姿勢であった。夢ばかりを描いて、ガッカリしたり、上手く行かないことに怒ったり悲しんだりするのではなく、最悪の時点(ゼロ又はマイナス)からモノを見る。すると、すごく小さなことも素晴らしく見えたり、新たな気付きがあったりするから面白かった。しんどかったけど、面白かったあの1年間が、私がこの自宅待機生活を45日間続けさせてくれている。
真っ暗なトンネルの先の光はまだ見えないかもしれない。でも、だからと言って歩くのを止めないで。今出来ることは何か。今だからこそ出来ることは何か。
それを一人ひとりが一生懸命考え、前に進むための時間になるように、今日も一日一日を淡々と生きる。
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