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イモづる読書【その109】 ・・・さらに続くプロットモデル捜索の旅・・『物語のつむぎ方入門』

前回の「ストラクチャーでは、3(シド・フィールド)、15(ブレイク・スナイダー)、10(ワイランド)、12(ボグラー)、6(工学的のブルックス)、22( ストーリーの解剖学)・・・・・」
以上のプロットモデルは、フィルムアート社の出版物から引き出したモノです。

今回は、フィルムアート社以外の書籍から、プロット探索をします。

「〈プロット〉をおもしろくする25の方法」とサブタイトルのついた
『物語のつむぎ方入門』は、創元社からの上梓です。

作者は英国の先生でいかにも教育者的な書き方です【シランケド】

前半は「プロットの理論」の概観ということで、アリストテレスから現代まで、戯曲や小説のプロットも含めてふりかえっての概観です。

Save the Catの15でいくかボグラーの12か、で迷っている時に読んだので、ちょっとした清涼水でした。

アリストテレスと三幕構成(始まり、中間、結末)


「筋立て(プロット) の中心は因果関係だと述べる」

シド•フィールドの言葉を借りれば、 <あらゆるドラマは対立である。 (...) キャラク ターが場面を引っ張るか、場面がキャラクターを引っ張るかのどちらかである>
・・・・・
プロットの中で最も重要なふたつの出来事として、結び目を作る結び合わせ(もつれ)と、結び目をほどく解きほぐし(解明)(言い換えれば結末/大団円) を挙げている

アリストテレスはまた、物語の中の、ある特別な瞬間に注目する。 中でも最も強力なのはペリペティア(逆転)・・・・・
悲劇では、主人公はしばしばハマルティア(錯誤) のために誤った行動をとリ、それが不幸な結果を招く。
アリストテレスによれば、悲劇のもうひとつの重要な要素はアナグノーリシス(認知) 、すなわち、主人公が何が起こっているかを認識し、翻意したにもかかわらず、事態を止められないと気付く瞬間である。これは、観客の憐れみの情や不安を高め、最後のカタルシス(感情の浄化) に向かう盛リ上がリを作る。

物語のつむぎ方入門

ペリペティア(逆転)、アナグノーリシス(認知) 、カタルシス(感情の浄化) ・・・などまるで教科書にみたい【うん、ほんまやで】

第1部 :導入
提示:主な登場人物が、それぞれの日常の中で紹介される。
もつれ:ひとつの出来事によって波風が立ち、物語が動きはじめる
プロットポイント1 :主人公が、困難な問題に立ち向かう決意をする
第2部 :対峙
上昇展開:利害関係や危険が高まる。敵や味方との出会い。
中間点:目標達成へ向けた主人公の行動が邪魔される。
プロットポイント2 :主人公が試練にあう。成功が危ぶまれる。
第3部 :解決
プレ•クライマックス:夜明け前の最も暗い時間にあたる。主人公は行動するか、失敗するかのどちらか。
クライマックス:最後の決着をつける場。
終幕:未解決だった問題がすべて片付く。新しい均衡が生まれる。

物語のつむぎ方入門

あれ? これってアリストテレス? どこかでみたストラクチャー・・・
なるほど、人類のドラマトゥルギーは2500年不変・・・「神話の力」も納得!

フライタークのピラミッド 上昇と下降・・・五幕構成

アリストテレス→ホラティウス(古代ローマの詩人)五幕構成を提唱→グスタフ•フライターク(ドイツの作家:19世紀)。
1. 提示
2. 上昇展開
3. クライマックス
4. 下降展開
5. 結末大団円

「フライタークのピラミッド」の実例が、アガサ•クリスティの『オリエント急行殺人事件』です。
「2. 上昇展開」の「きっかけの出来事」を「夜中の悲鳴で、ポアロは目を覚ます」にし、「ラチェットの死体発見」を「3. クライマックス」とするか、「死体の発見」が真の「きっかけの出来事」でクライマックス は犯人が明かされる場面だという見方もありうる・・・と二説指摘してあります。

緑の森

シェイクスピアの 『十二夜』や 『夏の夜の夢』のような喜劇を例に、「古い世界を離れ、新たな成長を得て帰還する」・・・フライの「緑の世界」とは、古い世界(認識可能な世界)→緑の世界(離れた別の世界)→新しい世界(最後に再び「正常な」現実に戻る)

ウェルメイド• プレイ(よくできた芝居) すべてが整ったプロット

19世紀、フランスの劇作家ウジェーヌ・スクリーブ(1791-1861)とヴ イクトリアン・サルドウ(1831-1908)は、アリストテレスの悲劇の構造を基に、ウェルメイド・プレイ(よくできた芝居) と呼ばれるプロットのひな型を作った。

物語のつむぎ方入門

ウェルメイド・プレイ(よくできた芝居) の例は、イプセン『人形の家』です。

1幕提示
2幕物語の展開ともつれ
3幕クライマックスから終幕へ

ここからやっと映画の構成です・・・・・・

5段階構成の映画 トドロフの構成論


トドロフの構造は、前述の「フライタークのピラミッド」やフラ イの「3つの世界」 とそれほど大きくは違わないようです。
実例は1939年の映画『オズの魔法使い』と2004年の『ショーン・オブ・ザ・デッド』(『ゾンビ』のパロディ)です。

プロットポイント 物語をつなぎ合わせる連結部分

映画のプロット作りのための図表を作成しとあり、例とし て 『ショーシャンクの空に』・・・作成した図表をみると・・・これって、シド・フィールド?!・・・シド・フィールド先生は『ショーシャンクの空に』は特にお気に入りでシリーズ本どれにでも出てくるので・・・この図表はナットクです。

昔話の構造 ウラジーミル・プロップ

民俗学者ウラジーミル・プ ロップ(1895-1970)は、何百編ものロシア民話を研究し、そこから31の物語の機能、すなわち一般的なプロット装置を導き出した。その多くは今も使われている。
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レヴィ= ストロースは、 スイスの言語学者フェルディナン・ド・ソシュール(1857-1913)の理論を基に、物語の大部分は対立の上に築かれていると論じた。

物語のつむぎ方入門

7ポイント・ストーリー構造

作家ダン・ウェルズの7ポイント・ストーリー構造はフィールドのパラダイムに基づいてお り 、一方で脚本家デイヴ・トロティアーによる『荒野の七人』型プロットポイントは、少しリズムが違っている。

物語のつむぎ方入門

英雄(ヒーロー)の旅 およびヒロインの旅

キャンベルは、ユングと同じく、 <この世のすべての物語は、本当 はひとつの物語、モノミス(単一神話) である> と結論づけた。彼は、主 人公の物語を出立、イニシェーション、帰還という3つの段階に分け、全部で17の具体的出来事で構成されるとした。

物語のつむぎ方入門

物語の形 ヴオネガットの基本的プロット

「プロットの種類は実は少ない」という考え方を追求したのが、作家力 ート•ヴオネガット(1922-2007)である

物語のつむぎ方入門

「ヴオネガットの基本的プロット」は、3つの図表があります。シンデレラ、カフカの『変身』、ハムレットです。
その「シンデレラ」・・・この図解の動画を見たことがある!

シンデレラ

黒板に縦線引いて、横線引いて・・・階段状の形状を描く・・・・・・
妖精のゴッドマザーが、靴をストッキングを・・・・・・
YouTube「カート・ヴォネガット、物語の形について語る」です。

https://www.youtube.com/watch?v=oP3c1h8v2ZQ

「メモ」をくくって見つけました。この人がヴォネガット先生です。

7つのプロット すべてを統べるための作法

プロットについて最も徹底的に研究したのは、おそらくジャーナリ ストのクリストフアー・ブッカー(1937-2019)だろう。彼は何百もの物語を分析した末、基本的なプロットは次の7つしかないと結論づけた。 すなわち、1.怪物退治、2.貧者から富豪へ、3.航海と帰還、4.探求、 5.悲劇、6.再生、7.喜劇。いずれも、ひとりの中心的主人公のメタナ ラティブ(大きな物語) である。

物語のつむぎ方入門

それぞれにプロットモデルがあります。
ブレイク・スナイダーの「10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術」を思い出します。


時間軸

「時間軸」という章には、以下の項目があります。
プロットにおける時間の操作
どこから語り始めるか
フラッシュバックとフラッシュフォワード
伏線・・・スタインベックの『二十日鼠と人間』
前方照応と後方照応
急転回と新事実
クリフハンガー
小道具・・・チェーホフの銃、マクガフイン
閉じ込めと脱出

プロットを作る

 この章には、
J • K • ローリングによる『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』のプロット表

  ジョ ゼフ・ヘラ—による 『キャッチ 』の驚くほど詳細なアウトライン

の実物のプロット表が掲載されています。  

  綿密な計画を立てるか、筆の勢いに任せるか・・・この表を見ていると・・・筆の勢いに任せる・・パンッツーになりたい【うん、ほんまやで】

プロットをふくらませる スノーフレーク法

なかなか話題にならない「スノーフレーク法」が取り上げてます。

最後に、付録のような・・・

   オープニング・・・ 「読者を引き込む幕開け」

心に残るエンディング・・・めでたしめでたし------とはかぎらない

「 オープニング・・・ 読者を引き込む幕開け」は、『「書き出し」で釣りあげろ』を近々読む予定です。【乞うご期待】

まとめ

この書籍の冒頭、「プロットの最初の一歩」
「ログライン」という言葉は使ってませんが、「プロットの核となる部分を文章ひとつかふたつにまとめよう」から始まります。
次のステップは、短い概要を作成すること 2ページ程度の文書・・・(シノプシス)、その次は、「主な登場人物を考え、彼らの相関関係をざっと描き」・・・・・
とあり、Snowflake Methodの10のステップ を踏襲しています。
この書籍の最後の章に「スノーフレーク法」があるわけです。

また、実例の落とし込みが、
「フライタークのピラミッド」
     アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』。
「ウェルメイド・プレイ(よくできた芝居)」
     ヘンリック・イプセン『人形の家J (初演1879年)
「5段階構成の映画 トドロフの構成論」
     
1939年の映画『オズの魔法使い』
     
エドガー・ライト監督のホラー映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』 (2004)
親しみのある作品群でした。


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