イモづる読書【その109】 ・・・さらに続くプロットモデル捜索の旅・・『物語のつむぎ方入門』
前回の「ストラクチャーでは、3(シド・フィールド)、15(ブレイク・スナイダー)、10(ワイランド)、12(ボグラー)、6(工学的のブルックス)、22( ストーリーの解剖学)・・・・・」
以上のプロットモデルは、フィルムアート社の出版物から引き出したモノです。
今回は、フィルムアート社以外の書籍から、プロット探索をします。
「〈プロット〉をおもしろくする25の方法」とサブタイトルのついた
『物語のつむぎ方入門』は、創元社からの上梓です。
作者は英国の先生でいかにも教育者的な書き方です【シランケド】
前半は「プロットの理論」の概観ということで、アリストテレスから現代まで、戯曲や小説のプロットも含めてふりかえっての概観です。
Save the Catの15でいくか、ボグラーの12か、で迷っている時に読んだので、ちょっとした清涼水でした。
アリストテレスと三幕構成(始まり、中間、結末)
「筋立て(プロット) の中心は因果関係だと述べる」
ペリペティア(逆転)、アナグノーリシス(認知) 、カタルシス(感情の浄化) ・・・などまるで教科書にみたい【うん、ほんまやで】
あれ? これってアリストテレス? どこかでみたストラクチャー・・・
なるほど、人類のドラマトゥルギーは2500年不変・・・「神話の力」も納得!
フライタークのピラミッド 上昇と下降・・・五幕構成
アリストテレス→ホラティウス(古代ローマの詩人)五幕構成を提唱→グスタフ•フライターク(ドイツの作家:19世紀)。
1. 提示
2. 上昇展開
3. クライマックス
4. 下降展開
5. 結末•大団円
「フライタークのピラミッド」の実例が、アガサ•クリスティの『オリエント急行殺人事件』です。
「2. 上昇展開」の「きっかけの出来事」を「夜中の悲鳴で、ポアロは目を覚ます」にし、「ラチェットの死体発見」を「3. クライマックス」とするか、「死体の発見」が真の「きっかけの出来事」でクライマックス は犯人が明かされる場面だという見方もありうる・・・と二説指摘してあります。
緑の森
シェイクスピアの 『十二夜』や 『夏の夜の夢』のような喜劇を例に、「古い世界を離れ、新たな成長を得て帰還する」・・・フライの「緑の世界」とは、古い世界(認識可能な世界)→緑の世界(離れた別の世界)→新しい世界(最後に再び「正常な」現実に戻る)
ウェルメイド• プレイ(よくできた芝居) すべてが整ったプロット
ウェルメイド・プレイ(よくできた芝居) の例は、イプセン『人形の家』です。
第1幕提示
第2幕物語の展開ともつれ
第3幕クライマックスから終幕へ
ここからやっと映画の構成です・・・・・・
5段階構成の映画 トドロフの構成論
トドロフの構造は、前述の「フライタークのピラミッド」やフラ イの「3つの世界」 とそれほど大きくは違わないようです。
実例は1939年の映画『オズの魔法使い』と2004年の『ショーン・オブ・ザ・デッド』(『ゾンビ』のパロディ)です。
プロットポイント 物語をつなぎ合わせる連結部分
映画のプロット作りのための図表を作成しとあり、例とし て 『ショーシャンクの空に』・・・作成した図表をみると・・・これって、シド・フィールド?!・・・シド・フィールド先生は『ショーシャンクの空に』は特にお気に入りでシリーズ本どれにでも出てくるので・・・この図表はナットクです。
昔話の構造 ウラジーミル・プロップ
7ポイント・ストーリー構造
英雄(ヒーロー)の旅 およびヒロインの旅
物語の形 ヴオネガットの基本的プロット
「ヴオネガットの基本的プロット」は、3つの図表があります。シンデレラ、カフカの『変身』、ハムレットです。
その「シンデレラ」・・・この図解の動画を見たことがある!
黒板に縦線引いて、横線引いて・・・階段状の形状を描く・・・・・・
妖精のゴッドマザーが、靴をストッキングを・・・・・・
YouTube「カート・ヴォネガット、物語の形について語る」です。
https://www.youtube.com/watch?v=oP3c1h8v2ZQ
「メモ」をくくって見つけました。この人がヴォネガット先生です。
7つのプロット すべてを統べるための作法
それぞれにプロットモデルがあります。
ブレイク・スナイダーの「10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術」を思い出します。
時間軸
「時間軸」という章には、以下の項目があります。
プロットにおける時間の操作
どこから語り始めるか
フラッシュバックとフラッシュフォワード
伏線・・・スタインベックの『二十日鼠と人間』
前方照応と後方照応
急転回と新事実
クリフハンガー
小道具・・・チェーホフの銃、マクガフイン
閉じ込めと脱出
プロットを作る
この章には、
J • K • ローリングによる『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』のプロット表
ジョ ゼフ・ヘラ—による 『キャッチ 』の驚くほど詳細なアウトライン
の実物のプロット表が掲載されています。
綿密な計画を立てるか、筆の勢いに任せるか・・・この表を見ていると・・・筆の勢いに任せる・・パンッツーになりたい【うん、ほんまやで】
プロットをふくらませる スノーフレーク法
なかなか話題にならない「スノーフレーク法」が取り上げてます。
最後に、付録のような・・・
オープニング・・・ 「読者を引き込む幕開け」
心に残るエンディング・・・めでたしめでたし------とはかぎらない
「 オープニング・・・ 読者を引き込む幕開け」は、『「書き出し」で釣りあげろ』を近々読む予定です。【乞うご期待】
まとめ
この書籍の冒頭、「プロットの最初の一歩」
「ログライン」という言葉は使ってませんが、「プロットの核となる部分を文章ひとつかふたつにまとめよう」から始まります。
次のステップは、短い概要を作成すること 2ページ程度の文書・・・(シノプシス)、その次は、「主な登場人物を考え、彼らの相関関係をざっと描き」・・・・・
とあり、Snowflake Methodの10のステップ を踏襲しています。
この書籍の最後の章に「スノーフレーク法」があるわけです。
また、実例の落とし込みが、
「フライタークのピラミッド」
アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』。
「ウェルメイド・プレイ(よくできた芝居)」
ヘンリック・イプセン『人形の家J (初演1879年)
「5段階構成の映画 トドロフの構成論」
1939年の映画『オズの魔法使い』
エドガー・ライト監督のホラー映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』 (2004)
親しみのある作品群でした。
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