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【2日目】破格のきっぷ!西日本グリーンきっぷで乗り放題の旅 ~世界遺産のまち新宮編~


◆2日目(令和6年2月24日(土))

1 新大阪→新宮(特急くろしお号グリーン車乗車記)

昨日はみぞれが降る金沢を巡りましたが、今日はちょっと暖かそうなイメージの和歌山県南部新宮に向かいます。

6時30分にホテルで朝食をとって、7時ごろチェックアウト。
歩いて新大阪駅に向かいます。

今朝の天気はくもり。
雲の隙間から青空も一部見えます。
近くのビルの屋上に気温の電光掲示板があって、5℃を示していました。

朝の新大阪駅前

新大阪駅のホームに着くと、7時34分発新宮行き特急「くろしお1号」はすでに入線していて、先頭車両付近では多くの人が群がって写真を撮っていました。
朋友Kも近くのベンチに座って先頭車両を眺めていたので声をかけます。

このくろしお号はパンダの顔をあしらったユニークな前面になっているから、先頭車両に人が集まっていたのです。

パンダくろしお号のユニークな先頭車両

1号車のグリーン車指定席に乗ります。
1号車は真ん中で普通車指定席と区切られた半個室となっています。グリーン車の座席配列は、1席と2席の横並びが5列になっていて、1席の方を朋友Kと前後に座ります。
グリーン車の乗客はわれわれを含めて3人だけです。

グリーン車の中

座席はフットレスト、上下可動式枕、コンセントが付いています。足元のスペースも十分に取っているので、これから終点新宮までの約4時間半ゆったりとくつろげそうです。

ひじ掛けの緑色に光っているところにコンセントがある。

くろしお号は9両編成で、前6両が新宮行き、後ろ3両が途中の白浜行きの構成です。

全席指定でこの車両のもう半分の普通車指定席をのぞくと家族連れでにぎわっています。
対照的にグリーン車は静かで落ち着いた雰囲気です。

淀川を渡ると東海道本線から分かれ、地下に入ります。そして昨年3月に開業したうめきたエリアの真新しい大阪駅地下ホームに停車します。

地下ホームには特急 「くろしお」「はるか」とおおさか東線の列車が乗り入れる。

大阪を出ると大阪環状線の西九条の手前で再び地上に出ます。
遠くに見える六甲山地の尾根には雪が積もっています。

西九条を過ぎたあたりから西方を望む。

くろしお号は速度を落として大阪環状線を走り、天王寺を出て阪和線に入ると徐々に速度を増していきます。

天王寺を出ると右後方にあべのハルカスが見えました。

阪和線には東岸和田、東貝塚、東佐野と東のつく駅が続きます。東が付いていない駅名の方は、阪和線ではなく、西に並行する南海本線にあります。(東佐野に関しては泉佐野)

和泉鳥取を過ぎると和泉山脈にさしかかり、カーブが多くなってきます。

山の中を駆け抜ける。

雄ノ山トンネルを抜けると、右にカーブして西に向きを変え、左手に和歌山平野が開けてきます。

今度は左にカーブして再び南へ向きを変えると紀ノ川を渡ります。

日本最多雨地帯の大台ケ原を水源とする紀の川

左から和歌山線が合流して、8時46分、和歌山着。

和歌山駅

和歌山から紀勢本線に入ります。
和歌山を出ると左手の山腹に救世観音宗の総本山、紀三井寺が見えてきます。

車内放送で寺の案内をしてくれる。

海南を出ると、右手に和歌浦湾が見えてきます。

遠くに見える高層ビル群は和歌山マリーナシティ

初島に差しかかるころ、右手にエネオスの和歌山製油所のタンク群が現れます。
生産の効率化を目指して、2023年10月16日に操業を停止し、今後、この跡地を活用して、持続可能な航空燃料「SAF」の製造など、再生可能エネルギーの供給を目指す計画があるそうです。

エネオス和歌山製油所

箕島を出ると左手の山の斜面にみかん畑が見えてきます。
この辺りはみかんの産地です。

一面に広がるミカン畑

印南駅の手前に面白い橋があります。
カエルをデザインした、思わず微笑んでしまうユニークな橋です。

もともと線路で町が西側と東側に分断されていたため、東西をつなぐ橋の建設が検討されていました。
そこで、国のふるさと創生関連事業の補助金を使って平成7年に完成したということです。

ユニークなかえる橋

切目を過ぎると右手に海が広がり、車掌が車内放送で海の景色を案内してくれます。

紀伊水道の海岸線を走る。

紀伊田辺から単線になると、10時10分に白浜着。

ここで多くの家族連れ客が降りていきます。
ホームに出ると白浜で降りた客がパンダくろしお号の先頭部分を撮影していました。

白浜では後ろ3両を切り離すため2分間停車。

10時33分、周参見着。
ホームのそばには山桜が見事に咲いていました。

満開の山桜

11時6分、本州最南端の駅、串本に停車。

串本駅のホーム

串本を出ると、右手に海から岩の柱がそそり立つ橋杭岩(はしぐいいわ)が見えてきます。

橋の杭だけが立っているように見える。

紀伊浦神を過ぎると玉ノ浦という入江の海岸に沿い、澄んだ美しい海が広がります。

遠浅の海で近くに海水浴場があります。

三輪崎を過ぎると、岩石海岸が現れ、岩の間からはエメラルドグリーンの海が見え、風光明媚な景色を味わえます。

このあたりは速度を落として走ってくれる。

岩石海岸が尽きると砂利を敷きつめたような王子ヶ浜が現れます。

熊野川から運ばれてきた砂利が堆積してできている。

海岸が尽きると新宮の市街地に入り、11時58分、終点新宮に到着。
新大阪から約4時間半のグリーン車の旅は終了です。
新宮で降りた客はわずかでした。
新宮は暖かくていい天気です。

新宮駅前

2 新宮周辺観光

(1)神倉神社

新宮からはレンタカーを手配して観光しようと思います。
駅前のオリックスレンタカーで手続きをします。
西日本グリーンきっぷを提示すると、コンパクトカークラスが6時間4,200円の割安な料金で利用できます。

車種は日産ノート

出発前に店員が車体にもともとあるキズを細かく説明します。
返却時間は18時です。
私の運転で出発して、後半は朋友Kに運転を代わろうと思います。

まずは腹ごしらえするため、新宮市内の「中華そば速水」に向かいます。

駐車場は道路の向かい側にあります。

私はセットメニューの中華そばとやきめし(小)1,050円を注文。
朋友Kは同じくセットメニューでチャーシュー丼(小)1,000円の方を注文。

中華そばは井出商店直伝の和歌山ラーメンです。
井出商店とは、過去にTVチャンピオン「日本一うまいラーメン決定戦」で優勝して全国的に知られるようになったラーメン店です。
スープは豚骨醤油味で、ほど良いこってり感があります。

中華そば

朋友Kはチャーシュー丼のネギの香りが強かったため、しばらく口に残ったと言っていました。

店を出て、神倉神社へと向かいます。
駐車場は2か所ありますが、全部で20台ほどのスペースしかありません。
到着したとき、空きがありませんでしたが、少し待つと出ていく車があったので駐車できました。

神社の入口に神橋という太鼓橋があります。

神橋

橋を渡って左に進むと赤い鳥居があります。
ここから上りの石段が続いているのがわかります。
この石段は神倉神社の拝殿まで538段もあり、熊野古道の一部となっています。

かなり急角度の石段となっている。

いざ登ってみると、かなりの勾配になっていて足元は注意が必要です。
後半の方は勾配が緩やかになってきます。

階段を登りつめると朱色の拝殿が見えてきました。

神倉神社は、熊野速玉大社の摂社で、熊野三山である速玉・那智・本宮の主神が降臨した熊野信仰の根本となる霊地なのです。

神倉神社の拝殿

拝殿に寄り添うようにゴトビキ岩という巨岩があり、これがご神体となっています。

ゴトビキ岩

また、ここからは新宮市街と熊野灘の海が一望できます。

神倉神社からの眺め

(2)熊野川、大斎原大鳥居、トロッコ電車小川口駅

神倉神社を出発して国道42号線を南に向かうと、橋本交差点から右折して国道168号線に入ります。
新越路トンネルを抜けると右手に雄大な熊野川が現れます。
ここから国道42号線はひたすら熊野川に沿って山地へ入っていきます。
国道は比較的車が少なく走りやすいです。

「道の駅瀞峡街道熊野川」で休憩します。
駐車場から少し歩くと熊野川の河川敷に下りることができます。

この熊野川は「熊野参詣道中辺路」の一部として世界遺産に登録されています。
山峡をゆったりと静かに流れる熊野川は貫録を感じます。

神々しさを感じる熊野川

道の駅を出て、予定では入鹿温泉瀞流荘近くのトロッコ電車小川口駅を目指すことにしていましたが、時間に余裕があるので、熊野本宮大社の大鳥居に寄ることにします。
引き続き熊野川に沿う国道168号線を15分ほど進むと熊野本宮大社に到着。駐車場が満車だったので、河川敷の臨時駐車場に止めました。

堤防に上がると巨大な鳥居がそびえ立っているのが見えます。

大斎原大鳥居

これは高さ約34メートルの大斎原(おおゆのはら)大鳥居。
日本一の高さをほこります。
熊野本宮大社から500m離れていますが、かつてはここに社殿がありました。しかし、1889年の水害で被害を受けて現在の場所に移築されたということです。

間近で見ると迫力がある。

熊野本宮大社社殿の方は時間の都合で立ち寄ることができず、入鹿温泉瀞流荘近くのトロッコ電車小川口駅に向けて出発します。
ここから運転を朋友Kに代わります。

国道168号線を宮井橋の三差路まで引き返し、左折して国道311号線に入り、熊野川の支流北山川に沿って進みます。
北山川にかかる瀞大橋を渡って右折すると左手に入鹿温泉瀞流荘が見えてきます。もうここは三重県です。

瀞流荘の入口の先にトロッコ電車小川口駅がありました。

遊園地の乗り物のようなトロッコ電車

このトロッコ電車は、ここから山を隔てたところにある湯元山荘「湯ノ口温泉」までの約1kmを走ります。
現在は施設の安全点検のため、運休していました。

湯ノ口温泉まではほとんどがトンネル

(3)丸山千枚田、鬼ヶ城

次に丸山千枚田を目指します。
再び国道311号線に出て、板谷から左折して細い道に入ります。
山道を進むと視界が開け棚田が見えてきました。

斜面の中腹あたりにある駐車場に止めて棚田を眺めることにします。
駐車スペースは4台分しかありません。
山間部なので平地と比べ気温が低く肌寒いです。

日本の棚田百選にも選ばれている。

この丸山千枚田は、西暦1601年(慶長6年)にはすでに2,240枚の田があったという記録があります。しかし、杉の植林や耕作放棄地の増加によって、平成初期には530枚まで減少してしまいました。
その後、地元住民による復元や保全活動により、現在では1,340枚という日本でも最大規模の枚数を誇る棚田となっています。

田んぼ1枚あたりの平均面積が約10坪と小さい

少しのぼった所にも4台スペースの駐車場があったので車を止めて眺めました。

再び車で山道を進んでいくと、棚田の全景を見渡せる展望スポットが別にあります。
駐車スペースは側道幅を少し広げている部分だけなので、長時間は止めにくいと思います。
でもここから見る棚田が一番きれいでしたね。

棚田が一望できる絶景スポット

次の目的地は熊野市にある鬼ヶ城です。
国道311号線に再び合流して東へ進むと国道42号線との三差路に突き当たります。
そこを左折して熊野市街地を過ぎると鬼ヶ城への入口があります。そこから少し進むと土産店などがある鬼ヶ城センター駐車場に着きます。

鬼のモニュメントが迎えてくれる。

車を降りて鬼ヶ城を散策してみます。
鬼ヶ城は風化と波の浸食や地震による隆起によって造りだされた大岩壁です。
岩壁には約1キロにわたって遊歩道が整備されています。

鬼ヶ城

奇妙な模様や形をした岩場を歩いてみます。

凝灰岩が海蝕されてできた千畳敷

時間の都合上、千畳敷の少し先で引き返すことにします。

高さ数10メートルの絶壁で、猿もここから引き返すという「猿戻り」

鬼ヶ城を後にして、次に国道沿いにある獅子岩に立ち寄ります。
駐車場があるのでそこから獅子岩を見ることができます。

獅子の頭部に見える獅子岩

レンタカー返却時間は18時。
少し時間があるので、新宮までの途中にあるJR紀勢本線の神志山駅と紀伊井田駅に立ち寄ることにします。

ローカルな雰囲気をいい感じで出している神志山駅

紀伊井田駅ではちょうど名古屋行き特急「南紀8号」が通過していきました。

たった2両と短い編成の特急南紀

新宮市内に入り、新宮駅近くのコスモ石油で給油をして、17時55分にレンタカー店に到着。

(4)新宮の夜

私の宿泊先は「ステーションホテル新宮」、朋友Kは「新宮ユーアイホテル」と別のため、レンタカーを返却してお互いホテルへ向かいます。

ステーションホテル新宮は新宮駅から5分もかからない距離にあります。
チェックインしてカギを受け取り、2階の部屋へ行って荷物を置きます。
部屋は広めで、ベッドはツインベッドでした。
通路を挟んで斜め向かいの部屋から中学生のはしゃぐ声が聞こえてきます。

徒歩で朋友Kが泊まる新宮ユーアイホテルに行って合流し、そこから近くの「居酒屋Manaya」で夕食にします。

地元に根付いた居酒屋という感じ

19時に予約していましたが、30分ほど早く着きました。
早く着いても問題はないとのことで個室に案内され一献傾けます。

今日一日お疲れさまでした、乾杯!

店内は客のにぎやかな声で包まれていました。

メニューの方は種類が豊富で味も満足いくものばかりです。

魚介類は新鮮でした。

料理が充実していて、お酒がおいしく飲めました。

店を出て、近くのファミリーマートで朋友Kが折りたたみ傘を買うのにつき合います。
明日は京都を訪れる予定ですが、天気予報では雨となっているからです。

明日は朝が早いので、朋友Kが泊まるホテルの前で別れて、自分のホテルに戻りました。

つづく

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