思い付きプレイリスト#2 昭和ライダー名曲集~初代-V3-X編~

・はじめに

昨年、生誕50周年を迎えた特撮作品「仮面ライダー」。
9月からは新ライダー「仮面ライダーギーツ」、AmazonPrimeでの公開が予定されている「仮面ライダーBLACK SUN」、そして、2023年に公開を控えている「シン・仮面ライダー」と、非常に盛り上がっております。
筆者も、「仮面ライダークウガ」からライダーシリーズを好きになり、高校の頃にはYouTubeで昭和ライダーを好きになりました。
今回は50周年を迎えた仮面ライダーシリーズの名曲を数回に分けて1曲づつご紹介します。
今回のプレイリストでご紹介するのは「仮面ライダー」「仮面ライダーV3」「仮面ライダーX」の3作品です。

1.レッツゴー!!ライダーキック 藤浩一、メールハーモニー

1971/5/25発売 作詞/石ノ森章太郎 作曲/編曲/菊池俊輔

「仮面ライダー」の主題歌であり、仮面ライダーを代表する楽曲。
1~13話の「1号編」では主演の藤岡弘、さんが歌唱を担当し、14話からの「2号編」以降はこちらのバージョンがOPとして使用されました。
ちなみに、藤浩一さんは後にアニソン、特ソンの歴史には欠かせない歌手「子門真人」さんの別名義です。

個人的にはイントロのブラスバンドが非常に印象的であると感じます。
作曲の菊池俊輔さんは昭和ライダーシリーズの他にも「ドラえもん」「Dr.スランプアラレちゃん」「暴れん坊将軍」など、様々な作品の楽曲を手掛けていらっしゃいます。
今後、菊池先生の楽曲を紹介する回も予定してます。

サイクロンの走る音から勇ましいブラスのイントロ、走るライダーをバックに流れる主題歌、そして、アウトロで流れるショッカー怪人と中江真司さんのナレーション、というのが仮面ライダーのOP映像なのですが、ここら辺のこだわりをすべて盛り込んだのがこちらの映像です。

さすが庵野さんだな、と思います…
主演による歌唱、サイクロンで走るライダーの映像、今週の怪人、と旧1号編のOPを完コピしております。
また、こちらの主題歌は2号ライダー・一文字隼人を演じられた佐々木剛さんによる歌唱バージョンやRIDER CHIPSによるリメイクバージョンなど、様々なバージョンがありますので、そちらも機会があればぜひ。

2.ロンリー仮面ライダー 子門真人

作詞/田中守 作曲/編曲/菊池俊輔

89話~98話のEDに起用された楽曲。
ちなみに、作詞の田中守というのは当時東映の「泣き虫プロデューサー」として知られた平山亨さんの変名です。

勇ましさを感じるOP主題歌とは対照的に、こちらはロンリーヒーローであることを象徴するような哀愁を感じる楽曲となっているのが特徴的です。
歌詞も
「されどわが友 わがふるさと
 ひとりでも ひとりでも
 護る 護る おれは 仮面ライダー」
と、1人でも戦う切なさが現れております。
近年のライダーではあまり描かれませんが、昭和ライダーというのは
「人間であることを捨て、改造人間として悪と戦うヒーロー」
というのが魅力の一つでもありました。

3.仮面ライダー数えうた 子門真人、コロムビアゆりかご会

作詞/中瀬当一 作曲/編曲/菊池俊輔

仮面ライダーにちなんだ数え歌、というのがコンセプトの楽曲なのですが、その大半がショッカー怪人の紹介というなかなかパンチの効いた楽曲。
1~10まで歌われていますが、10でようやくライダーが登場というのが昭和らしさを感じますね。
こちらの作詞を務めた中瀬当一というのは、平山さんと共に仮面ライダーのプロデューサーを務めた東映の阿部征司さんの別名義です。

ちなみに、初代ライダー関連の楽曲には「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」などでメインライターを務めている井上敏樹さんの父であり、仮面ライダーシリーズでメインライターを務めた伊上勝さん、
同じく脚本を務めた島田正之さん、滝沢真理さん作詞の楽曲が存在します。
この当時は制作チーム一丸となって様々な楽曲を提供し、制作チームへ還元できるよう努めていたそうです。

4.ライダーアクション 子門真人

作詞/石ノ森章太郎 作曲/編曲/菊池俊輔

戦闘シーンなどで流れる挿入歌として代表的な楽曲。
72-88話まではED、89-98話まではOPとして使用され、後半の仮面ライダーを盛り上げた楽曲であり、1号、2号ライダーが客演される際にも使用されるなど、初代ライダーには欠かせない楽曲となっています。
聞いてほしいポイントは、陸、空、海をまたにかけ、ライダージェット、ライダーカット、ライダーラングなど本編中には登場しない必殺技をシャウトする子門さんを聞いてほしいです。

5.仮面ライダークリスマス 水木一郎

作詞/田中守、丘灯至夫 作曲/編曲/菊池俊輔

1972年にコロムビアからリリースされたEP「みんなのクリスマス」という企画レコードの中に収録された1曲。なので、本編では未使用という楽曲になっています。
歌うのはご存知「アニソン界の帝王」こと水木一郎さん。
歌のお兄さんにも起用されていたこともあるので、どことなく子供番組のお兄さんのような優しい歌声であるのが印象的です。
近年ではクリスマス=衝撃展開、みたいなイメージがありますが、子供たちの喜ぶクリスマス、というのも、いいですよね。

6.仮面ライダーのうた 藤浩一、メール・ハーモニー

作詞/八手三郎 作曲/編曲/菊池俊輔

1-71話までEDにて使用された楽曲。
作詞の八手三郎とは、東映プロデューサー陣の共同名義で、後の「スーパー戦隊シリーズ」では、「原作・八手三郎」と頻繁にクレジットされることが多くなり、特撮ファンにとってはお馴染みのペンネームとなっています。
この楽曲の聞いてほしいところは、コーラス部分です。
サビ前のライダーを鼓舞する部分があるのですが、
「回せ!」「吹かせ!」「エンジン吹かせ!」「スピード全開!」
「サイクロン!」
と、誰が言ってるのか分からない応援が非常に面白いです。
その後の
「ショッカーどもを ぶちのめせ」
というストレートな表現も印象的で、聞きごたえのある楽曲となっています。

番外編.戦友よ… 関智一

作詞/関智一 作曲/杉浦"ラフィン"誠一郎

ここまで、初代ライダーに関する楽曲を紹介してきましたが、ここで番外編。
当時は制作されなかった初代ライダーにとって欠かせないあるキャラクターの楽曲を、特撮マニアとして知られる関智一さんが16年前のライダー35周年の時に制作されていました。
それがこの「戦友よ…」です。
こちらは、仮面ライダーと共にショッカーに立ち向かう協力者・EBIの滝和也をモチーフにした楽曲となっています。
劇中でもそもそもFBIがそんなことやるのか?と思いますが、この滝和也もライダーに負けないぐらいに派手な素面アクションや戦闘シーンなどが数多くあります。
また、昭和ライダー中心の村枝賢一先生が描かれた漫画「仮面ライダーSPIRITS」では、「滝ライダー」というオリジナルライダーとして、仮面ライダーと共に戦う姿が描かれております。
50周年の中ではどうしても影に隠れがちですが、こちらもライダー史を彩った大事なキャラクターだと、個人的には思います。

7.戦え!仮面ライダーV3 宮内洋、ザ・スウィンガーズ

1973/3/25発売 作詞/石ノ森章太郎 作曲/菊池俊輔

1973年に放映が開始された「仮面ライダーV3」の主題歌。
ド派手な爆発とともに始まるタイトルコールとハリケーンで駆け抜けていくV3、そして主題歌と中江真司さんというOPが印象的で、筆者の一番好きな昭和ライダーでもあります。
ブラスバンドと勇ましいドラムのイントロ、そして主演の宮内洋さんによる歌声と、勇ましい楽曲に仕上がっているのが魅力的です。
こちらの楽曲、実は水木一郎さんと子門真人さんがテスト用に歌ってらっしゃるバージョンもあり、採用されたものとは違うイメージを受けるものとなっております。
また、宮内洋さんソロバージョンも存在し、そちらは2年後の「仮面ライダーストロンガー」の最終回にて初披露されました。(しかもなぜか7人ライダーが夕日をかけていくシーン)

8.仮面ライダー賛歌 子門真人

作詞/田中守、丘灯至夫 作曲/菊池俊輔

V3のアクションシーンに流れる挿入歌として使用された楽曲。
1号、2号、V3の事について歌っている楽曲で、
「どこいるのか知らないが 呼べばとどろくライダーマシン」
と、素性は知らない僕らの味方として歌われているのが特徴的です。
劇場版ではこの3人ライダーが四国でデストロン軍団と戦うのですが、今では再現できないぐらいの大爆発の中戦闘するシーンは一度見て欲しいです。

9.V3アクション 子門真人

作詞/石ノ森章太郎 作曲/菊池俊輔

こちらもV3のアクションシーンで使用された挿入歌。
軽快なイントロと共に、V3の必殺技や26の秘密を紹介する楽曲となっています。26の秘密自体、本編内ですべて明かされることはなかったですが、当時発売された幼年誌や後年の設定資料などで確認することが出来ます。
歌詞の「地獄へ追い返せ 怪人軍団デストロン」
というのも、昭和ならではの作詞だなぁと感じます。

10.ぼくのライダーマン コロムビアゆりかご会

作詞/田中守 作曲/編曲/菊池俊輔

V3第51話で使用された楽曲。
V3の終盤から登場する元デストロン科学者で半改造人間である結城丈二ことライダーマンをテーマに制作された楽曲。
近年のライダーにおけるサブライダーの先駆けともいえるライダーマンですが、当初はV3と反目しながらも、戦いを経ていくうちに妥当デストロンへ力を合わせ、そして最後はV3に平和を託し散っていく…という、非常に熱い役回りとなっています。(次回作の仮面ライダーXの時に。実は生きていたことが判明するんですけどね。)
後年、ライダーマンが客演する時にはこちらの楽曲がテーマ曲として使用されております。ちなみに、制作された時期が遅かったためか、V3ではなく仮面ライダーXのレコード内に収録されました。
ネット版などではネタキャラにされがちなライダーマンですが、その背景などを考えると、もっと取り上げられてもいいのになぁ、なんて思います。

11.V3の一人歌 水木一郎

作詞/田中守、丘灯至夫 作曲/編曲/菊池俊輔

これまでの楽曲とは異なり、切なさを感じるバラード楽曲。
家族を奪われた風見志郎の家族に対する思いや、悲しみを乗り越えてデストロンに立ち向かっていく姿を歌っております。
水木一郎さんと言えば、熱いシャウトのイメージがありますが、元々はムード歌手としてデビューされたので、情緒あふれるバラードも非常に聞きごたえがあり、こちらの楽曲ではヒーローの哀愁を切なく歌い上げております。

12.少年仮面ライダーの歌 水木一郎、コロムビアゆりかご会

作詞/八手三郎 作曲/編曲/菊池俊輔

1-43話までEDとして使用された楽曲。
V3と共に戦う少年ライダー隊をテーマに歌われている楽曲で、水木一郎さんと子供たちのハーモニーが心地よい楽曲となっています。
少年ライダー隊自体は前作の仮面ライダー内にも登場しておりますが、V3になってから活躍する機会が増え、物語には欠かせない存在となっていました。
EDの颯爽とハリケーンに乗って走るV3の姿も印象的な映像です。

13.セタップ!仮面ライダーX 水木一郎

1974/3/1 発売 作詞/石ノ森章太郎 作曲/編曲/菊池俊輔

1974年に放映された「仮面ライダーX」の主題歌。
タイトルに使用されている「セタップ」はXライダー変身時の掛け声のもので、英語の「Set Up」から来ています。
ド派手なブラスバンドによる水木さんの「セタップ!セタップ!セタップ!」「X!X!X!」という勇ましいシャウトが印象的ですが、雷のような打楽器とブラスバンドの間奏や後奏など、どの部分を切り取っても非常にかっこいいヒーローソングになっております。
Xライダー自体、全35話と短い作品ですが、その中でも昭和ライダー特有のカッコよさや面白さなどが詰まっている作品だと、個人的には思います。

14.ライダー賛歌 子門真人

作詞/鈴木生朗 作曲/編曲/菊池俊輔

27話と33話で使用された挿入歌。
一瞬、さっきもあったじゃん、と思いがちですがV3で制作されたのは
「仮面ライダー讃歌」で、こちらは「ライダー賛歌」と迷いますよね。
こちらは、前述の3人ライダーに加えXライダーも含めたライダー達を鼓舞する楽曲となっています。(なぜか省かれるライダーマン…)
歌詞に出てくる「カイゾーグ」とは、Xライダーの神敬介が改造された姿で、正式名称「深海開発用改造人間・カイゾーグ」です。
劇中では海中で戦う姿があまり見れませんでしたが、カイゾーグとして戦っているXライダーが活躍している姿が見たい方は、「仮面ライダー SPIRITS」を読んでいただきたいです。

15.Xライダーアクション 水木一郎

作詞/土井信 作曲/編曲/菊池俊輔

仮面ライダーXのアクションシーンなどで使用される挿入歌。
Xライダーの必殺技やXのマシンであるクルーザーについて歌っています。
これまでのブラスバンドとは違い、ベース音が主体となっているのが特徴的です。

余談ですけど、Xライダーと言えばライドルスティックのアクションが魅力的ですが、後期になるとマーキュリー回路を埋め込まれ、「大変身!」という掛け声とともにライドルを使わずとも戦えるようになります。
また、必殺技もライドルを鉄棒のように使ってから放つ「Xキック」から「真空地獄車」という、柔道のような技になるのですが、これも試行錯誤の末の賜物なのかな、とYouTubeで配信されている時は感じました。
後年の「ライダー大戦」で登場した時は、初期のライドルを使ったアクションを披露していたのが印象的です。

16.Xライダーしりとり歌 水木一郎

作詞/石山淳 作曲/編曲/菊池俊輔

こちらも戦闘時のBGMなどで使用されていた挿入歌。
タイトルだけ見ると「数え歌」なのかなと思いますが、こちらはしりとり歌。
普通に聞くと「どこがしりとりなんだ?」と思いますが、歌詞を見ると分かります。
こちらが1番の歌詞
「Xライダー 正義の戦士
 正義の力 Xパワー
 パワーライドル ひきぬけば
 爆音高く ジャンプする
 ジャンプスイング 白い輪の
 白い弾丸 クルーザー」
「正義」とか「パワー」とか、一応繋がりはありますが、しりとりというには結構ルールがガバガバです。
元々は別曲の「白い弾丸クルーザー」の没案だったのではないか、という噂もありますが、実際のところは謎のままです。

17.おれはXカイゾーグ 水木一郎

作詞/八手三郎 作曲/編曲/菊池俊輔

仮面ライダーXのEDテーマ曲。
アップテンポな演奏と、歌詞に改造人間としての決意などが盛り込まれた昭和ライダーらしい楽曲。
ED映像ではライドルを振るいながらGODの神話怪人を相手にする勇ましいものとなっています。
当時としては視聴率が振るわなかったものの、ライダー初の専用武器や劇場版での5人ライダーの共闘など、見所の多いライダーであると個人的には思います。

・まとめ

初回にして全17曲(番外編含め18曲)を紹介しましたが、まさかこんなに長くなるとは…
これでも、紹介しきれなかった楽曲が多数あるので、ライダー含め特撮ソングの世界は非常に奥が深いです…
昭和ライダーというと、TVなどでは面白い部分などが取り上げられがちなのですが、その裏にある改造人間としての哀愁などを感じる楽曲なども多く、ロンリーヒーローとしての魅力が詰まったものとなっています。
今回のプレイリストも掲載いたしますので、お時間のある時に聞いていただければと思います。

次回以降もお楽しみに。

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