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「僕、大学に1人も友達がいないんですよね」
就職活動中、とある企業のグループディスカッションで一緒になった1人が自己紹介中にそう話していた。
でも彼はどこか自信ありげで、むしろ堂々としていた。その後のディスカッションでも率先してグループをまとめていたし、とても聞き上手だった。
今でも、なぜかこのことは忘れず、時々ふと思い出す。
もし、わたしが彼の立場だったらどうだったんだろう。
大学に友達がいないことをきっと引目に感じて、何をするのもそれのせいにしてしまうかもしれない。
今だってそうだ。友人たちがいる今だって。仲良くしてくれている彼らに失礼極まりないけれど、
“友達が少ないから、私は人間関係うまくいかないんだ”
“うまくいかないのは、きっとわたしがこんなだから”
とか。
それを理由づけにして、自分の可能性を奪う。
わたしはいつだって友達が少なかったか?
いや、そんなことはなかった。
たくさんの友達がいたときももちろんあった。
とっても楽しかった。話は尽きず、たわいもないことで笑い、ふざけ合った。
ただ、そこは、わたしにとって、いつも居心地が良いとは限らなかった。
正直自分らしさ、なんて感じたことなかった。
本当はこんなのが好きって言ってみたり、そんなモノを持ってみたり、そんな服を着てみたりしても、「え、何それ”キャラ”じゃない〜」「なんかそんなの持つの(着るの)”意外”だね〜」って、“友達”にジャッジされる権利もないのに、言われる度に自分におっきなバツをされた気分だった。
本当の自分でいたくても、いれなかった。
今は、友達も前より全然少ないし、1人でいることの方が多い。
でも、その方が私は自分らしくいれる。満たされている。自分の好きなこと、やりたいことが自由にできるし、時間も自分で決められる。自分の考えが自由に言えるし、自分の好きなものを持てるし、自分の好きな服が着れる。
何かを得るためには、何かを犠牲にしなくてはならない。
自分らしさを取り戻すために、わたしにとって犠牲にしたものは、”友達の数”だったのかもしれない。
でも最近は、また、もっと色んな人と繋がりたい、仲良くしたいと思うようになった。
自分が大切にしたいと思うことが、また、少しずつ変わり始めている。そんな自分も、受け入れて、あたたかくこれからも見守っていきたい。