30代で心筋梗塞になった男の体験 3
30代で心筋梗塞になった私の体験を綴っています。同じような事が起こった人の参考になるように。健康な人が増えますように。
ドクターヘリ登場
ついに救急車を呼ぶ決意をした私は、恐る恐る119番通報をした。
家族に「念のため呼ぶわ!念のためだぞ!」と可能な限り軽いノリでLineを送り、救急車を呼ぶ。
すぐに救急隊が来てくれた。これで安心だと思った。
この期に及んでも、救急車の中で見守られながら休んでいれば復活できると思っていた。
しかし、到着して束の間、想定外の事態に・・・。
「ドクターヘリで」
これにはおそらく理由があった。心臓の持病があること、そのかかりつけの病院が、少し遠い街にあったこと。
そのことを伝えると、すぐにドクターヘリ要請とあいなった。
これを聞いて、私はなかなかの状況にあり、そのまま2時間近く耐えるというなかなか無謀なチャレンジをしていたのではないかと思った。
ドクターヘリの発着場に救急車で運ばれ、しばらくするとヘリが見えてきた。「あードクターヘリだー大変だなー」といつも眺めているあれが飛んできた。私のもとに飛んできた。
ヘリに乗ると、すぐさま救命士が「VTだ。DC準備」と言った。なにそれすぐにでもググりたいが、この状況でスマホのブラウザを開く勇気は自分にはない。ドクターヘリ内でスマホをいじっているやつを私は知らない。
「そうです私はVTです。DCお願いします。」と思うしかなかった。
しかし、一見で病名を見抜くとは、さすがヘリに乗る救命士は超エリートなのだろうと思い、とても安心感があった。
ヘリに乗ったのはもちろん初めてだが、天井を見つめていただけなので何の感想もない。ただ、やはり発着にはけっこう時間がかかった。こうしているうちに救急車で向かったほうが早かったんじゃね?と思った。
空路をなめていた。車で1時間かかる病院に、5分で着いた。
病院到着後の処置
「しっかり意識を保ったままドクターヘリに乗れるなんて幸せだ」と思った。(今でも思う。)
ヘリ内では、「VTだから脈みとけ」という声が聞こえた。
脈拍計は230を示していた。普段の自分の脈など知らないが、230が速すぎることだけは分かった。小動物のような早さだ。
同時に、脈は無くなるのが怖いのであって、早い分にはとりあえず大丈夫なんだろうなと直感し、ドクターヘリ内でありながら謎の自信に溢れていた。
230の数値を見つめながら少しでも下げようと、唯一の対抗策であるググって出てきた呼吸法によって自己救命処置を行っているうちに病院に到着。
ここまで書いたが、この間私はずっと「走った時の息切れが続いて苦しい」という症状が続いていた。それだけであって、意識が遠くなることも無ければ、しっかり話せるし思考もできた。
救急センターに着く頃には、もはや苦しみに慣れてしまっていた。
「私VTなんですDCお願いします。」と心の中でつぶやいていると、電気ショック準備という言葉が聞こえてきた。DCは電気ショックの事らしい。Dは電気のDか。Cはショックか。Sじゃないのか。
自力で復活、そして入院へ
到着から10分ほど経ち、電気ショックをやる直前に、急に体が楽になった感覚が。
同時に、脈の波形が元に戻って、数値は60くらいに下がった。
「あー戻った!」を医師たちは言った。自力で治った。
「やはり休んでいれば大丈夫な病気だったのだ。」
しばらくそのまま安静にしていたが、もう何の症状も無かった。
「もう夜だし、さすがに今日は入院か。明日退院かな。仕事は休みだな。」
と思って待っていた。
頭の上には、レインボーの札があった。これがトリアージというやつかな。黒が一番危険なんだっけな。レインボーってなにw?生還?
そんなことを考えていた。このレインボーはいまだに謎のままである。
医師の話が聞こえてくる。自力で戻ってしまったがために、発症中の記録がほとんど取れず、何が起こっていたかハッキリ分からないようで、今後の処置に迷っているようだった。
出た結論は
「おそらく心室頻拍という不整脈。少なくとも5日は絶対安静で入院。手術が必要かは今後検討。」
5日ってwうそでしょw
驚きのあまり、VTが心室頻拍の略であるという事には、しばらくたってから気が付いた。
少しでも異常を感じたら必ず受診を
後から知ったが、この病気は通常、電気ショックで心臓を元に戻す。
今回のように、勝手に戻ることはあまり無いらしい。
もし私が救急車を呼ばず家で休んでいたらどうなっていたかは分からない。同じく自力で復活できたのかもしれないし、できなかったのかもしれない。
ここで言いたいのは、もし異常を感じ、しばらくして治ったとしても、病院にはすぐに受診したほうがいい。心筋梗塞は「倒れて病院に運ばれる」イメージがあるが、いろんなパターンがあるようだ。
少し苦しいだけでも、それは心筋梗塞かもしれない。救急車を呼ばないまでも、病院には行ったほうがいい。
なお、自力で治ったといっても、そこまでの救急隊の方や看護師の方の迅速的確な処置があったおかげであると思っている。本当に感謝の言葉しかない。この場を借りて、あらためて感謝したい。
本当にありがとうございました。
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