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Instagramを辞めるすゝめ

10年間続けていたInstagramを辞めて、早2ヶ月が経った。
今のところ、日常生活にインスタがないために困ることはなく、むしろ快適なNon-Instagram lifeを送っている。
今回は、Instagramを辞めて「良かったな」と実感したことを、皆さまにお伝えする。


1. 不要な情報を回避できる


数年前までは、自分がフォローしている人の投稿しか流れてこなかったのに、最近は赤の他人の投稿が画面を埋め尽くしている(友人の投稿を見逃してしまうほどに)。

このような仕様に変わって間もない頃を、今一度思い出してほしい。
正直、「鬱陶しい」と思った人が多いのではないだろうか?

しかし、今やその仕様に脳や目が慣れてしまった。と言うより、慣れざるを得なくなったせいで、「有益かどうかはわからんが、なんとなく眺める」時間が増えた。

要するに自分の脳が、Instagramに操られているのだ。

今はAIの力で、自分仕様にカスタマイズされている※とはいえ、自分にとって本当に有益な情報が回ってくる確率は低い。私の肌感覚では、投稿100個に1個あればマシなほうだ。
ちなみに、私が考える「本当に有益な情報」とは、「生きていく(あるいはより良い人生を送る)上で必要な情報」である。


※…検索や「♡(=いいね)」の傾向から、自分の関心度が高い投稿ばかりが流れてくること。スマホをのぞく時、スマホもまたこちらをのぞいているのだ。
自分が公に発信する側であれば、より多くの♡やフォロワーを獲得できるというメリットになる。一方で、いわゆる「見る専(=他人の投稿を見るが、自ら積極的に投稿しない)」の立場からすると、それらの情報がノイズになる場合が多いと私は感じる。
この機能が追加された時、私は真っ先に、オーウェルの『1984年』を思い出した。これは、世の中が「ビッグ・ブラザー」と呼ばれる独裁者によって24時間監視されるという、全体主義社会への恐怖を描いた小説だ。刊行年は1949年と大戦直後ながら、現代社会にも通ずる部分が多い名著なので、未読の方はぜひ手に取っていただきたい。

2. 人と比べるクセからの脱却


Instagramの世界は、常に他人の「成功体験」「キラキラ」「宣伝」で溢れている。

言い換えれば、現在進行形で人生うまくいっていない人なんていうのは、基本的にInstagram上にはいない。あるいは、たとえうまくいっていなくても、あたかも成功者であるかのように見えてしまう。

これは、「画像投稿に特化したSNS」というInstagramの特性ゆえだと言える。そう、「インスタ映え」という象徴的な言葉があるように。

私たちは日々、ぼーっと画面をスクロールして、他者の輝ける人生を1日に何度も目の当たりにする。そして少なからず、「いいなあ」と思う。

つまり、意図せずとも他人と自分を比較してしまうのだ。

SNSを見ていて、「なんとなく疲れる」と感じたことは、誰にでもある経験だと思う。
その理由はたいてい、他者と自己の比較(=対人比較、または社会的比較)にある。

SNSの能動的・受動的利用が与えるメンタルヘルスへの影響を調査したVerduyn氏によると、

「SNSを能動的に利用する場合、人は社会的な繋がりをより強く感じることで、メンタルヘルスには良い影響がもたらされるだろう。一方で、SNSの受動的な利用は、メンタルへルスに悪影響を及ぼす場合がある。それは特に、社会的な繋がりよりも、嫉妬や劣等感といった感情が生じるときだ」(Verduyn, Gugushvili, & Kross, 2021, p.134, 筆者翻訳)

Verduyn, P., Gugushvili, N. and Kross, E. (2021), The impact of social network sites on mental health: distinguishing active from passive use. World Psychiatry, 20: 133-134.

とある。
ここでいう「能動的」とは、積極的にキラキラを投稿することで、「受動的」とは、画面をなんとなくスクロールすることである。

もちろん、対人比較は必ずしも悪ではない。「人の振り見て我がふり直せ」精神で自分を客観視できたり、他者の投稿が自分のモチベーションになったりすることもあるだろう。

ただ、ここで私が言いたいのは、「対人比較の機会が増えることで、比較グセがつくのは精神的に良くない」ということ。
このクセを治す一番確かな道は、Instagramから離れることだ。

3. 有意義な時間が増える


当たり前だが、Instagramを辞めると、それを見ないぶんの時間が浮く。
ではその時間に、何をするか?——答えは無限にある。

以下は一例として、私のオススメを記載しておこう。

  1. 等身大の自分と向き合う:SNSにのめり込むと、人によく見られようと思って、結果知らない自分が出来上がっている。今こそ、本当の自分と向き合おう。

  2. 趣味に没頭する:世の中のトレンドではなく、自分が心から好きなことに時間を費やそう。

  3. オフラインで家族や友人と会う:大切な人とは、きちんと3次元の世界で顔をあわせたいものだ。

  4. 読書か運動を、無理ならYouTubeを:「脱SNS依存・三種の神器」。知識と筋肉は裏切らない。YouTubeは、SNSに限りなく近く、しかし意図せず不要な情報が入ってくるのを減らすことのできる媒体。

4. 人間関係が自動的にフィルタリングされる


あなたのSNS上に、友達は何人いるだろうか。
そして、その中でリアルに会っている友達は何人いるか、数えてみてほしい。

Instagramを辞めてから、人とメッセージをすることが減った。
しかし、ありがたいことに、ゼロではない。

なぜなら、自分にとって特に大切な友人からは、LINEや電話が来るからだ(LINEもSNSだが、筆者は連絡網として使用)。

そしてご想像のとおり、そうでない人からは、パタリと連絡が途絶える(笑)

寂しいかと思いきや、案外私はそれが心地良い。
正直、社交辞令的に人と付き合う必要がなくなってラクなのだ(これは同時に、向こうにとっても同じことが言えるのでWin-Winだろう)。
さらに、今の自分に必要な友人が誰なのかが浮き彫りになるという、いわば人間関係フィルタリングである。


「最近インスタにいないけど、元気にしてる?」
なんてわざわざ聞いてくれる友人は、ホンモノだ。ぜひ、彼らのことは大切にしてください。

5. 人にシェア“しない”美学


上手に撮れた写真ほど、あるいは嬉しかった出来事ほど、SNSに載せて自慢したくなるものだ。

しかし、敢えてシェアせずに、自分だけの思い出としてそっとしまっておく。
まるで宝物のように。

この逆張りがなかなか、いい。

散歩中に見つけた可憐な花の写真も、我ながら美味しく完成したスパイスカレーも。
SNSに載せてしまえば、それで一旦満足してしまうが、
自分の心の中に留めておくことで、それらの本質的な価値は、霞まない。

誰もが、全世界に自分をさらけ出せる時代だからこそ、自分だけの世界を充実させよう。

さいごに:Instagramを辞めた理由と方法


ここまで、Instagramを辞めるメリットをご紹介してきたが、なぜ辞めようと思ったのかを書いていなかったので、一応お伝えしておく。
とは言っても、友人と縁を切りたいとか、世の中何もかもが嫌になったとか、そんな大それた理由はないのであるが。

ただ、Instagramを眺めていると、気がついたら1時間も2時間も時間が溶けていることが多々あったのだ。しかもその情報の中には、大して生産性を高めるようなものはない。
結果、「うわ、もったいないことしたわ…」と後悔の念に苛まれるのが、自己嫌悪につながっていた。

また、私は投稿後24時間で消える「ストーリー機能」を主に使っていた。これがまた楽しくて、というか、私の性格上、変にこだわってしまっていけなかった。
「どうやったらうまく表現できるだろう」「写真の位置、これでいいかな」「文字の色どうしよう」云々。こんなのもう永遠にできてしまう。

でも結局、限られた人しか私のストーリーなんて見てないんだよ。
このことに気がついた時、「ああ。もういっそ辞めちまおう」と思ったのだ。

ちなみに私は、LINEとXのみやっている。Xも長く閲覧していると疲れるが、短い時間で「世の中で今、何が起きているのか」を知るのに便利だ。メディアの情報は、偏っているから。



現時点で、Instagramを使えなくする方法は以下の2つがある。

  1. アカウント一時利用解除 

  2. アカウント完全削除 

私は、1. アカウント一時利用解除 を行い、アプリをアンインストールした。
そして、アカウント利用解除とは次のような状態をいう。

アカウントを一時的に利用解除すると、再びログインしてアカウントを再開にするまで、プロフィール、写真、コメント、「いいね!」は非表示になります。Instagramアカウントを利用解除するには、コンピューター、モバイルブラウザー、Instagramアプリのいずれかから操作する必要があります。

https://help.instagram.com/728869160569983/?helpref=uf_share

完全削除とは異なり、再度ログイン操作を行えば再開が可能だ。これまでの思い出が消える心配もない。


あとは、あなたの「思い切り」次第である。
もし、あなたが生きづらさを感じているのであれば、
ぜひ一度、お試しでInstagramを辞めてみてはいかがだろうか。

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