ロストジャッジメント 感想
基本データ
プレイ環境
PS5プレイ時間
35hプレイ日程
2022/2/2-2022/2/10クリア状態
本編・ユースドラマをクリア サイドケースはあまり手をつけず(Extra Easyで通した)
感想
本編シナリオに関して
龍が如くスタジオのゲームと言えば基本的にヤクザを中心に国家権力の陰謀も絡みめちゃめちゃ大事の陰謀に巻き込まれるというシナリオが基本路線である中、本作は「いじめ」というかなり身近な問題をテーマに掲げている。そのためスケールを広げるための契機もいじめ関係者の中に社会的重要人物がいたというだけで、最初から深い陰謀が張り巡らされているとかがなく謂わば盛り上がりにくいテーマになっている。
一方で盛り上がりに欠ける分は深さと現実的な人間の感情というところに焦点を当てており、今までのシリーズではヤクザのくせにいいヤクザみたいなシナリオだったのだが本作はいじめ被害者の親族が復讐をすることに対する是非を描くとこで差別化に成功している。
主人公は正しく裁かれないといけないという見解に立つ一方で、もう一方で法的整備が間に合っていない・救われないために復讐は必要であるという見解に立っており、シナリオ最後まで主人公の相棒のキャラにどちらが正しい答えなんてあるのか?とあえて言わせるくらいに主人公のいう正論が絶対的に正しいわけではないと最後までしっかり描き切っているのは高評価。
*以下ネタバレを含む*
一方で色々なところで後半キムタクが澤先生Botになっていると言われているが、こちらに関してはそもそも澤先生がシナリオを成立させるための駒になっている部分が鼻につくのだと思われる。
澤先生が死ななければ復讐陣営は誰も罪悪感を感じなかっただろうし、そうなったら裁判等での進行は何もうまくいかなかったと思われる。キムタクの言い分も澤先生しか言わないせいでこいつ死ななかったら何も問題なかったのか?と思わせてしまうことも違和感に繋がるのであろう。この辺り確かに納得感のある描写は難しいと思うのだが、もう少し違和感を感じない方法がなかったのかと思わざるを得ない。
恐らく澤先生に対して好感を抱くようなキャラ設定にしていない(主人公に割と敵対的・そもそも偽証した過去がある・いじめにも気がついていない)等は澤先生にユーザーが好意を持ちすぎると、キムタク側論理に共感しすぎてしまいどちらが正しいと言い切れない状況にそぐわなかったためこのようにしているのではないかと思うが、この辺のしがらみのせいでただの舞台装置になってしまったことは残念。
ネタバレ終わり
こういった全体的にスモールスケールな話になった分納得感があるシナリオになったことは良いと思うのだが、一方で身近な問題になってしまったせいで一部のガバガバシナリオがんなわけねーだろと必要以上に目についてしまった。
・最序盤でクラス内のいじめを解決するためにスピーカーを設置してクラスメートを装うとかあるがあんなの無理があるだろ・・としか思えない
・一応それなりにいい学校っぽいのに凶器を振り回す学生に、机をぶつけて殺しにかかるキムタク(流石にここは流スタイルで手加減必須にするべきだったのでは?)
・キムタクを普通に殺しにかかってるから、殺害してもなんも問題ない状況で電話がかかってきたからと中断した挙句にその後何事もなかったかのように解放する半グレ
この辺りのガバガバ描写はもう少し練り込まないとどうなのよという気分になる。
ユースドラマに関して
重い本編と打って変わって馬鹿馬鹿しいシナリオだったり、熱い青春物語を担当しているのがユースドラマになっている。こちらは軽く楽しめるシナリオが売りになっていて異世界(現実)の記憶でも蘇ったのか初めて踊ったのに踊れちゃったよのアイドルの真髄を見せてくれるダンス部であったり、これは演じたことないだろうなぁっていう暴走族とかキムタクがこんなのするの?っていう笑いを最大に活かしたシチュエーションは面白く、現実に存在するはずなのにフリー素材か?と言えるキムタクの使い方として申し分ないと思う。
一方でユースドラマは全体で10種類あるのだが、明らかに優遇されているものとめちゃくちゃ簡素に済まされているものがありもう少し力の配分は考えて欲しかった。
特にゲーム部の扱いは酷すぎない?エピソードは弱いし短いし
ゲームとしての面白さに関して
龍が如くシリーズの多分に漏れず本作もぶっちゃけゲームとしては面白くない。戦闘は相変わらず面白くなく、EXアクションは毎回見るには長いし戦闘後に入る謎のセリフ時間はテンポが悪い。
本作から新たに追加されたアサクリを死ぬほど劣化させたような壁つたいアクションや、あまりにも作りが雑なステルスのスティール。前作からある尾行や、チェイスなどどれをとっても退屈でゲーム性に期待してはいけない。
ユースドラマでもミニゲームが用意されているが、特に力が入っているものは「ダンス」・「暴走族」・「ロボット」・「ボクシング」とあるが、あまりにもシンプルでノーツを叩いた時の気持ちよさがない音ゲーのダンス。あまりにも無駄に長く、ブースト最後に使うだけで戦略もクソもない暴走族。ガチャ推しのボクシングとゲームとして何も面白くないもの。
唯一ある程度の戦略性を備えているものの、初期配置のロボットが罠すぎてチュートリアル的に成立していないロボット部。(ディフェンス系のロボット本当にいらないなって気がついたら楽になった)どれをとっても残念で相変わらず面白くないなぁという感想。
個人的に動画でゲームを済ませるのはろくなもんじゃないと思うが、ぶっちゃけ龍が如くスタジオのゲームだけは動画勢が一番楽しめるだろうなと思う。
総評
相変わらずゲームとしては面白くなくシナリオをいかに楽しめるかというゲームではあるが、身近な問題をテーマにすることでスケールは狭くなったものの掘り下げは今までより上手くできており白黒はっきりしないシナリオをまとめ切ったことは評価したい。
龍が如くのようにヤクザを絡めて大袈裟なものにしなくてはいけないものと違い、キムタクが如くシリーズは今回のような割り切れない社会性のあるシナリオに舵を切るのが方向性として合っていると感じた。
次回作も例えば生活保護とかのような功罪両面あり割り切れないシナリオを上手く描いてくれるといいなと思う
点数:74点