Red Dead Redemption 2 感想
基本データ
プレイ環境
PC (RTX4070Ti 4Kだいたい90FPS)プレイ時間
40hプレイ日程
2023/6/10-2023/6/16クリア状態
ストーリークリア(エピローグまで)
感想
規模のでかいゲームをつくるRock Startによる西部劇を舞台としたOW
ゲーム
緻密で広大な世界
2023年基準で見てもとても広大で美しい世界はどのシーンを切り取っても映画のような出来栄えであり、西武時代の人の手が関与していない広大な自然から産業革命直後の蒸気と共存する街まで当時のことを良く研究したのだろうなと思わせてくれる。
ロケーションも自然がメインだが豊富で、雪山から荒野、沼地、リゾートっぽい島まで色々な美しい景色を提供しているのは純粋に凄いと思わされる。
景色は天候によっても大きく見え方が変わり、朝や夜の明るさの違いや雨が降った時の見えにくさなどどこを切り取ってもよく作られているグラフィックはさすがとしか言えない。
作り込まれたシステムと環境
作り込まれているのはグラフィックだけではなく世界に対しての挙動やシステムもそこまでする必要があるのか?と言うところまで作り込まれている。
当たり前のように雪や泥を歩くと正しく足跡がつくし、歩く以外にもしゃがむとちょうど膝があった分だけの雪跡になるなど描写が丁寧だなと思う。
システムに関しても変に話題になったので有名だが馬の金玉が気温によって大きさが変わったりする変な作り込みであったり、もっと普通のところで言えば食べ物の食べ方で体型が変わったり、服装と外気温次第でスタミナの増減が変わったり、銃は使っているうちに汚れて性能が劣化するなどどこまでも要素を詰め込んで現実のようにしようとしている熱意を感じる。
一方でこれらの要素は気にしなかったとしても致命的に辛くなることはない。別に武器のメンテしなくても戦闘は普通に勝てるし、体重が減っても大したデメリットはない。
そういう意味では没入感のためにシステムの作り込みはしつつもゲームプレイを致命的に妨げないのはいいバランスだと感じる。
及第点な戦闘
西部劇だけあって基本はシューティングがメインの戦闘になる。
カバーに癖があってなんか上手く隠れないなぁと言う不満はあるものの、スキルを利用したスロー挙動での狙い撃ちなどそこそこマジメに作られており十分遊べる水準に達している。
どこまでも落ちていくシナリオと一味
西部時代から蒸気機関が発展し文明が広まっていく中前時代の生き方であるギャングにしがみつくしかない一味を描いている作品であるが、時代的に淘汰される対象でもあるがゆえに一味がうまくいくことがほとんどない。
そもそもゲームのメインシナリオは分岐がほとんどなく、MAPで指定される開始位置に行き移動をさせられ銃撃戦を行うだけのものなのだが大体一味がしっかりと全員でやろうとする大きな犯行は騙されていたり上手くいかなかったりと気持ちよく終わることが少ない。
時代に淘汰される存在を描くシナリオであるためしょうがないことではあるが、ボスであるダッチから言われて犯行するのに大体失敗みたいな展開は気持ちよくゲームをさせてくれるように作られてはいない。
ギャング集団がシナリオが進むにつれてどんどんドツボにハマっていき空気が悪くなるのも非常にリアルである。
ギャングのホームにおける会話の量は非常に膨大でとても作りこまれており、その中でギスギスしていくのは見ていて辛いものがある。(ただ会話の作りこみには素直に感動する)
広大だが大きな遊びがあるわけではないMAP
めちゃくちゃ作りこまれているMAPだが小さな家が少しあったり宝の地図や隠しポイントなど少しの遊びはあるものの、特に隠しポイントなどはヒントも少なく普通にうろついているだけではほぼ発見できない。
そのためクエスト位置に行くための移動などは風景がきれいだなとは思うものの綺麗だな以外に楽しみが無く移動が長いせいで退屈な感じが出てしまう部分が間違いなくある。
ゲームの進行と噛み合わない狩り
MAPでその他にできる遊びのメインは間違いなく狩りであり、広大な大地には沢山の動物が存在し狩りをすること自体は非常に楽しい。
ただ一方で狩りをした後は他のゲームのようによくわからない無限のインベントリに入ったりすることもなく、拠点へ持ち帰ったり店に持って行って売る必要がある。
馬にはせいぜい小型2匹と大型1匹までしか載せることができず、しかもほっておくと腐ってしまう仕様まであるため例えばクエストの行き道すがらで狩ってみたいなことが行いにくい。
移動が多くなるゲームなだけに、合間に狩りをして移動も楽しくみたいなことをシステム的に行いにくくしているのはリアルという点では正しいのだろうが、実際に遊んでみると不便しかなく楽しくゲームをさせようというようには一貫して作られていない。
風景は素晴らしい・ストーリーも見どころがある・狩りは楽しい。実装されている全ての個々の要素は素晴らしく作られているのに合わせてみると楽しいように作られていない。
どのように遊んでほしかったのかが正直あやふやになっていると感じる。
明らかにちゃんと作られていない操作やガイド
まず大前提として本作の操作感は全体的に癖がある。
歩く走るもなんか変な慣性があるし、馬の挙動も思ったようには動いてくれない。しかしまぁこの辺は現実的と考えると納得できる範囲であるとは思う。(それでも馬の挙動に関してはちょっと障害物があると動かなくなったり、逆に全然スピード出してないのに吹っ飛んでこけたりと疑問がつく部分はある。)
一方で手に取るアイテムが近い場合(本拠地がわかりやすい)に目的のアイテムが選びにくいことなどはリアルでもなんでもなくただ単にUI作りに失敗しているなという印象が強い。
開発が長期に渡り、特に快適性が進化したゲーム世界においてその辺に関しては素直に置いて行かれている印象を受けた。
それだけではなく、馬車を引いているときにバックがR1でできることだとか、ガンアクションコマンドがあったりなど機能があるのにボタン説明がないのも気にかかる。
言うほど完璧だとは感じないOWとしての作りこみ
小さな村レベルだと基本的にどの建物にも”役割”が存在するため実際に入れたり利用できるものの、最大規模の街ではほとんどの建物に入ることができない。印象的な教会であったり、シナリオで説明をうけた本屋にも入れないのは悪い意味で衝撃を受けた。
行きかう人々に関しても話は特に挨拶くらいしかできないし、時間を問わずずーっと突っ立てる人などとてもすべての人が生きているとは思えない。
この辺はSkyrimと比べると、勿論グラフィックでは圧倒しているものの綺麗な張りぼてと感じてしまう部分ではある。
総評
尋常じゃない人海戦術と期間で、広大で美しい西部の世界を再現しためちゃめちゃ金のかかった大作。
世界そのものの作りこみ、狩りや釣り、アクションなど個々の要素をみるとよくできている一方で、全体の遊びとしてみたときに各要素が全くかみ合っておらず”楽しさ”というものをなんなら意図的に外すように作られている気がする。
ただ単に西部に生きるというシミュレーターのように遊ぶのであればよいかもしれないが、メインも進めつつ狩りもして、サブクエストも見てみたいに”
”ゲーム”として遊ぼうとすると不便な面・不快な面が非常に多く素直に楽しいとは思えない作品。
ゲームに何を求めるかで大きく感想は変わると思うが、個人的にはここまで変なこだわりを持たなくても十分リアルを追求しつつ楽しめる作品になったと思うだけに残念な気持ちが強い。
シナリオに関しては下に別途記載するが(ネタバレだし)、世間一般で言われるほど個人的には感動できなかった。しかしそれでも先を進めたくなる吸引力は十分にあり時代に取り残されたギャングの崩壊の悲哀をよく描けていると思う。
点数 : 75点
シナリオの感想
主人公のアーサーは最初から最後まで自分の頭で考えられない人間だったなぁと思う。
序盤は勿論、病気で死を意識してからも精々考えられるのはめちゃくちゃ近くにいる数人と頼ってきた人間のことだけでシナリオでそりゃ不満はたまっているのはわかるが、それでも長年暮らしてきたはずのダッチファミリー全員を救うことまで考えれない動こうとしないキャラクターで、どこまで行っても学のない、この生き方しか知らない人間だったなぁと思う。
当然ダッチは本編中では無能だし役に立たなかった。何回も失敗しているのに最後まではったりと口八丁でどうにかできると過信して敵を作りどうにもならなくなったのは間違いなくダッチのせいだしそこはしょうがない。
ただ本編でも言っているとおり、じゃあ他のメンバーは何か考えていたのか?「I have a plan」をダッチが連呼してそれの不満をいない中でぶー垂れるだけでちゃんとじゃあどうすればというのを考えていたのか?
金持ちをとらえたときに本気で止めて金をもらって逃げればよかったのではないか?意見もきちんと言わずにダッチにすべての責任を押しながらも不満はいうだけ言って切り捨てた責任はアーサーにもないのだろうか。
人を殺しすぎたというが、それはそもそも本編以前もそうだったんじゃないか?
死期を知って振り返っても精々見える範囲のことしか自省ができない、そんな人物がアーサーで、それはとても人らしくはあるもののダッチに全ての咎を押し付けられるほどきちんとしていなかったように思う。
結局のところギャングのメンバーは全員急速に文明により塗り替わる世界の常識についていけない人間であり、昔やっていたことが通用しなくなったダッチもそれに付いていくだけで考えを放棄したメンバーも全員当然散っていくのが当たり前でなるべくしてなってしまう悲哀でしかないと思う。
それだけにエピローグは死ぬほど蛇足だと思う。実際のところ家を建てるところとか最高に楽しかった、それでも時代に取り残されていくギャングは全滅するべきだった。
善悪での分岐がアーサーが助けたジョン達が結局殺されるのを死ぬ間際に見るか見ないか(自分の中だけでの救い)、そのくらいにして結局は全滅するくらいの潔さをこの物語なら見せてほしかったように思う。