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ザ・リーサルウェポンズを広めたい

最近ハマっている…というか
大好きで仕方ないアーティストがいる。
ザ・リーサルウェポンズ(以下ポンズ)だ。

作詞作曲から編曲、映像監督まで務めさらにギターやキーボード、ベースの各種楽器までこなすアイキッド(以下センセイとする)が、素人だった外国人ジョーに英才教育を施し改造したという設定
もといエピソードから生まれたのがポンズの2人である。

改造を受けたジョーはサイボーグジョーと名乗り、バンドのボーカルとしてハンパねぇ活動を開始することとなる。

2人の出で立ちはというと、センセイは黄色いツナギにアメフトのヘルメット、そしてヘッドレスのスタインバーガーという変わり種ギター(写真によってはキーボードの時もある)
方やジョーはというと、赤いバンダナ・グローブ・ダウンベストにデニムとティアドロップ型のパイロットサングラス。

そして2人ともにシューズはナイキという、完成された【アメリカナイズ】な恰好だ。

ジョーなんかは特に誤魔化すこともないほど、バック・トゥ・ザ・フューチャーの主人公マーティ・マクフライを強烈に意識した見た目である。

この見た目の2人からどんな音楽が奏でられるのか??


答えは
見た目そのまんま、
なのである。



1980年代から90年代初頭にかけてのアメリカンロック(ハードロック・ヘヴィメタル)ギターサウンドに煌びやかなシンセサウンドが乗った、実に懐かしいテイストの音楽だ。

楽曲バリエーションも多岐に渡りファンク・ディスコ・プログレ・ニューウェイブ・特撮・童謡・和テイストなど、決してゴリゴリのロックサウンドだけではない。
またそこに加わる歌詞も、日米問わず当時の音楽・映画・ゲーム等をふんだんに盛り込んだ楽しいものになっている。

見た目もサウンドも歌詞も、そして『タモリ倶楽部の空耳アワーを彷彿とさせる』低予算気味かつ手作り感満載なミュージックビデオも、一聴した人の脳裏に大きなインパクトを刻んでいく。

このため、初見や聴き始めの頃はコミックバンドやいわゆるネタ系アーティストのイメージを持つ人が多いのではないだろうか。
確かにそういった側面もあるが、恐らく本質はそうではない。

彼らは、そしてアイキッドセンセイは
『音楽に大真面目』なのである。

前置きが長いが、この記事ではそんなポンズの音楽面の魅力などについて触れていきたいと思う。

先に断っておくと、とても偉そうな書き方をしているが書いてる人は完全なズブの素人である。

80'sや90'sの文化も、決して精通してるわけではない。
なんとなく聞きかじったり眺めてきただけのことも数多い。
それこそ超有名音楽や映画作品も体験してこなかったものの方が多数派だ。

そのため的外れな、素っ頓狂なことを書いている可能性もあるがそこはご容赦願いたい。


サイボーグジョーの歌声

実はつい先日ポンズのライブを生で体験してきた。

手作りポンズロボ

そこで改めて驚かされたこと。

それは【ジョーのボーカルセンスとパフォーマーとしての資質】だ。

冒頭でも書いたが、ジョーは元々素人だったが縁あってセンセイからボーカルを任されている。
だがその歌唱力は決してただの素人ではない。

まあそんなにヘタじゃないし別に聞けるよね、というレベルではなく【ちゃんとバンドのメインボーカル】なのだ。

ジョー本人は「すぐに喉が痛くなる」と言っていたしボーカルレッスンも特にしてない(センセイ談)そうだが、だとすればこの圧倒的なボーカルパワーは何か。
それはひとえに持って生まれた才能、そしてアメリカ人故の発声(発音)の響きではないだろうか。

ライブ中動き回りながらも音程が乱れることはほとんどなかった。
たまに入りの部分が上ずったりはあるが、それはどちらかというと会場のテンションに釣られてという感じである。
歌いだしたフレーズの途中で音が外れることはまずない。

楽曲的に『上手く歌うこと』の必要性もそんなにないのだろうが、音程が外れるほど音痴ではやはり成り立たないはずだ。

そしていわゆる『歌の上手さ』以上にジョーの声は本当にエモーショナルだ。

声が低すぎるわけでもなく、キンキンと刺さるわけでもない。
ミドルの成分が多い実にマイルドな歌声。
優しい楽曲は本当に優しく、ノリノリで激しい曲はパワフルに歌う。

激しめの曲では独特のしゃがれ、というか、がなりの様な声を多用するのだが元々のマイルドな声質のおかげで耳に痛くないのだ。
この声質でなければ、音が割れたりハウリングするような一種の不快感も出てきてしまいそうだが、それが全くと言っていいほどない。

実はこれがポンズの肝である、と自分は勝手に思っている。

センセイの書く歌詞は一見すると、面白おかしく笑ってしまうようなネタに溢れている。
だがその裏には超とも呼べるほど強烈な皮肉やアンチテーゼが込められていることが多い。

ただただ騒いではゴミを散らかすハロウィン集団
容赦なく徴税する税務署
謎の中抜きシステムで減らされる給料
ボタンを押すだけで音楽家気取りの一部のDJ
日本の社畜環境
大人になる日に最も子供な振舞いの成人式etc…

こういったテーマをキツく刺さる声質のボーカルが歌うと果たしてどうなるか?
おそらく曲自体に怒りや憎しみ、ネガティブな要素が少なからず表されてしまい楽しく聞けない時が出てくるはずだ。

それをジョーが歌うだけで全体がマイルドになり中和されるのだ。
そのおかげで【ハッピーソングだけどよく聞けばシニカル】というポンズ独特の楽曲が完成されていると思う。

そして聞き込むほど当初のイメージが覆り味が出る、という深みのある曲に昇華されるのだ。

また、なんとなくポンズの歌は簡単というイメージがあるが実際に歌ってみるとそうでもない。
現代の流行曲にありがちな、音程の激しい行き来や唐突なオクターブ超え、あるいは超ハイトーンなどは確かにない。

だが実は【思っているより歌のキーは高い】のだ。

女性では感じにくいと思うが、男性はぜひMVなどに合わせてカラオケのようにしっかり歌ってみてほしい。
英語の発音がとか早口の部分が、とかは抜きにしても意外と高くて苦しい・声が出ないといった難しさを感じると思う。

特にチェストボイスオンリーや喉締め声だけで歌っていると、無理やり高い部分を出してあっという間にガラガラ声…という事態になる。

そういうキーの高さを微塵も感じさせないのも、やはりジョーの柔らかい声質によるものだ。
刺さらないから実際より低く聞こえているのだ。

そして最も特筆すべきはジョーのリズム感の良さであろう。

MVでの彼の動きやダンサブルなフリを見ていると解るが、身体全体でしっかりリズムを感じている(センセイ曰く、クネクネしてる動き)

ポンズの楽曲自体に変拍子でノリにくい部分などがほとんどないのもあるが、スネアやバスのリズムに合わせて実にジャストかつタイトに歌唱する。

これは生ライブでもそうだ。
リズムがズレたりタイミングを外すということが本当にほぼない。
ライブ中走ったり動いたり手を動かしているのに、だ。

ジョー本人は多分ガッツリとは意識していなくて自然体だと思うのだが、それゆえに元から持っているリズム感の良さが際立っているように思う。

パフォーマーとしてのジョーはさらに凄みを増し、ライブ中のオーディエンスの煽り・盛り上げ方や一体感を生み出す(時にお茶目な)MCは「本当に素人だったの?」と疑ってしまうほど。

これはもしかしたらポンズの2人ともがプロレスを大好きで、そのマイクパフォーマンスによって育てられたからなのかもしれない。

格闘技としての真剣勝負、よりは
観客ありきの魅せるための真剣勝負。
ポンズの根底にあるのは正にそこだろう。

センセイはたまたま出会ってたまたま声をかけて組んだ、というようなことを話しているがそもそもジョー自身に音楽的な素養がなければおそらくここまでの活動は出来ていないはずだ。

センセイのやりたいこと、伝えたいことをしっかりと表現してくれる唯一無二の存在。
それがサイボーグジョーに他ならない。


アイキッドと書いて総合力と読む

そしてそのジョーを意のままに操る狂気の発明家、アイキッドセンセイにも触れていかねばならない。

一言で表すなら…【正に多彩】である。
楽曲を作りアレンジし、なんなら曲を作る段階から撮る映像を考え…
様々な楽器をも弾きこなすスーパーなプロデューサーだ。

ライブでの紹介『ミスター器用貧乏』と称されていたが、非常に言いえて妙というかしっくりくる。

あらゆるジャンルの能力が平均より高いが、おそらく突出して抜き出た尖った部分もない(と言い切ってしまうと語弊はあるが)のであろう。

だがその卓越したバランス感覚の良さが一番の持ち味であり魅力なのだと思う。

一人いるだけで誰もが安心出来る、そんな実家のような人物。
それがアイキッドセンセイだ。

優秀だからみんなが頼りにするし、みんなが慕う。
常に周りが見えていて冷静だから、その人その人に最も適した役割を与えられる。
ジョーと同じステージでライブをしていても、それは変わらない。

プレイヤーとして、パフォーマーとして決して前に出てくるのではなく、淡々とその場を管理しているのだ。

楽曲、歌詞、演奏、ボーカル、MV、演出、そしてオーディエンス。
全てが揃った時に初めて作品が完成する。
恐らくそんなイメージで舞台の上からこちらを眺めているのではないだろうか。

そしてその完成の瞬間が一番楽しくてポンズとしての活動をやっているのだと勝手に思っている。

音楽的な部分で言うとセンセイの繰り出してくる音やリズムはとにかく気持ちがいい。
フレーズにしてもタイミングにしても、ある意味こちらの予想通りで奏でられる。

躓くようなリズムでブレイクが入ることもないし、コードやスケールから外れた音をオシャレにねじ込んでくるなんてこともまるでない。
こちらが望むリズムで望む音の流れが耳に入ってくるのだ。

ギターやシンセの音色もそうだ。
激しくエフェクトされたりゴリゴリの音ではなく、ある世代以上には聴きなじみのある懐かしい音。
違和感なくスーっと染み入ってくる、そんなサウンド。

現代の洒落た楽曲に慣れた人にとっては、もしかしたらそれはつまらなく感じるのかもしれない。
構成がシンプルすぎるせいで退屈だ、と。

しかしポンズがハマる人にとってはその予定調和的な安心感は大きな魅力なのである。

例えるならそれこそ昭和の伝統、
ドリフやその他往年のお笑い・バラエティ番組だ。
オチも読めるしお決まりのギャグもある。

なのに楽しい、面白い。

ポンズに溢れる精神とも通ずるものは大いにあるはずだ。


音楽の面でも高い能力を発揮するセンセイだが、作詞の部分でも素晴らしいセンスを持っている。

言葉選びがとにかく秀逸なのだ。
ジョーが歌う手前、日本語と英語(和製英語も)を両方駆使するのだが、組み合わせ方が最高に上手いと思う。

正に音楽界、切ってはSONYの
『ルー大柴』のようだ。

個人的に好きなワードをいくつか挙げてみる。

・敗戦処理のset upperみたいなLife
・Presented by 十返舎一九
・鳩メシ しれっとintercept
・お供え パクってfaraway
・日出づる国sunrise 永い歴史history
・それぞれのJustice sign 家紋を抱いて
・Healthy不足の 内陸Countryの為に 塩を
・他人の才を預かって
 トンズランナウェイ dark agent

ホントはもっとあるのだが、キリがないのでやめておく。

歌詞の流れ無視で抜き出してるので、「?」となる人も多いだろうがセンスの片鱗は感じ取れるはず。

しかもこれらの歌詞が曲のリズムに気持ちいいくらいビタっとハマるのだ。
どこかを無理に伸ばすとか、一部をめちゃくちゃ早口で、とかじゃない。
歌のメロディーに素直に乗っかるのである。

言葉遊びとリズム遊びを同時に行うような、そんな高度なことをただ楽しくこちらに提供してくれる。
そういう何気なさが、さっき言ったセンセイの『前に出しゃばらない』雰囲気とシンクロするのである。

ちなみに先ほどの
・Healthy不足の 内陸Countryの為に 塩を
は、上杉・武田軍の川中島の戦いをモチーフにした曲だ。
あの有名な『敵に塩を送る』エピソードだ。

このエピソードをこんな言葉の選び方で表現出来る人が果たしているだろうか?

初めて見た時は本当に驚いて度肝を抜かれたものだ。
特に、『Vitamin不足』でも『Mineral不足』でもなく【Healthy不足】としたところに物凄い知性とセンスが詰まっていて、個人的に拍手を送りたいくらいだ。


結局リーサルウェポンズって

ザ・リーサルウェポンズは2人組だ。
そんなことはファンでなくても見れば解る。

だが実体は一人のプロデューサーの元でファイトする一人のボーカリスト、というのが個人的見解である。

つまりボーカルのジョーでさえ、センセイの表現する世界のコマの一つなのだ。
コマと書くと聞こえが悪いが、要はアイキッドワールドを構成する要素の一つ、という意味だ。

そしてそのコマにはこちら側、つまりファンやオーディエンスも含まれている。
有り体で言えばポンズファンは

「アイキッドセンセイの掌の上で転がされている」

状態だ。

もちろんそれは悪い意味ではなく、むしろ遠慮なく転がりたいし転がしてほしいという気持ち。
Producer living legend 相木清久、なのだ。

ジョーがセンセイを慕い、言われるがままに色んなことをするのもその能力の高さを実感しているからだろうと思う。

このチョーvery veryリッパな人間に任せれば全部安心!上手くいく!
そんな気持ちがジョーのあの柔和な笑顔を生んでいる。
ファンの一人としてはそう思わざるを得ないのだ。


最後に

見た目と曲のインパクトでなんとなくポンズを知っている。
そんな人ほどさらに踏み込んでしっかりと楽曲を聴いてほしいと切に願う。
彼らが決して見た目だけのイロモノじゃないことが、ハッキリと解るから。

逆に見た目と歌詞でポンズを避けている人。
こういう人にも食わず嫌いせず聴いてほしいと思う。
真面目に音楽が好きな人ほど、彼らの楽曲が『本物』だと解るから。

一度その音楽性の高さを認識すれば、その魅力にハマるのはそう遠くないはず(合う合わないはもちろんあるけれど)

そして気付いた時には自分もその音楽の最後のピースになりたいとなり、曲中の合いの手…
ツイン怒号システムとして声を出し手を上げずにはいられない状況になるのではなかろうか。

昭和と平成を生きてきたポンズの2人が、令和の時代に何を残すか…
これからもずっと追い続けて行きたいと思っている。
そして同じような同志が増えるよう、ポンズの魅力を広めて布教していこうと思う。

本当はもっともっと書きたかったのだが、書きたいことだらけで何もまとまらないので一旦終わらせることにする。

この拙い文章でポンズに興味を持ってくれる人が一人でもいることを願って…。


THE LETHAL WEAPONS is my hero
80年代 paradise
We can't stop the music ありがとう





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