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手染め象革鞄製作記


皆様こんばんは、ご無沙汰しております。
ご贔屓の方々のお陰様で忙しく過ごさせて頂けております。
むしろ忙し過ぎて時間に追い越されタイムトラベルに成功しています。
毎日がバック・トゥ・ザ・フューチャーです。
あ、忙しい理由は作るのが遅過ぎるだけです。
オーダー頂いている皆様、お待たせし過ぎて大変ご迷惑をお掛けしております。
が、良い物を作るのには時間が掛かるという事でどうかご容赦下さいますよう宜しくお願い致します。

そんなバック・トゥ・ザ・フューチャーしてる最中、無事作品が完成しましたので写真で綴ります。


染色工程

先ずは製図から。

今回はクロム鞣しの象革をメインに使用します。
手染めで染色していきます。
凹凸が激しく染色が入りにくい箇所には刷り込み刷毛で染める細かい作業になります。

補修工程

丸く抜いた象革をゼロ漉きし。
裏から貼り合わせて象革の穴を補修します。
全部で6箇所程補修しました。

準備工程

先ずはパーツの荒裁ちから。
ストラップの根革とジッパーの引手の仕立て。
この部分だけでも一個につき5つのパーツを使って仕立てております。
鞄の底部。
芯材は全てゼロ漉きし、ネジ頭はフラットになるように芯材をくり抜きます。
カードポケットは一枚で、マチ等は裏地を貼ってヘリ返し。
ヘリに向かって極緩やかに薄くなるように仕立てる為、3〜4回に分けて漉き加工しております。
漉き、貼り合わせ、ヘリ返し、本裁ち等々、山のような工程を経て準備工程終了です。

縫製工程

先ずはカードケースパーツと。
内装ポケットから仕立てます。
象革は凹凸が激しいので縫製箇所を電捻で出来る限りの凹凸を潰しておきます。
今回一番しんどかった作業です。
準備工程→捻入れ→縫製
小端磨き。
縫製×小端磨き。
クロム鞣しの小端磨きはタンニン鞣しより難易度高いです。
身頃とマチの縫製は駒合わせ縫い×自作の曲げ針で。
歪み防止の為、中心から左右対称に縫製します。
ウォレット部分の内装。
ジッパーは両開きで。

それから最終縫製工程を経て、、、
完成です。


手染め象革鞄

全体図。
正面から。
サイドから。
ディテール。
ストラップは長短二種。
ウォレット部分内装。
カードポケットは18箇所。
小銭入れはL字ジッパー。
鞄部の内装はポケット4箇所×ペン差し。

写真は以上です。

深緑に染めた象革、糸はライトオリーブの麻糸です。
数十箇所にも創意工夫を施し、より頑丈に、より綺麗に、よりメンテナンス性が高くなるよう仕立てました。

厚みにより縫い方が変わるのは布も革も同じですが、必ずしも縫ったから長持ちする、とは限りません。
それと縫製の手順次第ではメンテナンス性が著しく下がる事もあります。

製作する度に思い付く限りの最善を尽くし、後世私が死んだ後にも伝わり他の職人さんでも修理、メンテナンスをする事を想定してあるのが私のオーダーメイドです。
当然製作に時間が掛かるわけです(白目)

ウォレット部分を取り外し出来るように仕立てたのは普段取り外しする為ではなく。
ウォレット部分の修理が必要になった場合を想定している為です。

今回も良いオーダーを有難う御座いました!!

では一息付く暇もなく次のオーダー製作に着手します。

それでは皆様また逢う日まで。


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北崎厚志

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chelsea / 革職人
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