ぽこ

生まれ変わったらヤングコーンのヒゲとかどうでしょう

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生まれ変わったらヤングコーンのヒゲとかどうでしょう

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  • 喫茶店、愛

  • 食べたいもの日記

    床に転がって食べ物のことを考えていたら、ポンと思い付いた 食べてみたいものを食べた気持ちで感想を書きます          優しさの正体は、愛と想像力

最近の記事

タロー屋のパン🥖

通パンしたタロー屋のパンたちが最高すぎて衝撃を受けたので、書き留めておきたい感想メモ。 焼くとキッチンにお花の香りが漂うパンってなに???思いが溢れて追記が止まりません。 ꕥラベンダー酵母とハチミツのクッペ 私が主役よと言わんばかりのヒロイン風を爽やかに吹かせる、圧倒的存在感。 小さい頃おばあちゃんちにラベンダーをリボンで編み上げた棒状の飾りがあったので個人的にはおばあちゃんちを思い出す香り。 ハチミツの保湿力でカリッともっちり。じんわり甘くてバターとかミルキーな香りが合

    • モスバーガー日記

      モスバーガーの思い出って意外とたくさんある。 たくさんというか、食べた回数のわりに色濃くある感じ。 子どもの頃は地元にモスバーガーがあって、お母さんとお姉ちゃんとお店に食べに行った記憶がある。 マックよりちょっと良いお値段だと知ってか知らずか、なんだかちょっと特別感があって好きだった。 その後地元の店舗はなくなって、食べる機会もほとんどなかった。そんな私が、ここ数ヶ月でモスへのほのかな愛を復活させつつある。 新しい職場の近くのモスの魅力を知ったからだ。 そもそもドライブ

      • 何度目かのもののけ姫

        もののけ姫は多分ジブリで、いや、全映画の中で最も回数を観ているような気がする。 中学の時に吹奏楽コンクールでもののけ姫セレクションをやったおかげで、場面ごとに流れる音楽やセリフもだいたい分かる。 コロナ禍には映画館でも観た。 そして、歳を重ねるたび自分の中の善悪の境界が曖昧になっていくことを感じる。そんな単純なベクトルで測れないと分かることでどんどん生きづらくはなるけど、それでいいんだと思う。絶対的に悪いことはあるけど絶対的に悪い人は登場していないというか。 アシタカは、

        • アミューズメント洋食屋

          お昼ごはんにと思っていたお店にふられ、それならばと以前からマップに印だけつけていた洋食屋を目指す。 最後の角を曲がると、店の前に人の列。ちょっと驚いたけれど、急いでいるわけでもないので最後尾にそっと並ぶ。 お店のお姉さんが列の先頭から注文をとると、どの人もオムライスで、と答える。 おやおや、私、ポークチャップとエビフライとオムレツが一緒にのったオリジナルランチにしようと思ってたんだけどなと、マップの写真でメニューを見返す。なるほどオムライスは曜日限定らしい。 満を持して先

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        • 喫茶店、愛
          6本
        • 食べたいもの日記
          3本

        記事

          no.6

          その喫茶店は入り口右側のショーケースがたまらなく洒落ていて、高さの違う円柱のお立ち台に、オムライスやハンバーグなどの食品サンプルが並ぶ。 扉のガラスはくもった色をしていて中の様子がよく見えない。良い喫茶店によく見られるギャンブル性のある入り口だ。 お店の中央には金色の円盤が無数に連なり吊り下げられたシャンデリア的なものがあり、エアコンの風を受けて定期的にカラカラと音を立てる。音楽は流れておらず、テレビもついていない静かな空間に響くカラカラは、なんだかちょっと異世界への通路の

          no.5

          朝から暑い日。黒いワンピースが熱を吸収しているのを感じながら、今日も喫茶店の扉をひらく。 色のついたガラス戸で、やっているのか一瞬不安になる。中に入ると新聞を読む常連さんが1人。お店の奥さんがいらっしゃいと声をかけてくれる。奥の方が涼しいよと言われ、入り口近くのゲーム機つきテーブルに未練を感じながら奥に向かう。奥のスペースは一段高くなっていて、深緑色の絨毯みたいな材質の壁に水槽が埋め込まれている。左右に電車の窓みたいに並ぶ水槽には、金魚やら小さい魚やらが泳いでいた。 モー

          no.4

          喫茶店ではなくケーキ屋さんだけれど、一度行ったらとてもファンになってしまったお店がある。 流れているのは平成ジャンプ浜崎あゆみ中島美嘉。 有名な人とそんなに有名でない人の色紙が並び、ホワイトボードには各々の思い出が記されている。 あまいアイスティーと背中のないショートケーキ、アクリル板の角の梱包材。 今ここにあるお店のこれまでがちらりと見えるとなんだか泣きたい気持ちになる。言葉にすると軽くなるけれど尊い。

          no.3

          汗をかきながら田んぼの間を30分ほど歩き、地図アプリで見つけた喫茶店にたどり着いた。派手な服装の外国人のポスターでコラージュされたえんぴつみたいな柱、エアコンの風に揺れる緑。年季の入った花模様のソファとオレンジ色の床。店の奥には金魚が泳ぐ大きい水槽と、壁一面の女の人の顔、時限爆弾みたいな赤い文字が大きく表示されているデジタル時計。 クリーム氷コーヒー サイコロ状に凍らされたコーヒーにバニラアイスがのっていて、シナモンの浮いたミルクをかけていただくという。一口のんで笑ってしまっ

          no.2

          朝の8時前、誰もいない喫茶店でモーニングを食べた 螺旋階段をのぼると大きめの音で音楽が流れていて、店の奥には電話ボックスらしいものが見える 朝ドラに出てきそうな穏やかに年季の入った空間にほっとする 窓際の席に座り交差点を渡る自転車の列を眺める ガラスの縁が斜めにカットされているおかげで、横断歩道の途中で一瞬人々が消えて見える ハリーポッターの9 3/4番線みたいだと思った ゆっくりと運ばれてきた、ワンプレートにあらゆる食材がひしめくモーニングセットに心が躍る 当たり前の

          旅気分ジェラート

          「テイクアウトはシングルだけ、フタできないから」 イタリア人らしき女性店員が言う でも私の口はもうさっぱりと濃厚の両方を求めている 店の隅に1人でも座りやすそうな椅子を確認し、ブルーベリーレモンとプラリネのダブルを注文する オーダーからほんの数秒で目の前に置かれたジェラートを手に、いそいそと椅子に座る そこはジェラートケーキが静かに並んだショーケースを横から眺められ、機械ひしめく厨房も見渡せる特等席だった 作り込まれたジェラートケーキは美しく静かだ マスクを外すと、清

          旅気分ジェラート

          夢の国の話

          梅雨が明けたばかりの暑い日 海で朝日を見た帰り道に寄ったある古道具屋さんの話 蚊取り線香の匂いが湿度をもって肌にまとわりつく 緊張しながら中に入ると、そこは完璧に異世界だった 小さい窓から覗く緑、どこからか漏れて床に置かれた額縁の隅に落ちた丸い光、無音の空間に響き続ける蝉の声 高い天井をもつそこは室内であり屋外で、まるで時が止まっていた 薄暗い空間に静かに身を寄せる古い家具や道具たちは、ぎゅうぎゅうに並べられて(あるいは積まれて)いるのになんだか伸び伸びしていた ガラ

          夢の国の話

          千と千尋のおにぎり

          久しぶりの食べたいもの日記 今回は食べてみたつもりに失敗した話です 白いごはんは涙の味がすると感じることがある 思春期の頃、どうしようもなく悔しいことがあって、それでも気持ちを表出できない時 言葉も涙も飲み込んで口に詰めたごはんの味を、強く記憶しているのだと思う 千と千尋の神隠しでハクがくれたおにぎりは、知らない世界で自分の存在が薄れかけていた千尋にとって、現実に引き戻してくれる味であり、緊張した心をほぐしてくれる味だったんだろうな お米には、特におにぎりという存在には

          千と千尋のおにぎり

          no.1

          いつも通りがかるだけで入ったことのなかった喫茶店に入った そーっとドアを押すと、常連らしい元気なおばさま方と店主が楽しそうに話している 私みたいな客は珍しいのか、一瞬その場が静かになる いつも少し申し訳ない気持ちになりながら、そのお店の空気を壊さないように、そっと席を探して端に座る 地域の人たちがいつも新聞を読んで、煙草を吸って、テレビを見ている、そんな喫茶店を尊敬しているし、そこに少しだけお邪魔させてもらう時間は本当に楽しい 店内には白い螺旋階段があって吹き抜けになっ

          ポテトにシートベルト

          今日は仕事をがんばったのでアイスを買った 秋限定のお酒も買った そして全サイズ150円のポテトはもちろんLを買った 助手席に荷物をのせて動き始めると、人が乗っていると感知されてベルトをしてくださいの警告音が鳴った 音を止めるためにベルトを締める スーパーで買った冷蔵の食品と隣り合わないよう、リュックの上に置いた温かいポテト シートベルトはポテトのためみたいだった

          ポテトにシートベルト

          桃パイ

          一度だけ行ったことがある、品格のある洋菓子屋さん 帽子のように丸い桃をのせたパイがあるらしい きっと つやつやの桃は優しくて上品な香りがして、 口の中でじゅわっと果汁が広がる サクサクのパイを崩して甘いカスタードを食べるんだ 香ばしいバターの香りと卵の甘さが幸せで 桃が軽やかなおかげですんなり平らげてしまう いつかまた、小さなお花が飾られたテーブルで

          山椒ミルク

          わたしはもともと、変わった味の食べ物が好きだ ケーキ屋さんではいつも、定番のショートケーキやモンブランは頼まなかった カタカナの名前のプレートを必死で読むのが好きで、ナッツやスパイス、果物とチョコレートの組み合わせに驚きたい願望があったように思う 実家の庭には山椒の木があったけれど、幼いわたしはアゲハチョウの匂いというイメージだった(卵のついた葉をとってきて育てたことがあった気がする) 大きくなって山椒の香りが好きになり、父の真似してパンっと音を立てて叩いた葉っぱをお醤油ご

          山椒ミルク