そのエンジニア採用が不幸を招く~エンジニアの転職に失敗しない3つの質問~
▼目次
はじめに
①その経営者でいいのか?
②その人事担当者でいいのか?
③あなた(エンジニア)自身それでいいのか?
まとめ
はじめに
昨今エンジニアの有効求人倍率は加速10倍を超え、加速しています。それだけ多くの会社にとってエンジニアが必要でなくてはならない存在になってきている、ということです。これだけ聞くとエンジニアを採用できた会社は勝ち組。エンジニアであれば職にあぶれることなく勝ち組。となりそうですが本当にそうなのでしょうか。本書ではエンジニア採用・転職について重要なことを大きく3つの観点からご紹介します。企業側・エンジニア側どちらの目線でも見ていただけると幸いです。
(引用:https://hr-tech-lab.lapras.com/knowhow/2019_ratio_2020_todo/)
①その経営者でいいのか?
まず転職する際に見極めなければならないポイントの1つ目が経営者です。
ITリテラシーの無い経営者の中にはエンジニアはスーパーマンだと思ってる人がいます。「webの技術を使えばこの赤字事業を一発で黒字にできるのではないか?1人でなんでもできるようなエンジニアを雇えばいいんじゃないか!ただしコストは抑えたいから年収提示は400-600万円で!」とニカッと笑う経営者です。現状のエンジニアの転職市場では事業を1人で動かせることができる人がいれば年収提示は1000万を優に超えます。まだまだ経営者の中にはIT領域が伸びている、という情報だけで「エンジニアを採用だ!」と安易な考えを持っている人が少なくありません。「新規事業」や「事業責任者として」という言葉は聞こえは良いですが、経営者がどの事業をどうグロースさせて行こうと考えているのか、会社としてその事業に投資できるだけの資金力があるのか、まで思考を巡らせましょう。もし事業が頓挫してしまった場合、開発するプロダクトが無くなる訳ですから真っ先にリストラの対象、あるいはエンジニア職ではない業務をさせられることは容易に想像できそうです。ただ、こんなビジネス展開をしている企業を選んだのはエンジニアのあなたであり、転職を決めたときにはキャリアダウンになっているということもあり得るのです。
②その人事担当者でいいのか?
エンジニア採用にかかせないのが良いエンジニア採用人事です。強いポケモンを捕まえたければ強いトレーナーにならなければいけないのと同じで良いエンジニアを採用したければ良いエンジニアを採用できる人事担当者が必要となります。しかし、良い人事というのはエンジニアと同じくまたも希少性が極めて高いものです。そもそも中途採用は「失われた20年」と呼ばれる長期にわたる経済停滞と終身雇用を帰属する中でプライオリティとして大きく低下した背景があります。ただでさえ中途採用自体できる人がいない中で新しいIT領域の専門性を持った人事担当者は更にいないという訳です。
採用がうまくいっている企業は良い人事担当者を抱えています。良い人事担当者を抱えていると良いエンジニアが取れ良いエンジニアが取れるとさらにまた良いエンジニアが入ってくれる、という好スパイラルとなるのです。
下記4つは良い採用担当者の条件です。
1 自社の技術力や開発力を正しく理解して、応募者の実力を正しく理解して、応募者の実力を正しく評価できること
2 エンジニアの特性や志向性と適性を理解し、求職者とコミュニケーションできること
3 人事制度や採用のルールを正しく理解していること
4 人事採用担当者として、公平でわかりやすい対人能力があること
ポイントとなるのは「エンジニアの技術力を正しく理解できること」です。これが欠落している人事担当者はエンジニアの求人票が理解できず、エンジニアの要望とは違う人を通過させたり、優秀な人を書類で落としてしまったりするのです。また、先程も記載の通り良いエンジニアが取れるとスパイラルのように採用はうまくいくため、もしあなたが優秀なエンジニアだったとしても、あなたと同等レベルのエンジニアが入ってくることは、その人事担当者がいる限り中々難しくなるでしょう。
③あなた(エンジニア)自身その転職先でいいのか?
転職が成功かどうかを握るのはなにも採用する側、企業側だけの責任ではありません。売り手市場であるこのご時世において、エンジニア自身も自身の将来について明確にイメージすること、実現させたいキャリアを想像する力が弱まっています。わたしは2年間転職のエージェントをやっていましたが「教育制度がもっと整っている会社がよい」といって登録があったにも関わらず最終的には「年収が高いところに入社します」という方を数多く見てきました。年収が高い企業に入社することは悪いことでは全くありませんが、そもそ転職するきっかけとなった課題を解決できていない会社に入社を決めても、また同じことの繰り返しとなることがほとんどです。エンジニアといってもジョブタイトルが様々と現れている現代において、自身の方向性や道筋を考える続けることで自ずと次に進むべき会社も見えてくるはずです。
まとめ
今回エンジニア、エンジニアという話をしてきましたが、ここでお話しした内容はエンジニア採用だけに限ったことではありません。エンジニアは本質を見抜く力を強い人材であるだけです。営業やCS、その他の職種と比べ数字ベースでファクトを見据える力が強いのです。そのため隠し事のない会社や独自の取り組みを行っている会社、社員想いの会社へのアンテナが人よりも強いだけの話です。
経営者のみなさんはまず自身の会社をよりよくすること。「当社ならエンジニアにこんなキャリアを用意してあげれそうだ」という観点を持つことです。そして2度目ですがこれはエンジニア採用に限ったことではありません。社内の営業、CS、バックオフィスの人の採用の際、自社の魅力を伝えて仲間になってほしいと言うように「自社に入るメリット」となる武器づくりを仕掛け続けている会社が結果としてエンジニアも取れている、こととなるのです。
また、転職をするエンジニア自体も条件や面接時のよく聞こえる文脈だけで安易に転職先を決定するのでなく、「この経営者の元で開発をしていけるのか」「具体的にどのような業務をまかせられるのか」「そもそも転職して実現したいことはなんだったのか」という内容を吟味し、立ち返ることでみんなが関係者全員が幸せになることができるのです。