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「他責グセがなくなる!」ザ・ファシリテーター要点まとめ

目次
ファシリテーションとは?
ファシリテーターになったときの考え方と使える質問方法
最後に

ファシリテーターとは?

 ファシリテーターと聞くと「司会」「進行役」といった解釈をされる方が多いのではないかと思います。私自身も本書を読むまではこういった理解をしていた1人でした。この解は一見間違いではないのですが、本書において正解とは程遠いものと言えるでしょう。
 まず、ファシリテーターの前にファシリテーションから考えていきましょう。ファシリテーションとは「人と人とのインタラクション(相互作用)を活発にし、創造的なアウトプットを引き出すもの」です。1+1が2以上になるようなポジティブな意見を交流させること、良質なコミュニケーションを生むことを助けるのがファシリテーターの役割と言えます。みんなが持っている知恵や疑問をうまく引き出し、優れた考えを導き出す「グループウェア」のようなものがファシリテーションなのです。
 また、ファシリテーションを学ぶことで自らも変わることができます。ファシリテーターはいつも公平な意見から場を客観的に判断するスキルが求められるため、「人の言うことに耳を傾ける姿勢」、「物事を事実ベースで分析的に捉える視点」、「多面的な観察力」、「バランスのとれた思考力」、「情緒的な安定」、「説得力」、「エネルギッシュな行動力」などが自然と身に付くのです。

ファシリテーターになったときの考え方と使える質問方法

 人と人とのインタラクションを活性化させるファシリテーターには、人間関係につきまとうさまざまなマイナスの感情や不必要な遠慮、配慮を排除し、積極的なプラスの感情をつくっていくことが大切となります。そのために必要なことが大きく2つあります。1つ目は、発言しやすい雰囲気、空間づくりも重要です。2つ目は質問のパターンを多くつくることです。
 1つ目に関して、例えば発言が出にくいときその原因をファシリテーターが察知し取り除く必要があります。大人数だから気兼しているようであれば臨機応変に小グループに分ける、偉い人や直属の上長には直接言えないのであれば匿名になるように工夫をしたりします。
 また、雰囲気の問題ではなくファシリテーターに対して参加者が固くなったり、心を開いてくれていないことで発言がないことも少なくありません。そういったときは、有効な質問の順番の理を使います。ファシリテーターの質問の順番は、イエス・ノーで答えられるような簡単な質問から入って雰囲気をほぐしてから革新に迫る質問に入っていくことがセオリーです。テレビのインタビューでもインタビュアーのほとんどがこのテクニックを使っていまので意識して聞いてみてください。
 2つ目にファシリテーターに必要なことは質問のポケット、引き出しをたくさん持つことです。参加者が具体的なイメージを描けるような問いかけができる力があれば最適です。一般的な引き出しの質問としては「全体を意識させる」「分散(多様性)を意識させる」「自分たちがコントロールできるものとそうでないものを意識させる」「時間軸を意識させる」「基準を意識させる」質問などの5つがあげられます。
 「全体を意識させる」ときには目標を頭に達成するためのツリーを作ってみます。そうすると自分たちが目標だと思っていることは何かの手段ではないか、というのに気付くことがあるのです。例えば月100件の営業売上を達成することが目標だったとします。それはツリーに従って遡ると会社の業績を黒字化させるためにおりてきた指標だ、というケースがあります。つまり契約成約100件は会社の業績を黒字化させるための手段だったことがわかります。こうして自身の範疇から超えた発想を促すことが可能となります。
 次に「分散」です。人間の認識は平均値や特別なケースをベースに作られている場合が多くあります。例えば「O型はA型より几帳面でない」は平均値をとるとそういったケースが多いかもしれませんが、O型でも几帳面な方はいますし、逆にA型でもめんどくさがりな方はいます。また特別なケースでいうと、たまたまその日は気分になれなくてお酒をひかえたら「あの人はお酒が苦手」といったその瞬間だけを取り沙汰されてしまうケースです。これでは本質的な話し合いにはならないため、ファシリテーターは「分散はどうなってますか?」「いつもそうですか?」といった質問を投げかけることで効果的な呼び水になることがあります。
 「自分たちがコントロールできるものとそうでないものを意識させる」ではコントローラブルなものに議論を向けさせていく質問です。人間はどうしても他が悪いからできないという議論になりがちです。まず、コントロールできるものとできないものを書き出し、コントローラブルの中から議題にあげていく、という手法を用いることでより前向きに、具体的なアクションに落としていくよう促す場合もあります。
 「時間軸を意識させる」では現時点でのスナップショットなのか、時間的な経過が含まれているのか、という見方を促す質問をすることが有効です。具体的には「昔からそうですか?」「今回だけではないですか?」「繰り返し起こることでですか?」「将来はどうなっていますか?」といった質問が使えます。時間軸を意識することで突発的で限定的な解決法を避け、将来的に事業が拡大したとき、チームの人数が増えたときにも適用できるのかを検討することができます。
 「基準を意識させる」は「比較」対象をつくり自分たちを客観的にみることを促します。「ベンチマークはあるのか?」「あるとすればそれは一定のものか」「なければ、つくるべきではないか?」といった問いかけが質問のポケットとなります。
 また、最後にファシリテーターには、事実ベースで議論する姿勢が必要です。発言に対しより具体化をしてもらうために「もっと他に同じようなことはありませんか?」「逆の場合は?」という具合で突っ込んでいきます。一方、ときには沈黙に耐えて、我慢強く、相手の発言を待つ、忍耐力も必要となります。

最後に

 ファシリテーションを身につけることで人と違うレベルで物事を考えられるようになります。なぜなら、ファシリテーターたちはチームや団体が達成しようとしている目的から絶対に目を離さないからです。話し合いが感情的になっていると思えば取り除くことを考え、既成概念にとらわれていると思えば視野を広げ、ショックを与え目を開かせることを職務とします。逆にいうとファシリテーターでない人は自身の意見だけにしか目を向けられていないパターンが多くあります。ぜひみなさんもスーパーファシリテーターになれるよう明日からファシリテーターの考え方、質問を実践してみてください。


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