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中川成美『戦争を読む 70冊の小説案内』(岩波新書 2017年)

中川成美『戦争を読む 70冊の小説案内』(岩波新書 2017年)をちょっとずつ読みました。京都新聞に連載されていた書評をベースに編まれた文学紹介の新書です。

一篇ずつがそれぞれ濃くて、いずれも読まなくては、読みたい、と思わせるものばかりですが、特に気になったものを自分用の備忘録として記録しておきます。

ジョン・オカダ『ノーノー・ボーイ』:太平洋戦争時、アメリカの日系人に対して行われた個人私財の没収、強制収容所収監に関わる話。最近、移民への差別や強制収容に関する展示などが目に入ってくる。和歌山県立近代美術館で見た展覧会も面白かった。

高橋たか子『誘惑者』 女子学生による女子学生の自殺ほう助という、あまり戦争と関係なさそうな筋書きなのだが、同志社の学生という設定だというので。気になる!

宮田文子『ゲシュタポ』 1920年代にパリへ渡り、ベルギー、ベルリンに滞在した作家による。そんな女性の作家がいたとは。

リリアン・ヘルマン『眠れない時代』 作者はユダヤ人で、戦時下のナチズムに抵抗する物語『ジュリア』(1973年に映画化)を書いた。『眠れない時代』は、赤狩りのアメリカが舞台。どちらも読みたい&観たい。

大田洋子『ほたる』 戦後数年の広島を舞台とする短編小説。大田洋子といえば、『夕凪の街と人と』が面白かった。

松本清張『遠い接近』 持病があるのに召集され、凄惨な体験をした男が、召集の裏側を知って復讐を企てるという話らしい。さっそく図書館で借りた。休みの間に読めるかな。松本清張といえば、『砂の器』を授業で紹介することがありますが、この話はどうかな。

児玉隆也『一銭五厘たちの横丁』 戦地の兵士たちに家族の写真を送る事業があった。そのネガが空襲で焼け残った蔵から発見される。写真を本人たちに返そうとするが、半分は戻せなかった。町自体が消失していからである。舞台は、関東大震災で未曽有の死者を出した旧陸軍被服廠跡の付近。昨年夏に息子と記念館を訪ねて、その歴史を知って衝撃で絶句した場所。そして、児玉隆也氏は、田中角栄政権を倒すきっかけを作り、38歳で亡くなった反骨のジャーナリスト。

パトリック・モディアノ『1941年。パリの尋ね人』 フランスのユダヤ人迫害の話。ドキュメンタリー小説。

フランスにおける対独協力、ユダヤ人迫害といえば…


そのほかの作品も、すべて読みたい…ですが、とりあえず、ここに挙げたものから読んでいこうと思います。


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