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アパレル業界のメールマーケティングトレンド2024②:メール施策編

こんにちは、Cheetah DigitalでCreative Consultantを務めている臼井です。

前回に引き続き、アパレル業界にターゲットを絞った、メールクリエイティブのトレンドをお伝えします。

今回のテーマは「業態ごとのメール施策の特徴」です。

アパレル業界と一口に言っても、その業態はさまざま。
業態によって、もちろんターゲットの属性や訴求のパターンも違った傾向が見られます。今回はアパレル業界の主な業態を3種に分類し、それぞれの企業の実際のメール事例を交えながら、施策の特徴を洗い出しました。


アパレル業界の主な業態ごとのメールコンテンツ傾向

まずは、業態の分類については以下の3つに大別しました。

業態の分類

  • 単独ブランド

    • 1つのブランドに特化。独自の世界観やコンセプトを強く打ち出す傾向があり、顧客層を絞り込みやすい。ハイブランドなど高価格帯のものも含まれる。

    • 例)ZARA、Nike、ユニクロなど

  • マルチブランド

    • 複数のブランドを展開。幅広い顧客層にアプローチ可能でブランド間でのシナジー効果を狙える。

    • 例)アダストリア、ベイクルーズグループ、オンワードホールディングスなど

  • モール型EC

    • 多数のブランドや販売者が出店。幅広い商品ラインナップで集客力が高い。頻繁にセールやキャンペーンを実施する場合が多い。

    • 例)ZOZOTOWN、BRANDELI、Farfetchなど

業態ごとの施策の傾向

これらの分類に従って、主な施策パターン8種をピックアップし、業態それぞれの傾向を簡易的に表にしたものが以下の図です。

◎:多く見られる、〇:一般的に見られる、△:たまに見られる、✕:あまり見られない
※筆者が受け取っているアパレル企業からのメールマガジン約50社の傾向を分類

全体として多いもの
メルマガの主な施策である「新着アイテム」や「セール・会員特典」などは業態に関わらず王道施策として用いられています。

業態による特色
「コレクション」に合わせた個性的なメールは単独ブランドが特に多く、モール型ECでは特性上ブランドやコレクションに特化したメールはあまり見られません。
反対にモール型ECでは多くの商品を抱えており、売れ筋や人気のアイテムへのピックアップが有効なため、「ランキング」の掲載メールがより多く見られます。

各業態ごとの施策の特徴

実際の事例とともに、施策ごとの特徴を見ていきましょう。

カラム数に業態傾向あり「ランキングメール」

売れ筋を紹介するランキングメールは、業態を問わず多くの企業が取り入れています。

Patagonia、ITOKIN Online Store、ELLE SHOPの事例

単独ブランドのPatagoniaでは、1カラムで1位を最後に掲載するなどリッチで最後まで読ませる仕掛けのメールも。
マルチブランド・ECモールではカラムを多くし多数のアイテムを掲載する傾向が見られます。

ブランドの世界観を伝える「コレクションメール」

「コレクションメール」は、シーズンごとやコラボなどに合わせて登場する新コレクションの案内メールのこと。アパレル業界ならではの施策の一つと言えます。

POLO RALPH LAUREN、BAYCREW'S STOREの事例

単独ブランドでは、メールを丸ごと(テンプレートごと)コレクション自体のトーンに合わせたデザインに変えて、強く印象を残すメールも。
全体に共通する傾向として、ビジュアルでブランドの個性を伝えることが重要なため、文字で説明するよりも画像に力を入れているところが多く見られます。大きな画像、作りこまれた画像を用いて、一目でコレクションの印象を残す工夫がなされているようです。

王道の顧客接点「新着アイテムメール」

新着アイテムをお知らせするメールは顧客接点として効果的なため、ほとんどのブランドが実施しています。

CHANEL、ユナイテッドアローズ、BRANDELIの事例

単独ブランドは大きな画像でアイテム単体をリッチに見せる傾向があります。
マルチブランドやECモールでは高頻度で新商品が出るため、商品数をより多く見せるレイアウトを各社工夫している傾向が見受けられます。

使用イメージを想起「コーディネートメール」

「コーディネートメール」は、アイテムの具体的なコーディネートを提案し、関連するアイテムを一挙に訴求するメールです。こちらもアパレル業界ならではの施策です。

ユニクロ、.st、ELLE SHOPの事例

使用イメージを明確にできるモデル着用画像を大きく取り入れたり、雑誌のような読み物コンテンツ的な見せ方をしたりするケースも。
レイアウトにもブランドの個性が光り、様々なバリエーションが見られる施策パターンです。

ブランドの強みを押す「セール・会員特典メール」

セールやキャンペーンの開始情報、クーポンの配布、会員特典の告知など、メルマガ施策として王道のメールです。

adidas、WEGO、Triumphの事例

セールのOFF率やクーポンのOFF額などを効果的に目立たせる工夫が見られます。
また、金額的なメリット以外にも、他社との差別化を狙える先着や限定のキャンペーン・特典情報を大きく取り扱うケースも。

ブランド理解を深める「周年・ブランドストーリーメール」

「周年・ブランドストーリーメール」は主にブランド創立や出店の周年記念にブランドへの理解促進のため送られます。

リーバイス、MA CARD FOR GO GREEN、ELLE SHOPの事例

ブランドの歴史を通じて、世界観や価値の理解とロイヤルティ向上を図る狙いと、コンテンツの工夫が見られます。
周年を記念したキャンペーンや、アイテムの紹介を行うところも。
内容の特性上、読み物コンテンツ的な見せ方になり、テキスト量は相対的にやや多めになる傾向があります。

決め手になる価値観「サステナブル・社会貢献メール」

環境保全への意識が高まる中、消費者がアパレルブランドを選ぶ際の決め手としてサステナビリティを重要視するケースも増えています。そういったターゲット層へ向けて、「サステナブル・社会貢献メール」では自社の取り組みを紹介する事例が見られます。

業界あるいは社会の中でブランドの立ち位置を明確にすることで、ブランドの強みを顧客にアピールできます。この施策は単独ブランドに特に多く見られます。

基本の接点だからこそ「企画・イベントメール」

「企画・イベントメール」は、SNSで、実店舗で、自社サイトで開催される様々な企画やイベントの主な導線として送られるメールです。
他チャネルと比べ、メールには保存しやすく、後から見返しやすい確実性があるため、「コミュニケーションのハブ」として送られるケースが多く見られます。

New Balance、SHEL’TTER WEBSTORE、マルイウェブチャネルの事例

(業態問わず)実店舗での企画やイベント施策の告知をメールで実施するケースは依然として多く見られます。
クイズ、投票、アンケートなど、メールから参加できるコンテンツも。


まとめ

第2回の今回は、具体的な事例を交えながら、アパレル業界における業態ごとのメール施策の特徴をご紹介しました。

業態ごとに特色がある特徴、共通する特徴など、実際の事例を見ることでイメージしやすかったのではないでしょうか。

次回は「アパレル業界の鉄板シナリオ」をご紹介します。
本日ご紹介した事例はいわゆるバルクメール(メルマガ)の施策が多くを占めていますが、MAを活用したシナリオメールのうち、「鉄板」と呼ばれる定番・効果の高い施策にはどんなものがあるのかをお伝えできればと思います。

弊社クリエイティブチームでは、日々ユーザーとして受け取っている様々な企業のメールを観察・分析しています。
内容についてもっと詳しく知りたい点や、ブログ化してほしい内容などがあれば、ぜひお問い合わせください。


Author

臼井雅遊(Mayu Usui)
Creative Consultant / CX Consulting Service
メールクリエイティブの制作ディレクションを主に担当しています。
デザインリニューアルや、施策に合わせたコンテンツのご提案、実績を分析しての施策改善など、ご要望に合わせてサポートいたします。


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