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ドバッとはダメ?!もう迷わないブッラータの食べごろ

テーブルの上には、12袋の「東京ブッラータ」。12月のある日、CHEESE STAND代表の藤川真至も加わったnote編集部がある実験のために、事務所に集まっていました。

ブッラータの食べごろはいつか?

この永遠の問い(?)に決着をつけようというのです。

現在、店舗では「出来たてよりも賞味期限が近くなった方がおいしいので、常温に戻してお召し上がりください」と案内していますが、今回の実験によってもう少し突っ込んで、CHEESE STANDとして一番おいしい「食べごろ」の最適解を導き出し、よりおいしい状態でブッラータをお客様にお召し上がっていただこうと思っております。

それでは、実験スタートです!

実験方法|12種類のブッラータを比較・賞味します

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実験環境
12月上旬 室内(室温16℃)

以下の賞味期限の違う3日分のブッラータを用意しました。
・賞味期限4日前(製造当日)
・賞味期限2日前(製造から3日目)
・賞味期限当日(製造から5日目)

さらに、この3日分のブッラータを
・冷蔵庫から出してすぐ
・常温に1時間
・常温に2時間
・電子レンジで加熱(ホエイ液に漬けたまま500wで1分)
にして、開いた時の状態食感・味で評価します。

※東京ブッラータのパッケージは電子レンジに未対応ですので、タッパーなどに移し替えて、全体が浸るようにしてレンジにかけています。

仮説|賞味期限ギリギリで常温2時間がベスト?

ブッラータは、モッツァレラタイプの生地で、クリームとストラッチャテッラ(割いた繊維状のモッツァレラ)を包んだ巾着上のフレッシュチーズです。イタリアで「バターのような」を意味しています。

中のクリームと時間が経つにつれて熟成が進んでいくとでクリームとストラッチャテッラが一体化して、まさに「バター」のようになったときが食べごろ。

そのため、CHEESE STANDでこれまで、おすすめしてきた「賞味期限当日(製造5日目)、常温に2時間おいてから食べる」になるのではないかと予想します。

検証①|色の変化を観察する

ブッラータ実験結果_総覧

写真ではすこしわかりづらいですが、賞味期限に近づくにつれて微妙に色が白くなっていきます。それにともない、ブッラータが漬け込まれていたホエイ液については、賞味期限が近づくにつれて黄色っぽくなっていました。草を食べて育る牛のミルクにあった色が抜けていったと考えられます。

ホエイ液については差がわかりやすかったですが、ブッラータについては本当にわずかな差でしたので、大きな変化はないととらえてもよさそうです。

ちなみに、右端の列のレンジで加熱は、常温に戻す時間がない場合の方法で実験に加えてみました。500Wで1分加熱するとちょうど、人肌よりもやや冷たいくらいになります。ただし、写真でもわかるように、レンジに入れるとブッラータが破れたり、チーズに含まれるミルクが溶け出したりしてしまいました。

12種類のブッラータの形を見比べるてみると、
それぞれ形が微妙にちがってかわいらしいですよね~。

検証②|ブッラータを開いてみしょう

ブッラータ実験結果_総覧2

まずは製造日ごとに見比べてみました。見た目で明らかにわかるのは、賞味期限4日前(製造当日)のブッラータは、中から出てきたクリームの量が多いのがわかります。そして賞味期限が近づくにつれて、クリームの量が減っています。

もちろん製造時に中に入れるクリームの量は同じです。時間が経つにつれて熟成が進んでクリームとストラッチャテッラが一体化してく様子が見てとれます。

賞味期限4日前と2日前で、
ミルクのあふれ方にこんなに差がでたのは一同驚き!

検証③|製造日ごとに見比べてみます

さらに、同じ製造日で常温においた時間の差で、クリームとストラッチャテーラにどのような変化がみられるのか、見比べてみましょう。

ブッラータ実験結果_製造日ごと

賞味期限4日前(製造当日)

常温に近づくにつれて、中のクリームの広がりが大きくなっています。クリームの温度が上がって乳脂の融点に近づいたことや、袋の役目をしているモッツアレラからミルクが溶け出たことで、クリームがサラッとした液体になっています。

ブッラータ実験結果_製造日ごと2

賞味期限2日前(製造から3日目)

賞味期限4日前と同じように、常温に近づくにつれて、ミルクの流れる範囲が広がっています。また、ストラッチャテッラが分解されて、紐がちぎれたようにいくつかの小さな塊になっているのもわかります。

ブッラータ実験結果_製造日ごと3

賞味期限当日(製造から5日目)

賞味期限当日になると、クリームの広がりに大きな差が見られなくなります。紐状がちぎれて小さな塊になっていたストラッチャテッラは、ほぐれて大きな一つの塊になったように見えます。

賞味期限に関係なく、常温に2時間とレンジで1分は
見た目に大きな違いが見られないのは大きな発見です!

検証④|いよいよ実食です!

12種類のブッラータを「香り」「食感」「」のポイントで評価していきます。

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【香り】

・賞味期限4日前のブッラータは、常温時間に関係なくミルクの香りが強く感じた。2日前と当日でミルクの香りに大きな差はなかった。
・常温に近づくにつれて香りが立ち上がり、口に入れた瞬間の香りも強く感じた。

【食感】

・賞味期限4日前のブッラータではストラッチャテッラの存在が強く、シャキシャキとしたモッツァレラらしい食感が残っている。クリームはサラサラとしている。ただし、それぞれ別々の食材といった印象が残る
・賞味期限2日前になると、ストラッチャテッラの食感がクリーム状になっているものの、モッツアレラらしい弾力ある食感がわずかに感じられる。クリームの液体感がまだ残されていて、ジューシーさが残る
・賞味期限当日は、ストラッチャテッラとクリームが完全に一体化して、クリームチーズのような濃厚な食感が生まれていた。一方で、ほぼ液体感はないので、ややもっさりとした印象がある。

【味】

・賞味期限4日前は、2日前、当日に比べ塩味が強い。「製造時にミルクに加えた塩味がまだ残っているため」と藤川。
・製造から時間が経つにつれて、ミルク感が薄れ熟成された濃い味になっていく。あわせて、心持ち酸味が加わってくる印象があった。
・常温に近づくにつれて味わいが複雑になっていく。コクや酸味、塩味が冷蔵直後よりも感じやすくなった。

考察|悩みに悩んだ最適解、その結果は……?

代表の藤川も加わって結果の考察を行います。

①賞味期限2日前を過ぎるとストラッチャテッラとクリームが熟成されて味が濃く、一体感もあって他の食材とも合わせやすい。
②常温に戻した方が、香りの立ち上がりがよく、味も感じやすく、食感もなめらかになる。
③常温2時間と500Wのレンジ1分では、大きく差がないが、わずかに酸味が強くなってたように感じた。また、外側のモッツアレラが破れやすくなるので見た目としてもったいない。

以上を加味して導き出したCHEESE STANDの「東京ブッラータ」の
食べごろの最適解を発表します!

最適解

仮説にしていた「賞味期限当日・常温2時間」ももちろんおいしかったのですが、それを覆すかのごとく「賞味期限2日前・常温2時間」もとてもおいしかったのです。

え、賞味期限3日前のブッラータおいしいじゃないですか!?

ブッラータを1つ1つ手作りしている藤川も「どちらもチーズ職人として食べてもらいたい味」というほどで。そう、どちらもCHEESE STANDとしてお届けしたい味――。そのため、どちらを最適解にするか、とーーっても迷いました。

本当にわずかな差ではありますが、ポイントになったのは、ストラッチャテッラとクリームの一体感です。「賞味期限当日・常温2時間」は「賞味期限2日前・常温2時間」に比べて濃厚でリッチな一方で、ストラッチャテッラとクリームの一体化が進んだことでやや口当たりが重い印象がありました。

もちろんこの方が、フルーツなどと味わっていただくときに、まとまりやすいという面もあるのですが、今回はあくまでブッラータだけを味わっていただくときの最適解と考えると「賞味期限2日前・常温2時間」の方が、ほどよくストラッチャテッラとクリームの一体になって、それぞれの質感が感じられて食感に楽しさがあります。

また、開いたときにクリームも広がって出てくるので、フォークで開く楽しみも「賞味期限2日前・常温2時間」の方がより得られるように思います。

ちなみに、注釈で「※ただし冬季に限る」としたのは、実験が室温16℃の室内で季節がかわれば、常温になるまでの時間が変わってくるからです(今回好評でしたら、春版の最適解もやります!)。

年末年始のおうち時間をブッラータで

季節などでコントロールが難しいのですが、ブッラータを作る藤川としては、開いたときに少しだけクリームがだらっと出るぐらいを目指して作っていました。今回の実験によって、その目指していた状態がやっぱりおいしかったことが実証されて、ほっとしていました。

もしかしたら「え、ブッラータって、開いた中からクリームがドバッと溢れてくるんじゃないの?」と、混乱された方もいらっしゃるかもしれません。ブッラータの中からクリームがたくさん溢れてくる画像や映像、私たちも見たことがあります。

じつは、こうしたイメージがついてしまったのは、CHEESE STANDのオープン当初、テレビ受けとしてクリームが流れ出るような演出で当初取材されたことが多く、そのように誤解されてしまったのだと思っております(申し訳ございません!)。

ドバッとよりトローりがいいんです!

じっさいこれまでも、CHEESE STAND SHIBUYAの店内でのお食事ニューでは、中が馴染んでいない製造当日のものは使わず常温に戻してからお出ししておりましたので、今回の実験結果が少しずつ広がっていってくれたらいいなぁと思っております。

もちろん、今回の最適解は、必ずしも「賞味期限2日前・常温2時間」で食べてくださいというものではありません。これを目安にしながら、もっと濃い味がよければ賞味期限間近に召し上がっていただいてもいいと思います。

それと、実験してみて感じたのは、封から出して中を開いたブッラータは、30分も経つとしだいに酸味が出てきてしまうということです。これは、本当にもったいない(泣)。できるだけおいしく召し上がっていただくためにも、できるだけ早く食べるようにしていただきたいです!

たいへんな1年になった2020年もあと2週間と少し。今年のクリスマスや年越しは、おうちですこし贅沢に過ごそうという方も多いのではないでしょうか。そんなときは、ぜひ「賞味期限2日前・常温2時間」の最適解のCHEESE STANDの「東京ブッラータ」をテーブルに加えていただけたら本当に、本当にうれしいです!

それではみなさま、ハッピークリスマス、良い年越を!!

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text by Ichiro Erokumae

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