歩みはゆっくり確実に、ありのままの自分でいい。ヨガが教えてくれた、心と身体の声に耳を傾ける暮らし 〜花山有紀子さん〜
こんにちは!事務局のかすみです。
今回は、北九州市でヨガインストラクターとして活動されている花山有紀子さんにインタビューさせていただきました。
有紀子さんは、自宅での少人数制レッスンや市民センターなどへの出張レッスン、ハーブティーのオーダーメイド制作、よもぎ蒸しの提供など、多岐にわたる活動をされています。
穏やかな笑顔が印象的な有紀子さんですが、インタビューでは、子育て中の体調不良やヨガとの出会いによって人生が大きく変わったことなどを、ありのままにお話ししてくださいました。
ヨガを通して、心と身体の健康をサポートしたいと語る有紀子さんのインタビュー、ぜひ最後までご覧ください。
お姫様に憧れていた少女時代。本当の自分を隠すようになり…
福岡県北九州市で生まれ育ちました。2人姉妹の長女で、下に妹が一人います。年齢が4つ離れていることもあり、今でこそ2人でお出かけする時間はありますが、昔は一緒に遊んだりする機会はあまりなかったですね。
小さい頃は活発な反面、どこかお姫様に憧れているような子どもでした(笑)小学校時代はとにかく元気いっぱいでしたが、中学校に入ると周りの目を気にして、本当の自分を出すのが難しくなっていきました。本当は運動が好きなのに、「体育めんどくさい」なんて言ってみたり。背伸びをして、大人ぶっている自分がいましたね。
その一方で、思ったことを率直に言いすぎてしまう性格が災いして、友達関係のトラブルも経験しました。誰かを傷つけてしまうことに気づき、次第に言葉数が減っていきましたね。高校卒業後は実家を出て、しばらくの間は自由を謳歌していたんですが、その後すぐに就職を決めて、社会人としての生活を始めました。
様々な仕事を経験して結婚、出産。そして訪れた体調不良
20歳で働き始めてからは、色々な仕事を経験しましたね。福岡市に引っ越してしばらくは一人暮らしをしていました。その後、主人との結婚を機に地元の北九州市に戻り、専業主婦に。二人の息子に恵まれ、(少しですが)義理のお父さんの会社の事務手伝いをしながら子育て中心の生活を送っていました。
下の子が生まれて1歳になるかならないかの頃、体調を崩してしまったんです。具体的な症状としては、胃の不調、貧血、低血糖など…。とにかく体がだるくて、夕方になると何もできなくなってしまって。食事も、ファミレスに行ってもお子様メニューのラーメン一杯食べきるのがやっとという状態で、みるみる痩せていきました。夕飯を作ったら、後はもう倒れ込むように横になる…そんな日々でしたね。
病院に行っても「ストレスを溜めないように」と言われるばかりで、具体的な原因は分からず…。今思えば、産後の体調不良と、当時の家庭環境の悪化が重なってしまったことが原因だったのかなと思います。
ヨガとの出会い。そしてインストラクターの道へ
原因不明の体調不良に悩んでいた時、たまたま目にしたヨガスタジオの広告に惹かれ、藁にもすがる思いでレッスンに参加したのが、ヨガとの出会いです。
整理収納アドバイザーなど様々な資格を取り、一番上まで突き詰めて勉強したけど「やっぱり好きじゃない」と感じてお仕事には出来ていなかった頃です。
もともと私は物事を突き詰めていく性格なので、「このポーズは本当に正しいのか?」など気になり始めて。それからというもの、ヨガの魅力にどんどん惹き込まれていきました。
ヨガを続ける中で、物事は解決せずとも、物事との間をとって俯瞰して見ることが出来るようになったのが大きいですね。そうすると家庭にも良い流れが生まれ始めた感覚がありました。
主人との関係回復にも繋がり、今では信頼で繋がる夫婦だと感じられています。体調もゆっくりと10年かけて良くなってきていますし。
最初はインストラクターになる気はなかったのですが、ヨガの勉強を深めていくうちに、自然とインストラクター養成講座を受講していました。ヨガの勉強=インストラクター養成講座だったので。
「お母さん、笑って」息子の言葉で気づかされたこと
養成講座では、体の使い方を人に言葉で説明することの難しさに直面しました。レッスン内容を作るのも想像以上に大変で、涙しながら何度も練習を重ねました。ある朝息子に「お母さん、笑って」と言われた事は今でも覚えています。
その言葉でやっと私は、今までどれだけ険しい顔をして受講していたかに気づけました。なんだかもう、「私は何をやっているんだろう」と号泣しましたし、これだけ家族に協力してもらっているから最後までやろうと頑張る覚悟も決まった瞬間でした。
半年間は壮絶でしたが、切磋琢磨しながらいい仲間にも恵まれた期間でもあります。
そして養成講座修了後、周りの後押しもあり、自宅でアットホームな雰囲気でゆるくヨガ教室を始めました。
余談ですが…養成講座で今の私の人生に欠かせない存在である麻央ちゃんとの出会いもありました。ヨガの講座は、基本講座とインストラクター講座の二段階に分かれていて、最初の3ヶ月間(基礎講座)は麻央ちゃんと一緒に学んだんです。
生徒さんの笑顔が見たい。私のヨガ教室
ヨガ教室では、「リラックス」という名前でやっているベーシックなヨガ、体の歪みを整える「骨盤調整ヨガ®」、あとボディメイクをする「美筋ヨガ©」というクラスを主に開講しています。
どれも目的は違いますが、共通しているのは「生徒さんが終わった後に笑顔になるように」と思ってやっていることですね。それに心と身体が整うってところが伴ってきたらいいな、と。
今までは健康が一番だと考えていたのですが、健康じゃなくても笑顔にはなれるんですよね。だからレッスンが終わった後に「気持ちよかった」「楽しかった」と思っていただける場づくりが出来たうえで、「生理が毎月来るようになりました」とか「最初は気持ちがモヤモヤしていたけど、それが晴れてスッキリしました」っていうのが付属してくればいいかな、って思っています。
インストラクターを辞めようと思ったほどの重度の体調不良
大好きなヨガインストラクターの仕事ですが、実は、辞めようと思ったほどの出来事がありました。
去年の3月頃、もともと弱かった胃が痙攣を起こし、「もうダメだ…」って思うくらい、ひどい体調不良に襲われたんです。
ちょっとしたことで、すぐに下痢と吐き気に襲われてしまって。下痢で済むならまだしも、私はちょっとお腹が緩くなるだけで、体が動かなくなるくらいしんどくなってしまって。
ヨガのインストラクターなのに、げっそりした顔でレッスンなんてできませんよね。イメージ的にもある程度は健康を売りにしている仕事なのに、これじゃあ…と本当に悩んでしまって。自分へのプレッシャーから「ヨガの仕事を辞めようかな」と追い詰められていました。
体質改善で体調が回復。再びヨガと向き合えるように
勇気を振り絞って、ヨガの養成講座で出会った麻央ちゃんの体質改善講座を受講してみることに。サプリメントを飲み始めたりして、本当に少しずつなんですけど、お腹が緩くなる期間が減り、吐き気がなくなっていき…という変化が出始めてきました。
人間は完璧ではないので、たまに冷えたりしたら下痢することもあるんですが、吐き気まではいかなくなったりして、今では仕事を楽しく迎えられています。
ヨガを通して、生徒さんの変化を間近で感じられる喜び
ヨガ講師としてのお仕事のやりがいは、やっぱり続けてくださる生徒さんの心や体の変化を間近で見られることですね。
特に心に残っているのは、5年間通い続けてくださっている、ある生徒さん。最初は身体が硬かった彼女ですが、ずっと一緒に週1~2回のレッスンをしていくうちに身体も心もどんどんしなやかさが増しています。彼女の5年間の地道な努力が今の彼女をどんどん若返らせていると思いますし、今後も伴走していきたいと思っています。
生徒さんから学ぶことも多い。持ちつ持たれつの関係
生徒さんにヨガを伝える上で難しいと感じることは、生徒さん一人ひとりのニーズに合わせてレッスン内容を組み立てていくことでしょうか。金額を重視される方、内容を重視される方など、本当に様々なので、それぞれの想いに寄り添いながら、満足度の高いレッスンを提供できるよう、日々試行錯誤しています。
正直なところ、最初は生徒さんのニーズに全て合わせていました。でも、今は私の芯を大切にできるようになり、目の前の生徒さんと楽しく誠実に向き合うことだけに集中できています。本当に私のヨガを求めている人に届けばいい、と考えるようになりました。
私はヨガの先生として伝える側ですけど、私の師は生徒さんなので、日々生徒さんから学ぶことばかりですね。どちらが上・下などはなく、お互い持ちつ持たれつ尊敬し合いながら今後もいい方向に進んでいけたらなと思っています。
ヨガは、自分と向き合い、人生を豊かにしてくれるツール
ヨガはこれまでもこれからも、私にとっては無くてはならないもの。自分がヨガを実践する面でも人に伝える面でも、お仕事をすることで私の世界が広がり、人生が豊かになっているのは明らかなので。
ヨガは身体を整えるツールですが、物事を俯瞰して見ることができるようになったりと哲学的な要素も魅力を感じています。自分も相手も幸せになっていくツールとして、これからも続けていきたいです。
地域に根ざした活動を続け、心と体の健康の輪を広げていきたい
私が目指すのは、ヨガを通して、身近なところから心と体の健康の輪を広げていくことです。オンラインなどで遠方の方と繋がることも素晴らしいですが、まずは自分の住む地域の人々を元気にしたいという気持ちが強いです。
私の師匠が言っていた「1つの町に1人のヨガ講師がいれば、みんな元気になる」という言葉が忘れられません。地域に根ざした活動を続けることで、そんな未来を実現できたらと思っています。
生徒さんに「ずっと続けてください」と言って頂き、私が「いつまでする?」と聞いたら、「おばあちゃんになるまで集まれたらすごいよね」と答えてくださいました。それもいいよなぁと思います。ヨガに限らず、人が集い、笑顔が生まれる場所を、この地域でずっと続けていけたら幸せです。
ヨガとかマインドフルネスって「今ここを大切に」と言われていますが、私は今ここしか大事にできないんです。それがヨガの実践かなと思って。今後ヨガの先生としてずっとあり続けるかどうかは分からないですが、皆と一緒にヨガをする時間は大切にしていきたいです。人によって幸せの定義は違いますが、自分の幸せ・相手の幸せを共有する時間がこのままずっと続いたらいいですよね。