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お洒落って
休日の午後、Instagramで見た
ギャザーたっぷりの白いブラウス。
とても新鮮だったから「お久しぶりです」と
少し緊張して懐かしいお店を訪ねた。
でもそう感じさせない空気。
ほんとは思わず店主さんの背後にある天井に届きそうなほどの本を見上げてしまったことが空白の時間が長かった証拠なんだけど。
ぐるっと店内を見ていると、サラサラロングヘアの
オシャレな女性がお店に現れた。
短い前髪も眼鏡もお似合い。
欲しかったものをスッと手に取る動きが
何ともスマートで、
好きなものに迷いがない、買い物上級者な感じ。
その常連さんらしい方に店主さんが声をかけられて
私もいっしょに美容院の話に。
その方は、なんと施術ごとにお店を決めているとか。
カットはここ、カラーはここ、
言ってみれば、病院に行くのに
専門医を選ぶようなもので
得意分野はみんな違うということ。
美のカリスマと言われている田中みなみなんて
頭のパートごとに切ってもらう美容院を変えているらしいよ、という話も。
なるほどね、とは思うものの、
人前で鏡の前にいることが何となく気恥ずかしい私には、ちょっとハードルが高い。
どこまで時間とお金をかけるのか悩むところだけれど、
キレイであるための努力ってそういうものなのか、と思った。
そんな私にもキレイになりたい欲がないわけではない。
ただ、小さい頃から母に髪を切ってもらいながら
「どうしてアンタだけこうなのかね」と言われていたこと。
大きくなって初めて美容院に行った時に
「髪が太くて多いですね。
それにこの黒髪じゃちょっと…」と
散々な追い打ちをかけられたこと。
それでなんとなくオシャレはやっぱり向こうの世界の人のもののような気がした。
そうして生まれたコンプレックスを抱えながらも、毎日鏡は見る訳で、自分を見つめなきゃいけない。
ちょっとバカにされた悔しさも手伝って
外見がアウトなら内面の美しさとか知性とか
努力で勝ち取れるものもあるんじゃないかと模索し始める。
キレイに手入れの行き届いた髪に
バッチリメイクされたオシャレな人を見ると
うわ、素敵!と見惚れたりする。
だけどその領域には飛び込めないできた。
何となくその感覚をうまく説明できずにいたら
店主さんが「僕も、車は好きだけど、純正が好きなんです。」と表現された。
そう、そうなの!
「俺ってかっこいいでしょ!」みたいなオプションでギラギラした感じじゃなくてそのもの。
昔、ダメ出しされたけど、
私の髪も、肌も、瞳の色も、
きっと私に一番似合う色のはず。
それを魅力的だと思わせたい、
いや、思いたい。
持って生まれたそのものを潔くかっこよさにしたい。
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そばかすもチャーミング
なんて言いながらも今の私の悩みは
ついに頭頂部に現れたおばけのQ太郎みたいな数本の白髪。
私より少しだけ歳の多い夫の頭はすっかり白くなり、シワシワの顔で笑うのを見ていると「かっこいいな」と毎日思う。
欲がないくせに、いや、
欲がないからそうなんだろうなと思うとちょっとズルいっていうか、太刀打ちできない。
そんな様子を見ながら、同じように自然なままで寄り添いたい気持ちと、ちょっと抗ってみたい気持ち。
なんていうか、
今までは『女性らしく』ありたかったのが
今はもっとストレートな『女っぽさ』を
この歳になったからこそ欲張りに諦めたくない。
昔から、星座も血液型もおみくじも
占いの類いは全く信じないし興味がなく
性格はどこから見ても男前なんだけれども。
そんな調子で何となくオリジナルでありたいと思っていることを察して下さったのか、旧知の仲である店主さんに
「妙さんは、妙さんっていうジャンルなんです。
昔から。」
と言われたことがちょっと嬉しかった午後。
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そんな時間の後に連絡をしたのは
ここ数年、ずっと髪を切ってもらっている床屋さん。
瞼が上がらなくなってきた悩みとか
歳を重ねる変化はたくさんあるけれど、
それを同い年の彼には正直に伝えながら
敢えて潔くオールバックにもできる短さをキープできるようにカットしてもらおうと思った。
結局、家に連れて帰ったのは
シンプルなカシミヤシルクのタートルネック。
悩んだけれど、デザインより素材で決めた1枚、
何年か前にいただいて肌触りが良かったブランドのものだった。
お洒落って
自分自身を愉しむことなんだなあと最近思っている。
誰かの言葉に傷つくこともあるけれど、
誰かの言葉に元気をもらうこともある。
人との関わりが生きていくことかな。
さて、私、これからどうなっていくでしょう。
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「写真は苦手」なんて言ってたのが
嘘みたい