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【読書】大西連『絶望しないための貧困学 』

はじめに

「NPO法人もやい」と聞けばあれかとピンとくる方も多いのではないでしょうか。

今回はその理事長が書かれた書籍。
元は『すぐそばにある「貧困」』、2015年刊行を2019年に新書かしたもの。そのためデータは2018年が最新となっている。
しかし中身の人間と貧困についての語りは色あせないし、語られているようにホームレスという形態がすでに変化し政府の定義をはみ出している。

理事長を務めるくらいだからすごい方なのだと思っていたのだけれど、流されていくうちにいつの間にかなっていたといっていた方が良いのかもしれない。

ホームレスに関する知識なんて何もないただの青年の成長録でもある。

本当はもっともっと分厚い本になるのだろうけど、312ページの上に物語としてはシンプルなのですぐに読み終わってしまうと思う。

読んで思ったこととしては生活保護バッシングが法律に影響を与えそれが数百万人に絶望を与えてしまったという結果だ。
それ自体もまたこの書籍中でそれ自身を悪と断じているわけではない。

改めて本書では2018年までだったデータが今はどうなっているのか。
その最新の情報を少しだけ見ていきたい。
本書内にはコラムとして9つのデータなどがあったので気になる方はぜひご一読されたい。


2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況

II 各種世帯の所得等の状況を見ると、全体としての平均は下がり、子供を持てるのは余裕のある世帯であり、それすらも苦しいと読める。
さらに高齢者世帯の収入も下落傾向にある。

年収200万円以下の合計が21.5%
300万円以下の合計が36.0%
所得の中央値は405万円、平均が524万円である。

令和5年分 民間給与実態統計調査

年収200万円以下の女性7,575千人、男性2,787千人、合計10,362千人
すなわち1000万人強が引き続き年収200万円以下ということになる。

書籍のデータでは2018年時点では1100万人とのことであったので数年経っても変わらない現実が続いているとも言える。


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