コツを極める 自分で試行錯誤するしかないみたいだね
どの仕事にもコツってあるよね。
それはマニュアルにはなかなか落とし込めないもので、身に付けるにもインスタントにはできないものだよ。
論語には、古の賢人の道を学ばなければ、奥義には達しないと書いてあるんだけれども、ただ教科書を学ぶように身に付けることができるというわけなさそうだね。
よく生花とか、和歌などでは、あるレベルに達したら、師匠に伝えてもらうものだけれども、現実世界ではなかなかそうでもなさそうだよ。
これは町田ゼルビアの黒田監督の本に書いてあった話なんだけれども、サッカーで名監督と言われる人たちに話を聞いて回ったそうだよ。
青森山田高校のサッカー部の監督時代の話だけれども、全国大会の常連になって、強豪チームと言われるようにはなった頃の事なんだけどね。
だけどもなかなか優勝までできなくて、壁にぶつかってしまったように感じたそうだよ。
それで全国の名監督と言われる人たちを訪ね歩いて、そのコツの部分を頭を下げて教えてもらったそうだよ。
ところが驚いたことに、誰一人同じことを言わなかったそうだよ。
それぞれの名監督が、バラバラに自分の勝利の秘訣を語っていて、それは見事に全部違っていたのに、黒田監督はものすごく驚いたと書いてあるよ。
成功の方程式は、その道の人に聞けばすぐに手に届くものではないということだよね。これはコツという物の本当の姿かもしれないよ。
伝統芸能なら、免許皆伝のために昔から伝わっていることを伝えればいいのかもしれないけれども、現代社会のように環境や時代がどんどんと変わってくる中では、実は唯一無二のコツのようなものは、もはや存在しないのかもしれないね。
ラーメン屋でも、成功していたとしても、その奥義の部分は、どのお店も全部違うのかもしれないね。
これが最近教育がうまくいってない理由かもしれないよ。
たとえ良い大学を出ていても、全然仕事ができない人もいるし、Fランクの大学を出ていても、頭角を現す人はちゃんと現すからね。
そういえば日本一コカコーラを売った男と言う本の著者で山田さんと言う人がいるんだけれども、この人もFランクの大学を出ているんだけれども、日本コカ・コーラでしっかり成功しているんだよ。
この人はもともとボトラーという自動販売機にペットボトルや飲料を詰める会社でトラックの運転手をしていたんだけれども、そこから原液を希釈して飲める状態にして提供するフードサービス部門への異動たんだね。
そこでどうやったらお店の売り上げが上がって、コカコーラをたくさん売ることができるか、試行錯誤したそうだよ。
ある雑誌に載っていた山田さんのインタビュー記事の中にはこう書いてあったよ。
「課題を抽出し、その解決に向けた目標を立て、具体的な戦術に基づいて改善していく ことを、そこで徹底的に教え 込まれました。顧客の真の困 り事を引き出すためには、まず顧客の悩みや不安に心を寄せて、胸襟を開いてもらえる下地をつくることの重要性などを学んだのです」
結局自分で試行錯誤しない限り何も生み出せないし、現在では奥義への道というのは自分で作り出すものかもしれないね。
富士山に登る登山道は複数あるけれども、それは自分開拓しないとどうしようもないということだろうね。
仏教でも指月のたとえというのがあるしね。
これは月を示す事はお釈迦様にはできるけれども、実際にそれを見る事は、弟子が一人一人工夫しながら実践しないといけないということだよ。
これが悟りの道なんだろうね。
そういえば着物の染み抜きをするクリーニングの仕事で大成功して大金持ちになった人というのがいるんだけれども、この人は元自衛官なんだよ。
自衛官を辞めてから、クリーニング屋になったんだけれども、着物にシミができて、そのシミがなかなか取れないと言うので、必死に試行錯誤しているうちに、だんだん評判が高まってきて、全国から依頼を受けるようになったんだね。
この人なんかもほんとに研究心の塊みたいな人だよ。
もちろん薬剤とか繊維の知識は身に付けなきゃいけないけれども、成功要因というのは試行錯誤するしかないからね。
やっぱりコツコツ努力して試行錯誤しているうちに、自分の心の中にひらめくというのが、現代の奥義なのかもしれないね。