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老いるということ 知恵が増していくことを喜ぶべきだよ
肉体というのは、だんだん衰えていくけど、精神力というのは老いても向上するよ。
知恵もつくし、少々のことでは動じなくなってくるからね。
それに社会の仕組みがよくわかってくるんだよ。だから無駄が見えてきて省けるようにもなるしね。
50代過ぎてから、無駄とは何かを考えてみると、おいしい食べ物を探したりするのだってやっぱり無駄の一つだよね。
それから人の悪口ととか恨みを延々と持っていたり、ぶちまけたりするのも本当に無駄だね。
そして無駄ではない、有効なものというのは、今の社会に足りないものを自分の努力で補いたいと思うことだよ。
今の日本に足りないものは何かと考えたら、やっぱり人格的に優れた人だろうね。
人格者が足りないから、世の中が悪いほうに流れていくんだよ。
その意味では、人格の完成を目指すという考え方を、もっと強くしたいね。
別の言葉で言えば、徳望のある人だよね。
徳望ある人というのは、多くの人々への愛の心に生きている人のことだよ。
よく惻隠の情と言われるものだね。
実はアメリカの起業家でも、成功率が高いのは50代以上なんだよ。
アメリカのベンチャーキャピタリストでも、50代以上の起業家に限って投資をする人もいて、成功率が高いそうだよ。
何故かと言えば、人生の落とし穴がよくわかるようになるからだろうね。
人を見る目も養われてくるしね。
社会が求めているものとか、ニーズが的確にわかるようにもなるよね。
何よりも歳をとってチャレンジしようとする人には、謙虚さがあるよ。若者と違って自己過信が少ないんだよ。
例えば明治維新でも、長州では若者が中心で尊王攘夷が盛んだったし、それが行き過ぎてテロの繰り返しをやったり、無謀なことばかりやってたからね。
その反対が幕末に50代だった横井小楠だよ。
いち早く開国を唱えたし、アメリカのハリスが下田にやってきたときには、アメリカの善良なところを見抜いて、アメリカをお手本にすべきだと言ったんだよ。
そして、世界の紛争解決には、東洋思想が不可欠だということも見抜いたんだよ。
ところが過激な尊王攘夷のテロリストに暗殺されてしまったんだ。とても残念だね。
老いるということは、人間としての知恵が増えると言うことだよ。
そして着実に、一歩ずつ前進することで、向上心とか持続力が高まっていくよ。
老いるということを悲観的に考える必要は全然ないよ。
むしろ知恵が増して、社会貢献が本格的にできるようになることを喜ぶべきだね。