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戦車に乗ったら目の色変えよ

戦車乗りになる卵の隊員は、機甲科の新隊員として覚えることがある。
これを言えない者は戦車乗りと名乗っても偽物である。

戦車安全五訓と呼ばれるものである。
一、戦車に乗ったら「目の色」変えよ
二、障害には正対、アクセル放せ
三、車内通話で全員に警告
四、危ないと思ったら、戦闘室にもぐれ
五、不安な時は、止まって確かめよ

これを朝礼の時に毎朝唱えて暗唱するのである。
戦車に乗ったら目の色変えよって「何色に変えるの?」なんてバカなことを言うのは定番なのでやめるように。

この安全五訓で実際にどれも大事で当たり前のようにやることもあれば、とっさにこの五訓を思い出して行動することもある。

「障害には正対、アクセル放せ」は操縦手なら当たり前の行為だし、特筆するべくもないが・・・たまに木に登る戦車もあるので心に刻む必要はあるかもね。

「車内通話で全員に警告」も砲手が車内で眠っていることもあるから・・・眠って居たらヘッドセットの声も聞こえないけど・・・。

「危ないと思ったら、戦闘室にもぐれ」この状況って咄嗟の時が多く、間に合わなかった車長が砲塔と地面に挟まれて殉職した事故とかあって・・・・。
その事故を聴いた時真っ先に「危ないと思ったら、戦闘室にもぐれ」の言葉が浮かんだ。
戦車がひっくり返り戦闘室内から乗員は出られず・・・・亡くなった車長の遺体を見たまま回収されるまで居たという話は心がぎゅーっと痛くなった。
車長は私達戦車乗りの後輩だった。

「不安な時は、止まって確かめよ」は意外と出来ないと言うか・・・操縦手で操縦中によく感じたが勝手に止まって確認出来ず、車長も戦車の行進中勝手に停止しないし・・・。

新隊員や新米は不安だらけで、不安な時は助教や車長の顔を見るものである。

そんな戦車の話第一回目でした。

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