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子どもへの遺族基礎年金は年金法改正で良くなる??

 現役世代の保険の役割を果たす遺族年金についてのお話です。

遺族厚生年金受給するには、死亡者が会社員在職中に初診日のある病気にかかり、初診日から5年以内に亡くなった時(死亡時退職していても)、という要件があります。

遺族厚生年金を返還したご遺族のお話です。 夫が退職(12月中旬)の5年以内(翌年2月上旬)に死亡、がんの初診日は会社員在職中・・・ということで いったんは、遺族厚生年金が妻に支給されたそうです。

  が、この会社員の方、30歳くらいまで保険料を滞納していたので、2/3以上の保険料納付要件を満たさない ことが後で年金事務所でわかり(遺族が請求したときにわからなかったのは、年金事務所のミスです。) 遺族年金返還ということになったそうです。

  もし、この会社員の退職が12月中旬ではなく12月末日だったら?

  厚生年金期間は入社日の当月から資格喪失日(退職日の翌日)の前月までを カウントするのです。12月中旬退職は前月の11月までの期間までしかカウントされないけど、 12月末日退職なら、12月までが厚生年金期間としてカウントされます。 (当然、 保険料も12月分を払います。退職月に2か月分ひかれることとなるでしょう。)

  給与の締日や厚生年金保険料納付の関係で12月中旬退職だったのかもしれません。 が、厚生年金期間を少しでも長くしておきたい場合は月末日退職にした方がいいでしょう。

 おそらく、退職直後、3カ月ほど国民年金保険料を支払う手続きをして
いなかったのでしょう。(要するに死亡直前に年金保険料を滞納していた)

  ちなみに、妻が40歳以上だった場合に支給される、中高齢寡婦加算は、夫が死亡時在職中であるか、死亡時夫が厚生年金に20年以上加入していたことが要件です。40代で夫が脱サラを考えているのなら、夫の万一を考えて、20年会社勤めをしてからの 脱サラの方が、安心??です。

  遺族厚生年金を受けられる遺族は、1位に配偶者と子供、2位に父母、3位に孫、4位に祖父母となります。先順位者に受けられる権利が発生すると、後の順位の方は、遺族厚生年金を受けることはできません。

もう1つ両親が離婚して別居していても親子は親子。母方に引き取られていたけれど、別居していた父親が死亡。こんな場合の、遺族年金について実例を挙げて確認してみたいと思います。

  厚生年金と国民年金を合わせて25年以上かけてきた50代男性が亡くなった場合・・・この方、妻とは離婚しお子さんたちとは別居していました。離婚時養育費の約束はしていたけれど、死亡時点で養育費は支払われていなかったのです。(ここが重要ポイント)

  父子間でどの程度音信があったのかは、定かでないのですが(ここも重要ポイントです。)、夫婦は離婚すれば他人でも親子は親子。遺族年金は元妻が手伝い、子供たちがそれぞれ請求することになりました。子どもたちは高校卒業前(18歳に達してから最初の3月31日まで)と思われます。

  もし、離婚していなくて妻が請求した場合、遺族基礎年金に遺族厚生年金が上乗せされて支給されたと思われますが。。。、

  この未成年の子供たちに対し、社会 保険庁から「遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取ることの遺族と認められないため遺族給付は支給しない」旨の処分が下されました。この子供たちは年齢要件(18歳に達してから最初の3月31日まで)は満たしており、収入(年収850万未満)や所得(655万5千円未満)も基準を満たしていたのですが、生計維持関係が認められないとのことで、年金事務所で支給が却下されてしまいました。

  生計維持の条件。それは、(1)同居していること(留学、子どもが寮暮らしなどは除く)別居の場合、(2)養育費などの援助を受けていること (3)定期的に会ったりしていること。この、どれかの条件を満たさなければならないとされています。

  (1)離婚して別居である。(2)養育費を受けてない (3)定期的に会っている具体的証拠がない。この3点で、遺族年金は却下されてしまいました。

  請求した代理人(多分母親?)は、離婚したとき養育費は約束したのだから、支払われてないから生計維持関係にないというのはおかしい!と、いうことなのでしょう。社会保険審査官に審査請求(異議申し立てのこと)、社会保険審査会へ再審査請求(またまた異議申し立て)しましたが、やっぱり遺族年金は却下。

  離婚後、約束した養育費を払わない、元妻や子と会おうともしない。不誠実な父親だと子どもたちが割を食うような判断ですね~。私も個人的にはおかしいと思います。こういう事態をなるべく防止するには、離婚するなら養育費と子供たちの定期的な交流を約束させて、払わないような不誠実な父親ほど会って請求する、そして、会ったり連絡を取ったりしたら、証拠を残す・・・ということでしょうか。

  ただ、DV父親だったりしたら、こういうことも不可能でしょうし・・・。考えされられた、社会 保険審査会の裁決でした。 

私が今一番気になっっているのが年金法改正の行方です。
7月30日に社会保障審議会(年金部会)から詳しい資料が出ました。

厚生労働省 社会保障審議会(年金部会)遺族年金の見直しより7月28日付↑

社会保障審議会(年金部会)で資料がまとまったらしく、
昨日30日に詳しいものがでてました。その抜粋です。

率直に現在の40代50代は遺族厚生年金縮小の難から
逃れられる??らしく個人的には正直ほっとしました・・。
40代前半は引っかかっちゃったりするかも・・(*'ω'*)

時間をかけて「中高齢寡婦加算」の他「寡婦年金」が
減らされる案がでています。寡婦年金は国民年金の独自給付。
ただでさえ保障が薄い国民年金の給付金を減らすのも。。
どうかと思います。

朗報なのは、子供に対する遺族基礎年金は少し
改善が見込まれそうです。

今の制度では子に対する遺族基礎年金は、父母が離婚
していて片方と別居している子供にとても不利なのです。

別居の父または母とは生計維持要件等に該当せず、
子ども自身受給権を有せない可能性もあり、
別居の父または母が死亡した時、生存している
父又は母と子が生計を同じくするときは
遺族基礎年金を支給停止されます。

ん?という感じですが、例えば、離婚した子持ち元夫婦で
元夫が死亡した場合、妻(子の母)と同居する
子ども(高校生または障害1,2級で20歳未満)

は、遺族基礎年金はもらえず、遺族厚生年金だけ
支給されています。遺族基礎年金の方が金額が
多いのだから、支給停止は子に不利です。両親の
離婚は子どものせいじゃないのにね。

どうも個人的に合点のいかない部分でしたが、
このように両親が離婚して、でも子供と別居している
親が死亡して、片方の親と同居している子供にも
遺族基礎年金を支払う方向のようです。

これははっきりきまって早く実現してほしいですね
養育費払っている親が死亡した場合のみ、子供に遺族年金
なんていうのもやめて欲しいものです。

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