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守護聖オリヴィエの夢の力 ~アンジェリーク➃~ ✎

日曜日の昼下がり。

王立研究所には私、オリヴィエと、ルヴァ、ゼフェルの三人の守護聖が集まっていた。

「夢がもたらす美しき力♡エリューシオンとフェリシア、この二つの大陸へと再び贈る。夢見る美しさよ!今その心に宿れ!」

二つの大地に向かって私が手をかざすと、ピンク色の閃光が地を這い、やがてキラキラと輝き出した。

「うーん…我ながら上出来♪」

極彩色に染めた髪をかき上げると、のんびりとした声が聞こえてくる。

「あ~オリヴィエ、有難うございます。貴方の夢のサクリアのおかげで、エリューシオンとフェリシアの関係は安定しているようです。うんうん」

その言葉に被せるように、生意気な声も聞こえてきた。

「けっ!んなもん無くても、女王陛下の加護を受けた大陸なら、なんか上手くやったんじゃねーの」

「ルヴァ、ゼフェル、なんやかんや言って二人ともあの子達が育てた大陸の事、ずいぶん気にしてるんじゃないのさ。あっ…あの子達って言ったのは失言。女王陛下と補佐官殿ね」

「あ~いえ~私は~この案件は最後まで見届けようと~」

ルヴァは妙に赤い顔をして慌ててるし

「はん!あの場に立ち会った以上、結末が気になるじゃんかよ!それに…アイツらのあんな顔…見てられねぇしよ…」

ゼフェルは相変わらず素直にはなれない様子だ。

「んふふ♡二人ともあの子達にずいぶん肩入れするんだね」

「あ~それは~」

「女王陛下の御心のままに…サクリアとはそういったものだ」

「げ!ジュリアス!」

気がつけば守護聖一気難しいジュリアスが私の後ろに立っていた。

「よぉ!極楽鳥!今日も派手派手しいな。俺はこの剣を女王陛下に捧げた身だ。この命にかえても女王陛下をお守りする所存だぜ」

オスカーは相変わらずキザっぽい台詞を口にして悦に入っている。

「で?二人の大陸の様子はどうだ?」

ジュリアスの問いにルヴァが二つの大陸を見下ろしながら説明を始めた。

「あ~オリヴィエの加護を受けた後、二人の大陸ではお互いに使者を出し、改めて友好条約を交わした様です。今では二つの大陸を留学生が行き来して、お互いの良い所を取り入れているようですよ〜。うんうん」

「上手く行っているようで何よりだ。が、しかしルヴァ、この勝手な行動により暴動が勃発したらどうするつもりだったのだ?」

ジュリアスはルヴァをひと睨みし

「あ~それは~」

ルヴァは少し躊躇した仕草を見せた。

「ちょっと!ちょっと!ルヴァを責めるのはお門違いじゃない?緊急事態だったし女王陛下の許可はあったし…」

「あ~オリヴィエ、良いんですよ。確かにジュリアス、貴方に相談も無く事を進めたのは軽率だったかもしれません」

ルヴァは頭を掻きながら恐縮する様に頭を下げた。

「しかし…」

ルヴァは真っ直ぐにジュリアスへと向かい合い、ハッキリと告げた。

「女王陛下と補佐官殿が大切に育てた二つの大陸を救う為には、これが最善の策だったと私は信じています。それに…罰せられる事も承知で、私はあの場で陛下に提案をしました」

ルヴァの発言に対してジュリアスの顔が一瞬引き攣ったのを、私は見逃さなかった。

そのくらい、今回のようにルヴァが強気に出た事は『異例』だったのだ。

「まぁまぁ、万事上手く行ってるんだ・か・ら・いーんじゃない」

私はわざとジュリアスに絡むように近づくと、ジュリアスは嫌悪感丸出しで顔を背けた。

「そ・れ・に・陛下の許可があったとは言え、王立研究所で勝手にサクリアを発動させた私も同罪だよ?どうする?守護聖二人、一気に謹慎処分にする?」

「くっ…」

言葉に詰まるジュリアスを見たのは初めてだった。

「…処分を下すつもりはない。だが、今後勝手な行動は慎むように」

ジュリアスは何事もなかったかのように、冷静な顔をして王立研究所を後にした。

「驚いたな…まさかルヴァがジュリアス様に強気に出るとは…これも親愛なる女王陛下の為って事か」

チクリとオスカーが嫌味ともとれる発言をすると、お約束の様にゼフェルが噛み付いた。

「おぃ!てめぇ!ルヴァのこと馬鹿にしてんのか?」

「おいおい…俺は事実を言ったまでだぜ。女王試験中はずいぶんと親密にしていたからな」

弱みを掴んだかの様に自慢気に笑うオスカーに、私はこう言ってやった。

「ふ〜ん…オスカー、あんたヤキモチ妬いてるんだ」

「なっ!」

オスカーには珍しく、ポーカーフェイスが崩れたのが面白くて、私は言葉を続ける。

「かわいい女王候補生が二人もいたのに〜うふふ♡全然なびかないからさ〜」

「まぁまぁ…あ~オリヴィエ…良いんですよ」

ルヴァは何時もの穏やかな表情で、私とオスカーをなだめる。

「あ~女王候補生だった頃の彼女達と親密にしていたのは確かです。ただそれは親愛だけではなく『信頼』だったと…私は思っていますよ」

「ふっ…上手いこと言って逃げたな」

オスカーは悪びれもなく、手をヒラヒラとさせながら私達に背を向けた。

「まぁ…その二つの大陸が今後どうなって行くか、お手並み拝見と行こうじゃないか」

「えぇ、オスカー…貴方の力が必要な時は、迷わず貴方を頼りますよ」

オスカーが完全に退出したのを確認してから私はルヴァへと飛びついた。

「ルヴァ!アンタやるじゃない!あのジュリアスを黙らせて、オスカーに嫌味言うなんてさ♪」

「あ~そんなつもりは~」

「まぁ…よ…格好良かったんじゃね?ルヴァのおっさんにしては珍しく強気に出てよ」

「ね〜♪」

ルヴァはしきりに照れた様子で、ターバン越しに頭を掻いている。

「あ~私は…彼女達が大切に育てた大陸を私も大切にしたいと…そう思っているだけですよ」

「けっ…仕方ねぇ…俺も気にかけてやるよ」

ふっ…と笑みが洩れた。

(ルヴァってさ…こう…抜きん出て目立つこと無いくせに、気がついたら皆を引っ張ってるんだよね)

「よーし!このオリヴィエ様もひと肌でもふた肌でも脱ごうじゃない!」

(ルヴァ…アンタが大事に思っている女王陛下の為にね)

「あ~オリヴィエ…それ以上薄着になったら目のやり場が~」

「あらやだ…そう言う『脱ぐ』じゃないわよ」

私は苦笑しつつも、心に深く誓うのだった。






❥・・  ・・❥

オリヴィエさまのお話のはずが、ルヴァさまが目立っちゃったかも(汗)

まぁいっかぁ(๑❛ڡ❛๑)☆ルヴァさま推しだし

そして予定外にジュリアスさま登場でした

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