双月㈡【藤林朔夜】-天下統一 恋の乱- ✎ 2 ちーかま 2024年6月13日 00:11 双子の兄である弦夜に呼び出された俺は、山道を急いだ。「普段着で来いよ」定期連絡だと言いながらも「普段着で来い」の意味がまったくわからなかったが、俺は指示にしたがった。やがて弦夜が指定した庵に着いた。庭の方に回ると、縁側で杯を持って佇む弦夜がいた。弦夜は何時もの着崩した着流しではなく、仕立ての良い着物に身をつけていた。「おー朔夜。早くこっち来いよ。美味い酒を飲ませてやるからよ!」苛立ちを感じながら弦夜の元へと急ぐ。「どういう事だ?定期連絡ではないのか?」「ん?まぁ座れよ」そう言いながら弦夜は杯を俺に手渡した。「政宗から美味い酒をもらってよ。朔夜にも飲ませてやろうと思ってな」「政宗様と呼べ」「小十郎さんと一緒な事言ってら」弦夜は反省する様子もなく、俺の手の中の杯に酒を注ぐ。「朔…知ってっか?今日は俺達の『誕生日』なんだってよ」「なんだそれは?」「んー…要約すると美味い酒が飲める日ってことだな」「忍は酒など飲まない」「まぁまぁ…見てみろ」弦夜は俺の持つ杯に自分の杯を軽く当てた。「空にしかないはずの月が、今夜は特別に地上に降りてきている」杯に視線を落とすと、それぞれの杯の中に月が映ったいた。「な?今夜は特別だろ?月見酒と洒落こもうぜ」「………」俺は黙って酒を煽った。喉に熱さを感じる中、口の中には何とも言えない余韻が漂っている。空になった杯を弦夜へと差し出した。「今夜は特別だ。月が綺麗だからな」再度杯に酒を満たすと、中に月が浮かぶ。俺は弦夜の杯に自分の杯をそっと重ねた。「双子月だな」弦夜がふっと笑みを漏らす。「俺達と同じだ」「弦と一緒にするな」「一緒だろ?朔は俺の半身、俺は朔の半身なんだからよ」「………」「今晩は任務の事は忘れて、朝まで飲み明かそうぜ」「今日だけだ…」俺達は空が白むまで、二人きりで酒を飲み交わした。ꔛ𖤐弦夜&朔夜( ᐛ )( ᐖ )🍰*˖…ꕤ𝙷𝚊𝚙𝚙𝚢 𝙱𝚒𝚛𝚝𝚑𝚍𝚊𝚢ꕤ…˖*🎂たまにはしがらみを捨てて、二人でお酒を酌み交わすのも良いかなぁと思いました(*´艸`) いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #誕生日 #二次小説 #天下統一恋の乱 #恋乱 #恋の乱 #藤林朔夜 2