守りたい人 【織田信長】-天下統一 恋の乱- ✎ 4 ちーかま 2024年1月4日 22:46 あやつに昔の話をしたせいで、ガラにもなく感傷的になっていたのだろうか。あの頃の夢を見た。織田の再興を図るため非道を繰り返し、弟である信行を自ら手にかけ、魔王と呼ばれていたあの頃の夢を。気がつけば目の前に見知らぬ女がいた。女はポカンとした顔で俺の顔を眺めている。「貴様…何者だ?」女中に紛れた刺客かもしれない。「名を聞いている。名乗れ」だが女は口をパクパクとさせるだけで、何も言わない。「やはり不審者か?」腰の刀に手を伸ばし、鯉口を切る。その音が響くと同時に、女は慌てて「違います!」と叫んだ。「ふん…喋れるではないか」何故が笑みが零れた。女の慌てる姿が、俺に慄く小動物の様に見えたからだ。しかし女は何かに気づいたかのように、声を震わせて呟いた。「信長様?」「貴様、何故俺の名を…」よく考えればわかることだ。この女が俺に差し向けられた刺客であれば、殺す相手の名前くらい知っているだろう。だが俺は不思議とこの女を知っていると感じた。見たこともないこの女を。「信長様!」女は俺へ手を伸ばしながら叫んだ。「私はずっと貴方を…私が貴方をお守りします!」やがて女の顔が歪み、やがて視覚が遮られていく。身体が重くなると同時に、頭は澄み渡るように冴えていく。光が俺の全身を包み込んでいく。あたたかな光が俺を…。覚醒すると隣で眠る愛おしい女が、うわ言の様に俺の名を呼んていた。「私が貴方をお守りします!」そう言いながら手を伸ばしている。どうやら夢を見ているらしい。しかも俺と同じ夢の様だ。「夢の中の女は…貴様であったか」額にかかる髪を指でそっと梳いてやる。こめかみがピクリと動いたが、覚醒する様子はない。「おい!起きろ」軽く体を揺すると、小さく呻き声を上げた。やがて瞼をゆっくりと開けて、寝ぼけ眼で俺をじっと見つめる。「俺を守る…そう啖呵を切っておいて、まだ惰眠を貪るか?」数回瞬きをして、俺の顔を不思議そうに眺める女を組み敷いた。「眠りながらも俺の名を叫び、俺を守ると言ったな」「えっ?あっ…はい」女はまだ寝ぼけているのか、何度も瞬きを繰り返している。「ならば約束は守ってもらう」女の身を起こし、背中から抱きしめた。俺は女の柔らかな体の熱を感じながら、首筋に顔を埋めた。夢では感じられなかった、甘くあたたかい香りがした。(あの時の俺では、手に入れる事が出来なかったものだな)女は小さく「はい…」と呟き、恥ずかしそうに俯く。そんな仕草すら愛おしく感じ、俺はさらに強く抱きしめた。✎ ------------------------信長さま外伝を読み始めてからずっとSSが書きたくてヒロイン目線はYouTubeに上げたので、noteは信長さま目線ですやっぱり推しは信長さま(*´艸`)キャ #織田信長 #二次小説 #天下統一恋の乱 #恋乱 #恋の乱 4 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート