永遠の詩【土方歳三】-薄桜鬼- ✎ 4 ちーかま 2024年5月5日 00:06 ※薄桜鬼の二次小説です多くの仲間を戦で失い、別れを告げ来た俺は今、蝦夷の地にいた。傍らには無理やり蝦夷まで乗り込んできた雪村がいる。江戸へ帰す機会は幾度もあった。だが頑固なコイツは俺の傍を離れなかった。雪村は黙って書類の整理をしながら、文机の上にある湯呑みの中身を気にしている。「雪村、お前は何故此処にいる?」「えっ?」「何故頑なに江戸に帰ることを拒んだ?」雪村は俯き黙りこくる。「今までの延長で俺の世話をやくためにいるのなら、必要ねぇ」この蝦夷の地はやがて戦場になる。そんなことはこいつも十分にわかっているはずだ。「命の保証もねぇ、お前を守ることもしてやれねぇ、そのくらいわかってるな?」俯く雪村の肩が震えている。「最後の通告だ。江戸に帰れ」わざと冷たく言い放ち背を向けた。「嫌です」「なんだと?」振り返り睨みつけると、泣きそうな顔で歯を食いしばる雪村がいた。「私は帰りません。此処にいます。皆さんとの約束を果たすためです」「………」「私は皆さんと約束しました。新選組の行く末を見届けると…」「新選組はもう無い!」大きな声で怒鳴ったが、雪村が怯むことはない。「新選組はあります!まだ息づいています。それを一番知っているのは土方さん、貴方ではありませんか」「なんだと?」「貴方が新選組そのものです。仲間と死に別れ、決別を繰り返す…その度に皆の意志を抱えて来たのは貴方ではないですか!」雪村は肩を震わせながら泣いていた。「貴方がいる限り新選組は無くなりません。だから私は…」気がつけば雪村の小さな体を抱きしめていた。「新選組は今も武士の道標だと思うか?」「はい…」「俺はあいつらの…意志を引き継げていると思うか?」「はい!」雪村はしゃくりを上げながら言葉を続ける。「皆が愛したものは今も貴方の中に…今も新選組に息づいています。だから見守らせてください。最後まで…この命が尽きるまで」「頑固だな」「土方さんには負けます」「ふん…そんな俺に惚れたんだろ?」途端に雪村の顔が真っ赤に染まる。「気づいてないと思ったのか?俺はお前みたいに鈍感じゃねぇよ」言い訳をしようとする雪村を唇で無理やり塞いだ。「俺は終わりなんざ求めてねぇ…生きたいから足掻き続ける」「はっ…」雪村が息継ぎをしたのか返事をしたのかわからないまま、再度唇を塞ぐ。「俺はきっとこれからも走り続ける。俺は待たねぇ。だからお前が必死についてこい」「はい…」俺達は無粋な大鳥が執務室に現れるまで、互いの体を離さなかった。ー ෆ土方さんの誕生日SSはガチなやつ書いたんですが作った動画眺めているうちになんか書きたくなってしまいφ=φ_(:P 」∠)_動画と作中の台詞の一部はゲーム内の台詞をそのまま、もしくは少し変えたものです(無印の方で、真改の方は同じかは知りません)やっぱり私の中での土方さんは薄桜鬼(あくまでも無印の方)のイメージが強いなぁ いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #動画 #誕生日 #新選組 #土方歳三 #二次小説 #薄桜鬼 #五月五日 4