愛してる【織田信長】-天下統一 恋の乱- ✎ 4 ちーかま 2024年1月25日 08:38 信長さま外伝の後日談ですヒロインの名前は陽菜です俺は光の中にいた。眩さに目を凝らしていると、目の前に死んだはずの…俺が自ら手にかけた弟の信行が現れた。「兄様、お探ししておりました」信行は屈託のない笑顔を俺に向ける。「美味しい饅頭を手に入れました。兄様に召し上がっていただきたく…」そう言って饅頭を一つ俺に差し出した。「一つしかないではないか」「えぇ、ですから兄様に…」俺は信行から饅頭を奪い取り、それを二つに割った。「…ふん」俺は割れた饅頭を見比べ、若干大きい饅頭を信行に差し出した。「お前も食え」「しかしこれは…」「毒でも入っているのか?」俺はガブリと小さい方の饅頭にかぶりついた。「では、いただきます」信行も饅頭にかぶりつき「美味しい」と笑みを浮かべる。「信行…頬に餡がついているぞ」俺は手を伸ばし、信行の頬についた餡を拭い取った。「何時までも子供のようでいるな」指についた餡を舐めると、信行は俺を眩しそうに見つめた。「私はずっと…」突然目の前が白く光る。「兄様の弟ですから」気がつけば俺は褥に横たわっていた。傍らには陽菜が寝息を立てて眠っている。「夢…か」昨晩、陽菜に信行の話をしたからだろうか。(何時もの恨めしそうに俺を責める夢ではなかったな…)俺の心は驚くほど清々しかった。何時もの様に一日が始まる。朝餉を終えれば当然のように執務が待っていた。俺は文机に積み上げられた書類を手にし、一つ一つ目を通していく。何時もながら面倒な作業ではあるが、俺は次々と手に取り署名をしていく。「♪〜」つい鼻歌が口から漏れた事には我ながら苦笑したが、そのくらい俺の心は晴れ晴れとしているのだ。気がつけば、光秀が生暖かい目で俺を眺めていた。「なんだ?」むっとして声をかけると、光秀はさらに目尻を下げ「いえ…なんでも」と答えた。「何か言いたそうではないか」「御屋形様が楽しそうなので、つい笑みがこぼれました」「ふん…執務に楽しいもクソもなかろうが」光秀にまで気づかれるほどの機嫌の良さに、我ながら呆れてしまう。「この調子ですと、先延ばしにされていた件も今日中に片付きそうですね」「貴様は俺を仕事漬けにするつもりか?」「今の御屋形様なら、容易くこなせるかと」(冗談ではない…)光秀が「書類を取ってまいります」と言って退室した隙に、俺は部屋を飛び出した。庭に出た俺は何時もの木に登り、身を隠した。しばらくすると、光秀が俺を探す声が聞こえてきた。「今日の分は終えたからな」木の上で独りごちる。光秀の声が近づき、俺は息を潜めた。やがて竹箒で地を履く音と共に光秀の声が響いた。「陽菜、御屋形様を見ませんでしたか?」「いえ…お庭では見ておりません」「そうですか…まったく困った方だ」(困った奴は光秀、貴様の方だ)「厩の方では?また城下に出られたのではないですか?」「そうですね…」光秀は深いため息をつき、厩の方へと向かっていった。「貴様、でかしたぞ。褒美に絶景を見せてやろう」木から降りて声をかけると、陽菜は小さな悲鳴を上げて竹箒を放り投げた。「大声を出すな。光秀に気づかれる」「はっ…はい!すいません」俺は再び木に登り、陽菜へと手を伸ばした。「早くしろ!光秀が戻ってくる」「はい!すいません」陽菜は慌てて俺の手を取った。力を入れて、小さな体を一気に引き上げる。柔らかい体を抱きとめると、陽菜の鼓動が煩いくらいに聞こえてきた。「慣れぬ女だな」「もう…信長様のされる事は何時も奇想天外で慣れません」陽菜は苦笑しながら俺にしがみつく。「そんな俺に惚れたのであろう?」そう問いかけると、顔を真っ赤にして「はい…」と言って俯いた。「久しぶりに信行の夢を見た」そう言うと陽菜は顔を上げ、真っ直ぐに俺と向き合った。「信行は笑いながら、俺に饅頭を寄越してきた」「うふふ、信行様は信長様のお気持ちを掴むのが上手いのですね」「そう言う貴様もな…」はにかむ陽菜の頬をそっと撫でる。「陽菜、貴様が傍にいたから乗り越えられた」「私は…信長様のお傍におります。この後にさらなる苦難が待ち構えていたとしても、信長様と共に乗り越えていきたいです」胸にあたたかいものが溢れる。(これが『愛おしい』という感情なのだろうな)「愛している」「私も愛しています。信長様だけを…ずっと」どちらからともなく唇を寄せた。あたたかな口づけは、甘く冬空へと溶けていった。𖧷。.⁺︶︶︶以前アメブロの方に中島美嘉さんの『愛してる』をイメージしてSSを書きました(恋乱のではない)今回は同曲で動画を作ったので、それに合わせて書きたいなぁと思い書きました信長さま、やっぱり一番好きです(*´艸`)キャ♡ #織田信長 #愛してる #中島美嘉 #天下統一恋の乱 #恋乱 #恋の乱 4 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート